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タコのこと

この10年くらいの間にタコがこの国でも食べられるようになった。漁師さんくらいしか食べなかったのか、タコは魚市場で安く手に入れることができた。いつでもタコは売っているわけではなかったので魚市場でタコを見かけるたびに買っていた。


生ダコの処理など日本で経験したことがないというどころか、生ダコなど見たことがなかった私ではあるが、何とか生ダコの処理の仕方を身につけ、ゆでダコを日本人仲間に配る程度に成長した。


カルパッチョのようなおしゃれな感じにしたり、タコ飯を炊いてみたり、はたまた、から揚げにしたり、どのような調理法でもタコはおいしい。(ちなみに私はタコ焼きが特に好きではない。嫌いじゃないけれど、お金を払って食べよう、と思ったことがほとんどない。なぜなんだろう)

小さなころからタコを愛する次女は、幼稚園に入って先生に好きな食べ物を聞かれ、大きな声で

オクトパス!!

と答えたらしいが、先生に食べる習慣がそもそもなかったのか、それはcuttlefishの間違いだよ、と訂正されたらしい。

イカちゃう!タコやねん!と次女は頑張ったらしいが、イカで片付けられてしまったようだ。先生にしたら、あのモンゴル系のおかん、何を子供に教えとるねんって感じだっただろうな、と想像する。


私がフルタイムで働き始め、世界はこんなパンデミック、魚市場でとんでもなく大きなクラスター発生などがあって、魚市場に行くことが本当に減ってしまった。たまに行くとたまにタコに会えるが、値段が高騰していて、買うことも減った。みんなおいしさに気付いたらしい。


最近スーパーマーケットが二極化してきていて、普通のスーパーしかなかったのが高級ぽい雰囲気のスーパーがちょくちょく出てきた。
そこで、タコを久しぶりに見た。それもかなり立派なタコ!

タコだ、立派だ、買うか買うまいか、鮮魚コーナーで悩む私。値段は想像していたよりも高く、重さはさらに想像以上だった。3キロの生ダコである。


買うか買わないか。
どっちで後悔するか。
タコを前に悩んでいたら、どこからともなくやってきた店員が、夫に
「あなたはニホンジンですか?」と日本語で聞いてきた。
夫はにこやかに
「私はニホンジンではありません。彼女はニホンジンです。」と答えた。
その瞬間、買おうと決めた。
よくわからんけど、買わないと後悔するような気がしたのだ。


3キロの生ダコはなかなかに迫力がある大きさで、丁寧に頭の中をきれいにして、時間をかけて塩もみし、酢を入れたお湯で、ガスの残量を気にしながら茹で、氷水でキュッと〆た。
ぷりっぷりな美味しそうなゆでダコの出来上がりである。


さて、これをどうやって調理しよう。
酢の物もいいし、アヒージョもいいな。

冷蔵庫に大量のタコがある幸せ。笑

また今度大きなタコを見たら必ず買おう。

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