コントロールされた緊急スイミングアセント
PADIオープンウォーターダイバー講習において絶対の必須スキルに「コントロールされた緊急スイミングアセント」というスキルがあります。
このスキルはエア切れの際に単独で浮上をできるようになろう、万が一の為に備えたスキルです。
★講習で実施する際に守るべきこと★
・レギュレーターは咥えたままにすること。
・浮上速度を守ること。
・息を吐き続けること(声を出すとよい)。
・水面に到達したら【エア切れ】シュミレーションの為、自分の口でBCDに空気を吹き込むこと。
・ウェイトは捨てないでおこう(本当のトラブルの際は水面到達後にウェイトも捨てるべきことを伝えておきましょう)。
・インストラクターは安全管理の為水面のフロートに繋いだロープを使用しますが、スキルを実施する生徒ダイバーの方はロープを使用しないこと。
我々インストラクターが常に心掛けておくべきは、生徒ダイバーの方に守っていただくべきことの「理由」を把握しておくべきだと思っています。
学生時代に誰もが「校則」に拘束されていた経験がおありではないでしょうか、守る守らないは別にして、なんで?という疑問符がつくことも多かったのではないでしょうか。
ダイビングスクールにおいて守るべき事柄、その理由を把握しておくべきです。
理由を明確にせずに頭ごなしに「やっちゃだめ」を伝えるのはどうかと思います。
では、このコントロールされた緊急スイミングアセントを実施していただくにあたり、伝達事項を初めに書きました。
これらの理由を把握しておきましょう。
ほとんどの理由は一般的なインストラクターであれば説明ができると思います。
・レギュレーターは咥えたままにすること。
深度下より浅い場所に移動することでシリンダー内の圧力と周囲圧に圧力差が生じ、僅かであると思われるが呼吸できる可能性があること。
圧力が下がってシリンダー内のガスが膨張する、と思われている方がいたのですがシリンダーの大きさは変わらないので、圧力勾配が生まれるという認識でいてください。
・浮上速度を守ること。
減圧障害を避けるために速度コントロールは絶対に必要です。
吐いた泡を追い越さない、一理あるのですけど、現実的にはダイブコンピューターをモニターしながら浮上すると指導するべきかと考えています。
・息を吐き続けること(声を出すとよい)。
呼吸を止めて浮上をすると肺の過膨張障害を引き起こす可能性があるので息を吐き続ける。
アーと声を出すようにインストラクターマニュアルなどには記載があるのですが、個人的にはウーのほうが長続きすると思います、また英語版マニュアルにはサウンドと示されています、スクール生がやりやすい方法でOKです。
“Make a continuous sound throughout the ascent.”
・水面に到達したら【エア切れ】シュミレーションの為、自分の口でBCDに空気を吹き込むこと。
シリンダー内にエアーがないのでパワーインフレーターを使用して給気することができない。
でも、前述の通り圧力勾配が生まれるので多少給気できるかもしれませんが最悪の事態を想定してオーラル給気を指導します。
パワーインフレーターのタイプ(アクアラングi3、Maresエアトリムなど)によっては浮上前に準備が必要になります。
でも、、、、この後のウェイトを捨てる点は強調しておくべきだと思います。
・ウェイトは捨てないでおこう(本当のトラブルの際は水面到達後にウェイトも捨てるべきことを伝えておきましょう)。
拾うのが大変、、、、なのですが、現実的には水面到達するまでにウェイトを捨てる準備をしたほうがいいかと思っています。
エア切れでやっとの思いで浮上、水面に到達、オーラルで給気って結構ハードル高いですよね。
・インストラクターは安全管理の為水面のフロートに繋いだロープを使用しますが、スキルを実施する生徒ダイバーの方はロープを使用しないこと。
講習生のコントロールの為、インストラクターはロープを必ず使用しますが講習生が使用してはスキル自体の意味がなくなってしまう。