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株券電子化 3

平成になって段階的に進められてきた有価証券の電子化は、数年にわたる準備期間を経て、上場株券等についても行われました。

原則、すべての上場株券が証券保管振替機構のもとに集められ、振替口座簿という電子的な帳簿に権利関係の記録が行われました。こうして上場株券は、2009年1月5日、すべて無効になっています。

株券電子化のあとも、上場株券等の権利移転は、基本的には電子化前と同様、証券保管振替機構と証券会社等の帳簿の記録を書き換えることにより行われています(※)。

ただ、この中央管理者(証券保管振替機構等)が保有する台帳記録に依拠する仕組みのもとでは、中央管理者のサーバーが毀損した場合、業界全体の機能も損なわれてしまうリスクがあります。

中央管理者の台帳が毀損した場合のリスクが極めて大きいため、セキュリティ確保は極めて重要となります。そのために万全の態勢を敷く必要があり、膨大なコストがかかるなどの問題点も指摘されています。

ブロックチェーンによる分散型台帳の技術は、これらの問題点を克服する可能性を持つものとして、今日期待されているものです。

※ 発行会社が株主を把握する方法についても、証券保管振替機構から発行会社に通知するという基本的な仕組みは変わりませんが(「総株主通知」)、証券保管振替機構が形式的に株主となる必要がなくなり、実質株主名簿は廃止されています。

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