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株券電子化 2

上場株券等の権利移転は、株券が電子化される以前から、占有の移転ではなく、証券保管振替機構等の保有する帳簿記録の書き換えにより行われていました(証券保管振替制度)。

取引所で取引される上場株券は、証券保管振替機構のもとに集められ、まず名義を証券保管振替機構の名義に形式的に書き換えるということが行われました(※)。

上場株券の実質的な権利移転については、上場株券の売買注文の受付窓口である証券会社と証券会社からデータの連携を受ける証券保管振替機構の保有する帳簿記録の書き換えにより行われました。

例えば、上場株券甲について、顧客Aが証券会社Xに売り注文を出し、顧客Bが証券会社Yに買い注文を出し、両注文が取引所で対当され約定がつきます。

これを受け、証券保管振替機構の帳簿の記録上、上場株券甲について、証券会社Xの保有する数量が減り、証券会社Yの保有する数量が増えます。

あわせて、上場株券甲について、証券会社Xの帳簿の記録上、顧客Aの保有数量が減り、証券会社Yの帳簿の記録上、顧客Bの保有数量が増えることとなります。

売買された上場株券甲の帳簿上の名義は、このように顧客Aから顧客Bへと移転されていきます。

上場株券等の取引量は日々膨大な数に上りますが、取引所、証券保管振替機構、精算機関、各証券会社間の円滑な情報連携を可能にするシステムがこれを支えています。

これらの枠組みは、株券が電子化された今も基本的には変わっていません。

※ これにより、上場株券の発行会社が備える株主名簿は形式化します。発行会社にとって重要な株主の把握については、証券保管振替機構が自身の帳簿等をもとに作成した「実質株主名簿」の通知が発行会社に対して行われました。

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