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パリスタイル・フラワーアレンジメントの世界

私がフラワーアレンジメントを習い始めたのは2018.11月でした。
古くは高校時代のクラブ活動で草月流の生け花と出会い、大人になってからも折にふれて生け花に親しんできましたが、素人の域を出ることはありませんでした。

たとえば、家にちょっとしたお花を飾るにしても、自分の中では「心の余裕」がなければできないもの、と勝手に理屈を作り上げ、お花から遠ざかっていたのでした。
今から思うともったいないことをしたなと思っています。
仕事に追われる毎日のなかで精神的に疲弊していたのかもしれません。

現在もその認識は多少残ってはいますが、最近は少し違う想いを抱くようになりました。
フラワーアレンジメントを習いたいという欲求が生まれてきて、ちょっとした知り合いだったお花の先生をネットで見つけて連絡をとり、お花を習うことになったのです。

その先生は「パリスタイル」を教えており、年に何回かフランスにお花のレッスンに行かれます。滞在中はモナコ・カンヌなどのパーティーにも出られるようないわゆる「マダム」でした。

お花だけではなく、フランスの文化やお花の流儀など、アレンジメントだけではない学習の場としてのサロンに通うことが、今の私の大切な息抜きとなっています。

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さて、今回は「パリスタイル」のフラワーアレンジメントの代表的な「シャンペトルスタイル(シャンペトルブーケ)」について少しお話ししましょう。

フランスでは花屋でお花を買うことは特別なことではないそうで、友人宅を訪ねたりする時にも、気軽にお店に寄り、ササッとブーケを作ってもらい、気取らないプレゼントにするという習慣が身についているそうですね。
これは私にとってとても興味深いことでした。
お花を買う(誰かに贈る)という時は、誰かの舞台を観る時ぐらいしかなかったからです。

しかし、他の国のことは分かりませんが、フランスでは男性もブーケを持ち、颯爽と家に帰ったり、友人を訪ねたりという風景をテレビなどで観て、「なんてかっこいいの!」と感じるようになりました。
やっとお花をブーケにして持ち歩く良さ・楽しさがわかってきたのかもしれません。

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そして、今年初めに観たフローリストを特集したテレビ番組で『花を一番美しい瞬間に束ねるのがブーケ』『花が本来もっている生き方を尊重した育て方』また、花を注文した女性の『花がない生活はかんがえられない』という言葉が印象的に残りました。
お花に対しての考え方、接し方を教えられたように感じます。

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現在私が通っているサロンのレッスンでは、まずその日に使うお花の種類の説明があり、
それぞれの特徴などを教わります。
そして、花材にオアシスを置き、先生のデモンストレーションに沿って活けていきます。

ブーケの場合は、お花の「束ね方」に注意しながら、斜めに重ねていくのですが、その時に茎をしっかり掴んで、ずれないように持ち続けることが上手くいくコツです。
ブーケが完成したら、包装紙で包む作業に取り掛かりますが、いかにきれいに仕上げるかに神経を使います。

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きれいに包装できたら、紐でくくりますが、フランスの流儀では、なにも高価な包装紙や特別な紐を使わなくても、自然にある蔓(アイビーなど)でササっと巻いてそのまま持ち歩くこともあるそうで、その辺にもフランス人の飾らないさりげなさが感じられて、優雅さを感じますね。

去年のちょうど今ごろ、フランスからフローリストのお2人が来日された際、サロンでレッスンを受ける機会に恵まれました。
フランス人女性と日本人女性が共同で仕事をされていて、当地でも人気のフローリストということでした。

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本場のフローリストからのアドバイスに緊張しながら、なんとかブーケを仕上げた時は心地よい達成感に包まれました。
「パリスタイル」では、できるだけ自然な仕上がりを目指し、枝ものやちょっとした野の花なども取り入れ、型にはまらないブーケづくりに主眼を置くそうです。
緑をたくさん取り入れ、自然を表現することが重要な要素だということでした。

「お花を贈る」「お花を飾る」と身構えるのではなく、たとえ豪華なお花の集まりでなくても、肩の力を抜いた、普段使いのようなブーケについて、熱心にお話をされるフローリストの姿はとても新鮮でした。

魅力的なお2人のお花への愛情を身近に感じられ、自分もステキなブーケを作れるようになりたいという希望も湧いてきて、いい経験をさせていただきました。

ブーケとは、生け花などとは違い、正面からだけ見るものではなく、365度どこから見ても魅力があることが求められるので、その配色・配分が出来上がりの良しあしを決定づけるので、お花の最後の組み方まで気が抜けません。

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月に1回のレッスンですが、毎回真剣勝負という気合で臨んでいます。
先生のデモンストレーションに目を凝らし、作業の進め方を頭に刻み込まなければいけないので、神経の集中する瞬間です。

ボ~と先生の手を見ているだけでは、いざお花を手に取っても「あれっ、どうやるんだったかな?」などと行き詰ってしまうのですから。
お花と向き合う瞬間はなんともいえない新鮮な気持ちになりますし、他では得られないやさしい感覚にも満たされます。

お花を活ける(アレンジする)という作業は、自分の持っている美的センスへの挑戦でもありますよね。「そのお花をいかにきれいに見せられるか」という観点でも、自分が鍛えられている感触があります。

この頃はスーパーへ行った時など、入り口近くにあるお花が気になるようになりました。
お徳用ではあっても魅力的なお花が並んでいるので、気が向いたら買ってきて、自宅に飾ることも増えました。

お花があると部屋が文字通り「華やぐ」感じがうれしく、また楽しくなります。普段使いの花を愛でる気持ちはずっと持ち続けたいものですね。

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