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国会審議の議事録 空港アクセス鉄道編 part1

今回は、現在の京成東成田駅(成田空港開業時は、京成成田空港駅)だったのですが、この駅は現在の成田駅からかなり離れた場所に設置されており、閑散とした駅となっていますが。
元々、京成も現在の成田空港ターミナル直下に乗入れしたかったのだそうですが、当時は国鉄がそれを許さなかった。(当時は成田新幹線計画があり、その用地としては確保されていたのです)
その辺は、太字でマークしていますので、その前後を読んでいただければ理解していただけるかと思います。
今後、二回に分けてアップさせていただきます。

101-参-運輸委員会-9号 昭和59年06月26日

昭和五十九年六月二十六日(火曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     藤田  栄君     堀江 正夫君
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     堀江 正夫君     藤田  栄君
 六月二十五日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     橋本  敦君
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     江島  淳君     山本 富雄君
     内藤  健君     佐藤栄佐久君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢原 秀男君
    理 事
                梶原  清君
                下条進一郎君
                瀬谷 英行君
                桑名 義治君
    委 員
                江島  淳君
                小島 静馬君
                小林 国司君
                佐藤栄佐久君
                内藤  健君
                藤田  栄君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                山本 富雄君
                吉村 真事君
                小柳  勇君
               目黒今朝次郎君
                安恒 良一君
                橋本  敦君
                伊藤 郁男君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  細田 吉藏君
   政府委員
       大蔵省主計局次
       長
       兼内閣審議官   保田  博君
       運輸省船舶局長  神津 信男君
       運輸省鉄道監督
       局長       永光 洋一君
       運輸省航空局長  山本  長君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
       建設省道路局長  田中淳七郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村上  登君
   説明員
       環境庁企画調整
       局環境影響審査
       課長       加治  隆君
       環境庁水質保全
       局瀬戸内海環境
       保全室長     桜井 正昭君
       大蔵省主計局主
       計官       涌井 洋治君
       水産庁振興部長  渡辺  武君
       運輸省航空局飛
       行場部長     松村 義弘君
       運輸省航空局飛
       行場部関西国際
       空港計画室長   小坂 英治君
       自治省行政局振
       興課長      小島 重喜君
       日本国有鉄道常
       務理事      岡田  宏君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○関西国際空港株式会社法案(内閣提出、衆議院
 送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――

○安恒良一君 ぜひ大臣、政府部内で。
 というのは、今公共事業費なりマイナスシーリングについても、与野党いろいろな合唱が起こっているじゃないですか、現実に。竹下大蔵大臣はきょうお見えになっていませんが、あと総理はいろいろ言っておられますけれども、皆さん方の政調の方からも、この際は少し公共事業をふやさなければいかぬとか、マイナスシーリングおかしいじゃないかという声が、与党の中からわっと今あなた起こっている時代でしょう。その場合に、そうかといって私はただ単純に赤字公債じゃなくて、このようにやはり我が国の将来に残るもの、いわゆるこういう建設的なものについては、これこそ大臣頑張られれば、今あなた、与野党でみんな、一律マイナスシーリングは間違いだ間違いだと、みんな来年度の予算に向けて大合唱が起きている時代でしょう、率直なことを言って。
 野党が言っているだけじゃなくて、与党がまず先に言い出したんだ、与党がわっと。しかもあなた、党の中枢都におる人がいろいろ言う。そういう中で、こういうものは一番国民的に合意性がある、国民的に意見が一致するものですから、ぜひこの問題は、これ以上やりませんが、ひとつ大臣頑張ってもらいたいということを申し上げておきます。
 そこで、その次は、今度はいわゆる空港に至るまでのアクセスについて少しお聞きをしたいと思います。
 まず、新関西国際空港のアクセス問題について、乗客をどう運ぶかということですが、今度つくられる新関西国際空港は大阪の中心部から直線で約三十五キロメートルのところに位置をしているわけであります。そこで、この空港利用者の利便と地域社会に交通公害をもたらさない方法を考えなきゃならぬと思いますが、このアクセスの施設について整備に万全を私は期さなきゃならぬと思います。これには私は二つの方法があると思うんです。どちらもやらなきゃならぬと思いますが、一つは大量輸送である鉄道をどのようにやるのかという問題があります。それから二つ目には道の、道路の整備計画だと思います。
 そこで、順次聞いていきますが、道については、一つは湾岸道路をどうするのかという問題。二つ目には近畿自動車道和歌山線の問題があります。それから、三つ目には国道百七十号線の問題があります。それから、四つ目にはいわゆる空港連絡橋をどういう形でどのようにつくるのか。これは必ずしも連絡橋だけじゃなくて、一時期にはトンネルという説もいろいろあったようですが、こういうのはこれから順次聞いていきますが、少し時間をかけてお聞きをしたいんです。
 ところが、その前に一つ。成田ですね。非常に足の便が悪いことで有名ですね、これ。東京から成田へ行くのは大体一時間ちょっとで行けますが、外国から帰ってきて東京へ入るのに大体二時間見ておかぬとほとんど不可能だということで、非常に首都の国際空港としては、日本国民だけじゃありません、いわゆる外国のお客さんからも大変不便な空港だといって評判が悪いんです。
 そこで、当時成田をつくるときのいわゆるこのアクセスについて、やはり国会でいろんな議論をされていますが、道、鉄道、それが計画どおりにできているか、できていないか、成田についての現状について、これも表をいただいていますから、簡単に説明をしてみてください。

○政府委員(山本長君) 私から、直接道路、鉄道の所管じゃございませんが、概括的に御説明を申し上げたいと思います。
 道路につきましては、首都高速、京葉道路、東関東自動車道、それから空港線、湾岸道路等について計画がございました。これについては、計画に沿いまして供用が開始されているという状態でございます。詳しくは建設省からお答えを願いたいと考えております。
 鉄道につきましては、総武本線の東京-千葉間の複々線化が一つございました。これは五十六年七月に供用を開始いたしております。
 成田線佐倉-成田間の複線化という計画がございました。これは六十一年度以降工事に着手する、こういうふうな計画と承っております。
 それから空港線、これは成田-新空港間の延伸でございますが、現在検討中ということでございます。
 それから地下鉄の五号線、つまり東陽町と西船橋間の建設でございますが、これについては既に供用を開始しておる状態でございます。
 なお、都心と新空港を結ぶ直通高速鉄道、いわゆる成田新幹線の建設については、諸般の事情によりまして、一部空港周辺において工事に着手いたしたわけでございますが、全般的には着手に至らず、なお検討中と、こういう段階でございます。

○安恒良一君 細かいのは一覧表をもらっていますから、あれです。
 そこで、お聞きをしたいんですが、道の方は何とか計画どおりやったと。ところが自動車で輸送では一定の人員がある。やはり何としても大量輸送機関は鉄道なんですよね。
 そこで、大変不思議なことが私あると思ったんですが、実は調査に行ったんですが、成田空港の真下に国鉄が乗り入れられる駅はちゃんと確保されている。ところが、そこまで行く空港線、成田-新空港間はできてないんです。一方、京成電鉄の路線については、これは行ってみられるとわかるんですが、上野から乗りまして空港の手前に地下駅で入って、そして地下駅からエスカレーターで重たい荷物を持って上がって、そしてバスに乗
りかえて空港に行く。こうなると、なかなか、利用者が少なくなる。何でこんなばかな駅をつくったのか。あの駅、二十五億かかった。いや、実は京成も当然上野から空港の下への乗り入れについてお願いしたんだけれども、運輸省か国鉄か知りませんが、まかりならぬと。
 こんなばかげたことをやっているんですね。あれ今あのまま、国鉄は将来乗り入れる計画だというが実際つくっていない。京成があのまま乗り入れておれば、上野から大量輸送で空港の下まで行ってさっと上に上がると相当の人が運べていると思うんですが、その間のいきさつはどうなっているんでしょうか。何であんなばかげたことになったんでしょうか。とても私企業で二十五億かけた駅をまたぶっ壊しちゃって、今度ずっと手前から線路を曲げて成田に乗り入れるなんて、こんなばかげたことはできない、とても資金が持てないと、こう言っていますが、国鉄にも来てもらっていると思いますが、当時これは、自分たちの方は駅だけは確保しておいて仕事は全然やらぬ。私鉄が乗り入れたいというやつは、おまえたちはまかりならぬと言って入れてない。
 こういう運輸政策というのがあっていいんでしょうかどうでしょうか、そこを聞かしてください。

○政府委員(永光洋一君) 成田のアクセスにつきまして、鉄道について十分でないということの御指摘でございますが、確かに最初の成田のアクセスにつきまして、一つは京成の空港線としまして現在のスカイライナーの線、さらに国鉄の新幹線構想と、この二つの考え方があり、さらに先ほどの総武本線なり成田線の在来線の増強と、こういういわば三本立てのようなことで考えておったわけであります。
 京成の空港線につきましては、免許申請が四十三年で、四十四年に免許をいたしておりまして、四十五年から工事の着手を行ったわけであります。
 それから、新幹線につきましては、四十六年に基本計画が決定されまして、四十七年に工事認可、そして四十九年に工事の着手ということで若干のずれがございました。したがって、一つには空港の下に、確かに先生おっしゃいますように、ある程度、もうほとんど完成したような駅がございますが、もし成田新幹線が開通、予定どおりなり若干遅れても通っておればその駅自体が活用されたと思うのでありますが、御案内のように、地元住民の方々の反対だとかあるいは千葉の関係市町村のいろいろな反対がありましてこれが実行できないということで、現状のような形にはなっておるわけであります。
 そもそも最初に、駅に今の空港の下のスペースを使うときにどうするかという問題は、確かにいろいろ議論があったようでございます。
 それで、新幹線の駅として使う、それに対して京成としては、その部分についての使用について内部でいろいろ議論があったようでございますが、一つには、あそこの空港は第一期ターミナルの現在ありますビルと、それから反対側に第二期のターミナルビルということの構想がございまして、その中間に位するということを一つは配慮し、それからさらにいろんな建設費等々の勘案から、会社側として、現状において現時点の駅を一つ設置することによっていわば両方のターミナルビルをにらんで、若干のバスのアクセスの必要がありますけれども、その選択をいたしまして、さらに将来は、行く行くその線を九十九里まで延ばすというような構想も会社側としては考えまして現在のような格好になっておりますが、最初の計画どおり新幹線が建設され、あるいは第二期ターミナルビル等が建設されれば、一つの形としては、それなりのアクセスの両方の鉄道ができたんではないかと思いますが、結果的に現在見ますと、先生がおっしゃいますように、両方とも何となく中途半端な形になっておりまして、我々としても、それじゃ現在の成田の京成の線を、今建設がほとんどされている空港の駅と結べないかということでいろいろ検討したわけでありますが、これは曲線半径等々、工事費等の関係からどうも難しいということで、現時点におきましては、別の方途で空港の下の現在の新幹線用につくりました駅を活用できないかということを考えておるところでございます。

○安恒良一君 鉄監局長はその当時局長じゃなかったかしらぬけれども、うそを言ったらいかぬ、うそを言ったら。京成がスカイライナーを引くときには、空港下にも乗り入れたいということの申請はしているんですよ。ところがそれは許可してないんだよ。それをあなたは、何かね、中間に駅をつくるからいいと言っている。あのね、外国に行ったり帰ったりするときは、荷物が重たいから中間なんかだめなんですよ。第一空港と第二空港があったら、その空港の下に行かなきゃお客さんは乗らないんですよ。そんなうそを言ったらいかぬわね。
 私は、これは既に、国会議員になって、参議院の交特の筆頭理事としてみんなで調査に行ったんだから。そのときに会社側も全部呼んで聞いたら、いや、実はこんな中途半端な駅はつくりたくなかったんだと。ぜひ乗り入れさせてくれというお願いをしたけれども、だめになって、これをやりましたと。だから、今になって、この二十五億かかった駅を自分のところの会社でぶっ壊しちゃってまたつくるということは、とても今の京成では無理だ。
 技術的にあなたはできないって。できないことないよ。お互い鉄道屋だから、あんなもの簡単ですよ。ただ、私企業ではし切れぬと言っている、今さらあの駅ぶっ壊しちゃっては。手前から曲げればいいんですから、技術的には全然難しくない、技術的には。この際もう国鉄は、新幹線を当分はとてもつくり切れぬと。せめてスカイライナーならスカイライナーで大量輸送しようと思うなら、国なり公団が金を出して、手前の方から曲げて持っていけば、あの下の駅はできているんだからね。それから、駅というのは、私鉄と国鉄の共同使用駅というのは幾らでも全国にあるんですからね、幾らでも。そういうことでやろうと思えば、やれるんですよ。技術的には困難なことはありません。それもうそを言ってはいけません。技術的には困難、それもちゃんと私は調査した上で言っているんです、鉄道屋として技術的にできるかできないかと。ただ金の問題だけですね。
 ですから大臣、きょうは新関西空港ですけれども、成田空港も本当に困っているんですよ、これ、皆さんが。というのは、これで自動車道路、一応道については建設省の道路局長が言ったように終わっている。なお新しい計画もということになっていますが、やはり大量輸送の方法について考えないと、非常に成田の場合に評判が悪い。まあきょうは成田のことを議論をしているわけじゃないですが。
 ただ、私が気に入らぬのは、答弁で結果論として中途半端になったと言うけれども、結果論じゃないんです。当初の計画が非常に、大臣がおっしゃったようにお役所仕事でずさんなんです、ずさん。ずさんだからこういうことになる、お役所仕事というのは。片方は駅だけつくってほったらかしてある。それから片方は、当初から、一緒に使わせてもらいたい、入りたいと言ったとき、おまえさんのところはだめじゃということにしておって、そして結果的にだれが迷惑がかかっているかといったら、成田空港を利用する人が大変な迷惑。特に、道はできたけれども自動車で向こうから帰ってくるときは二時間ないと都心に入れないというのが、これはもう現実の姿ですからね。二時間もかかる。どうしても二時間かかる。込んで込んでとってもだめ。
 私は、そういう点については、前におけるそういう失政は失政としてやっぱり認めてもらわぬと、何となく、いやそうじゃない、おれたちがやったことは正しかったんだけれども、たまたま国鉄の新幹線ができていないからしようがないんだということじゃ困るんで、あなたは局長だったですか、そのとき。鉄監局長じゃないでしょう、まだこのころは。そんな人がうそを言ったらいかぬわね。
現実は現実でやっぱり認めた上で、今すぐ私はどうこうせいと言っているわけじゃないんだよ。そういうやっぱりあったことはあったことだから、これから今度は関西空港の方にその話でいろいろ心配をするから、現実の誤りは誤りとしてやっぱり認めるものは認めていかなきゃ、あなた。
 何か、いかにも、自分たちがやったことは正しいけれどもたまたま新幹線ができていないから国民に迷惑かけている、そんなうそを言うたらいかぬわ。どうだい、そこのところは。

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