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【疾患の特徴と主な治療法解説】04 加齢黄斑変性~視野の中心部が見えなくなっていく

病名にもあるように、加齢から黄斑に異常が生じ、視力に影響が出る疾患。社会的失明に至るおそれもあるので、セルフチェックでの早期発見と、早期の治療開始が大切です。

※『名医のいる病院2023 眼科治療編』(2023年3月発売)から転載

疾患の特徴

視力を守るため検診での早期発見を目指す

 網膜は眼球の奥(眼底)で、像を結ぶカメラのフィルムのような役割を担っています。網膜の中心部には黄斑という直径約6mmの組織があり、視神経につながる視細胞が集まっています。年を重ねることで黄斑に障害が出る疾患が加齢黄斑変性で、中高年以上の方は注意が必要になります。

 主な症状として視野に生じるゆがみがあげられ、悪化すると視野の中心部が暗くなったり、見えなくなったりします。進行すると視力が低下し、色の識別にも支障が出て白、黒、灰色でしか認識できなくなり、さらに進行すると社会的失明のおそれがあります。

 発症は4割の方が両眼性で、6割の方は片目のみでみられます。そのため、もう片方の目が視野を補ってしまい自覚が遅れることもあります。

 加齢黄斑変性は萎縮型と滲出(しんしゅつ)型に大別され、日本では約9割が滲出型です。萎縮型は網膜の最深層にある網膜色素上皮という組織が萎縮する病態で、ゆっくりと進行します。

 滲出型では網膜色素上皮のさらに奥にある脈絡膜の血管から新生血管という異常な血管が作られ、…..

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関西医科大学 眼科学講座 主任教授
髙橋 寛二(たかはし・かんじ)

医学博士。1984年、関西医科大学卒業、同大学眼科学教室入局。2008年より現職。関西医科大学附属病院眼科診療科長を兼務。日本眼科学会認定眼科専門医、日本眼循環学会常任理事など。