70歳のライダー(読者)との交流

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1999年から2004年まで、オフロードバイク専門誌『月刊ガルル』の編集部にいた。その『月刊ガルル』に、毎月手紙をくれる70歳の男性がいた。たいていは愛車とツーリングに行ったその方の写真が入っていた。いま思えば、70歳でオフロードバイク雑誌を毎月読み、投稿してくれるなんてすごい、と思う。いまの70歳と当時の70歳は違うとぼくは思う。

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その方は、編集部内では「ツカタン」と呼ばれていた。「ツカタンから手紙が来てるよ」と誰かが見つけると、みんなで拝読し、なごんだ。まだ30前後の編集部員たちからすれば、親よりも年上だ。みんな「すごいよな」言っていた。

あるとき、読者プレゼントに応募があった。LBZという、ウエアのメインストリームではない、当時の言い方では「横乗り系」スタイル、つまりジャージはダボッとしていてパンツはブーツの外に出し、カラーリングはキンキラ…というブランドのウエアセットだ。これを、ぼくらは日頃の愛読への感謝の意味と、こういう「若者向け」のウエアを70歳のツカタンにぜひ着て欲しいという「孫の気持ち」みたいな意味と、絶対に写真を撮って送ってくれるよ、という期待とを込めて、「当選」とした。

https://lbzstore.life/

その当選の喜びを写真とともに送ってくれたのが、先の誌面だ。ぼくらはすごく嬉しかった。それからぼくは『月刊ガルル』を離れたので、ツカタンがいつまで手紙を送ってくれていたのかはわからない。いつまでAX-1に乗ってツーリングをしていたのかもわからない。

いまお元気なら88歳のはずだ。米寿のお祝いにバイクのなにかをお孫さんからもらったりしているだろうか。

『月刊ガルル』は、その後、発行元が実業之日本社からネコブロス、バイクブロスへと変わり、ksみたいな事情で誌名がなくなって、意志を継いだ編集者たちが新たに『隔月刊GoRIDE』として内外出版社から発売されている。



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