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思い出したセリフは小さな吹き出しに

昔読んだ漫画の何気ないセリフをふと思い出すことがある。

何年も前に刊行された作品の、小さなコマに書かれた一言が、現実の状況と不思議なくらいリンクする。そんな現象は珍しくないと思う。

20年以上連載が続いている「ポケットモンスターSPECIAL」という作品。元々ゲームソフトであるポケットモンスターの世界を舞台に、各章ごとに変わる主人公の少年少女たちが、その土地に生息する生き物であるポケモンと共に冒険に出る。物語に登場するのは、実際にゲームに登場するポケモン、キャラクター、アイテム、地名。シナリオ担当の日下秀憲が、それらを基にしたオリジナルストーリーを描く。

その作品の中に「バトルフロンティア編」という章がある。簡単に説明すると、エメラルドという名の少年が、様々なルールでポケモン同士のバトルを楽しむことが出来る施設に挑戦するという内容だ。作品に登場するキャラクターの造形は基本的に原作準拠だが、エメラルドは漫画オリジナルのキャラクターである。

エメラルドは作品に初めて登場した時、暴れている野生のポケモンをおとなしくさせるという能力を見せた。変わった形の銃を手にして、土で出来た弾丸を、ポケモンの周囲に打ち込むことで、我を失っていたポケモンは一気におとなしくなった。

その能力の詳細は、章が進むにつれて明らかになっていく。打っていた土は、そのポケモンが生まれた土地の土だった。故郷の土によって、ポケモンをおとなしくさせる。すなわちエメラルドは、ポケモンを見ただけで、出身地がわかるという能力を持っているということだ。
章の終盤では、その銃を作った人物も明らかになる。詳細は省くが、別の章で登場した人物であるということだけ言っておく。その人物は、偶然出会ったエメラルドの、出身地を当てる能力に感動していた

銃をエメラルドに授ける際に、その人物はこんな言葉を残している。

「ただ出身地を当てられるだけでおしまいなら、クイズ大会くらいでしか役に立たない」

そこから、知識や能力は人のために使ってこそだというセリフが後に続く。このセリフはそこまで重要な場面ではないが、読んだ当時から妙に焼き付いていて、最近また思い出した。

電子書籍で読み返してみても、記憶と同じニュアンスで同じことを言っていた。

最近思い出したのには理由がある。気のせいかもしれないが、クイズ大会で役に立つ知識=本当に役に立つ知識、みたいな式が出来上がりつつあるのを感じるからだ。

もっと言うと、世間が思う「賢い」の基準も変わっている気がする。

クイズ文化自体を否定するつもりは全くないが、そんな感じで少し納得いってない部分もある。

以上、説明ばっかりで本題が少ししかない、役に立たない文章でした。コミックスをまだ捨ててなかったことに気付かずに、電子書籍でわざわざ購入し直したことに関しては、後悔していませんけど?

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