【白血病は突然に】 (第17話) クリーンルームはじまる
こんにちは、「根本雅祥(ねもとまさよし)」といいます。「ソルトコントロール」という方法を使って、塩分管理の支援サービスを提供しています。
この記事は、「37歳起業家、がん宣告から社会復帰までの3年間の記録」の第17話となります。
(これまでに書いてきた記事はコチラで見られます↓)
それでは、どうぞ!
クリーンルームはじまる
自宅から病院へ到着すると、予定通りクリーンルームへ案内されました。初めてのクリーンルーム。いまだ経験したことのない世界との対面です。
僕は早くもパニックになりそうな心境でしたが、もうここから逃げるわけにはいきません。「ふぅ...」と一呼吸を入れたあと、僕は重い一歩をそこへ踏み入れます。
するとそこには、『いかにも病室』という光景が広がっていました。
蛍光灯で白く明るく照らされた10畳くらいの部屋に、ベッドはもちろんのこと、洗面台やむき出しのトイレまであります。窓の付近は厚い透明のビニールで覆われ、外の景色は曇って見えます。
また外部から菌やウイルスが入ってこれないように室内の気圧を高めてあるので、その設備環境にもちょっと驚きます。
(ここから少しクリーンルームの説明です)
では、そもそもナゼこんな空間に入らないといけないのか。それは次のような理由にあります。
白血病の治療では抗がん剤などを使って、僕のがん細胞をビシバシやっつけていきます。その過程で正常な白血球なども一緒にやられてしまうため、菌やウイルスにものすごく感染しやすい状態になってしまうのです。
どれくらい白血球が少なくなるかというと、かなり0に近い数字になります。通常の人は5,000くらいあるので、からだの中がほぼ「ノーガード」になるイメージです。(新型コロナウイルスに襲われたら一発アウトです)
と、こんな感じなので、外部の方が部屋に入るときも準備が大変です。
1.センサーで反応する洗面台で手を洗う
2.アルコール消毒をする
3.室内に入るための専用服を着る
4.マスクをする
5.手袋をする
6.送風装置を起動させる
7.根本よりも風上には絶対に行かない
(クリーンルームの説明おわり)
部屋の中で看護師さんから一通りの説明を受けると、続けて医師が入ってきました。そして「体調はどうですか?精子保存はできましたか?」と聞かれたので、「体調は最悪です、精子保存はできませんでした」と応えました。
そしてそれに続けて、本院の医師が「第三病院で採取して、90分以内に本院へ持ち込んでくれれば大丈夫です」というコメントをくれたことも伝えました。
それを聞いた医師は、「ではまた明日がんばってみましょう」といい、長い長い1日は幕を閉じていきました。僕と真理子さんはこれまでに味わったことのない怒涛の日々に、ただただ圧倒され続けました。
つづく...
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