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【白血病は突然に】 (第18話) 達成感に浸る!

こんにちは、「根本雅祥(ねもとまさよし)」といいます。「ソルトコントロール」という方法を使って、塩分管理の支援サービスを提供しています。

この記事は、「37歳起業家、がん宣告から社会復帰までの3年間の記録」の第18話となります。

(これまでに書いてきた記事はコチラで見られます↓)

それでは、どうぞ!


達成感に浸る!

2017年5月12日(金)、入院4日目。

目を覚ますと、あれだけひどかった胸の痛みが嘘のように消えていました。「昨日はあんなに痛かったのに、なんて最高なんだ...」と感傷に浸りながら、身支度をはじめることに。

身支度といっても顔を洗ったり着替えたりする程度なのですが、このときはすでに常時の点滴が始まっていたため、慣れない点滴スタンドに悪戦苦闘です。

ちなみに、点滴スタンドはこういうものです↓(写真はこの時のものではなく骨髄移植後のものです)

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クリーンルームの中をちょっと移動するだけでも足元をよく確認する必要があるし、そしてなによりも、着替えが本当に大変で...これまで味わったことのない苦痛に本気でイライラします。

ただ、この日はそんなことでイライラしている暇はなく、例の精子保存をなんとかしてやり遂げなければなりません。チャンスは今日を入れてあと2日しかないからです。

当日もそこそこの発熱をしていたため、朝ごはんを食べたあとに「カロナール」という解熱鎮痛剤を飲んで熱を下げることしました。「熱があっては射◯はできぬ」からです。

9時くらいに真理子さんが病室へきてくれたときには熱も下がり「いまならイケるかもしれない」という状態だったので、「いまからやってみる」と真理子さんに告げました。

真理子さんにはまず、誰も部屋に入らないよう看護師さんへ伝えてもらってから、そのまま部屋の外でスタンバイしててもらうことにしました。採取後90分以内に本院へ届ける必要があったからです。


すべての準備が整い、いよいよ自分との戦いがはじまります。胸の痛みもなく、熱は下がり、体調そのものは昨日と打って変わって万全です。


しかし、スタートしてから30分、全然ダメです。もう身体がエロどころじゃなかったんだと思います。血中のがん細胞は65%を超え、白血球も5万を超えていたのですから、そりゃそうだと思います。

でもここで諦めたら、僕は自分の子どもを残すことができないのです。僕はもう無の境地でただただコトを進めました。

そして、スタートしてから60分が過ぎようとしたころ、潮目が変わりました。「このままいけばなんとかなりそうだ、がんばれ俺!」という状態になったのです。

そしてその5分後、僕は真理子さんに急いでLINEを入れました。
「できた!!」と。

ピンク色の蓋をした小さなタッパーを冷やさないようにタオルで包み、それを真理子さんそっと託します。真理子さんはそれを受け取り、「あとは任せて!」と急いで本院へ向かいました。

僕にとっての「世紀の一大事」は、こうして無事に終わりを迎えることになりました。


つづく...


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