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サラリーマンになったらパワハラでうつ病にされてしまいました(9)

そんな12月のうつ状態

 一冊の本を読み終えることができない。そんな状態だからこそ、ゆっくりでいいからと言ってもらえることが救いになるのです。

 泣きながら起きる。叫びながら起きる。夢の中で繰り返し再現される地獄のような世界が、徐々に心を蝕んでいく。

 遺されたのはただ、諦め。

 ここではそんなうつ病にされたサラリーマンが緩やかに自分を取り戻していく様を、時系列に沿ってご紹介します。

遺した日記から読み取れる12月のうつ傾向

12/20 大丈夫と、言われて、少し気が楽になる
 意識が散漫 本がなかなか読み進められない

――当時の記録(日記)より抜粋――

 カタコトなのはまともな日記でも、読ませるためのブログでもなく、基本的にはメモとして残していたものだからです。Twitterのログから読み取るよりは具体的ですが、時間が経った今では同じくらい難解です。さすがに覚えていないですね。

 ただこの時期、本が読めなかったのは覚えています。読んでも時間がかかるので全然進まない。

 こういう時期は無理に本読んだりせず、のんびりしといた方がいいのかもしれないですね。

12/21 悪夢 最初に取り戻した感情は、怒り
 成果物を平気な顔で破棄する夢

――当時の記録(日記)より抜粋――

 そう、これは今でも覚えている。

 提出した書類を平然とした顔で破り捨てられる夢。

 泣きながら起きる。叫びながら起きる。

 ボーっとした状態からまず最初に取り戻した感情は、怒りです。

12/22 悪夢 思い出せない 頭か痛い 眠い
 自分の意志で異動したと伝えられていることを知る

――当時の記録(日記)より抜粋――

 覚えています。眠いです。

 今となってはもう過去の話しなので、思わず(笑)をつけてしまいたくなる。そんな思い出感はあります。だが、忘れてはいけない。この時の症状は、決して普通に生活している時に起こる状態ではない。実際には眠れないから眠い、だけじゃないです。後に同じくパワハラで鬱に追い込まれた人との会話で確信した。これは特有の症状です。

 さらに、事実が捻じ曲げられて伝えられている。そのことが発覚したのは、この時点です。自分の意思でギブアップしたのだと伝えられていたのです。

 なるほど。これが企業のやり方か。

うつを救う魔法の言葉──大丈夫とゆっくりでいいは救い

 そもそも考えがまとまらない上、理解するのに時間がかかり、言われていることが頭に入ってこない。そういう状態ですので、当然本なんか読めない、もしくは時間がかかります。

 考えられない状態なので、無理に考えようとしない方がいいです。焦っても仕方がないので、経験上そんな時間があるなら寝てしまった方が本当は有効です。

 でも、焦ります。仕方ないです。当たり前にできていたことができないのです。焦ります。

 そんな状態の時に言われた言葉。

・大丈夫です
・ゆっくりでいいです

 そう、大丈夫という簡単な一言で救われたのです。

 大丈夫は救いになります。根拠など要りません。大丈夫という言葉が欲しいのです。

 この状態の時は、今やっていることが正しいのかどうかという判断がつきません。何に対しても自信がありませんので。なので、根拠は全くなくていいです。大丈夫と言われることで安心します。繰り返しますが根拠は全く要りません。

 今やっていることが正しい(根拠はないけど)。今やっていることは急がなくていい(ゆっくりでいい)。そんな言葉を紡いで何かを成し遂げる。いわゆる達成感、成功体験を繰り返すことが、この時期大事だったのだろう。そう思っています。

悪夢──うつを加速させる最悪の状態

 変な夢を見るようになります。いわゆる「悪夢」というやつです。

 原因になった事象、ストレッサーである上司がやりそうな非道いこと。そんなことが都度都度夢に出てきました。

 この日は、目の前で書類を破り捨てられる、という内容でした。

 実際にこれに近いことは日常的に行われていました。こういう時代ですから提出物、イコール書類ではありませんが、よく「こんなもの役に立たない」の一言でスルーされたものです。基本的に部下を褒めることが全くない人でしたから、そういう場面がよほど心に刺さっていたのでしょう。

 叫びながら起きる。泣きながら起きる。

 根元にあるのは怒りの感情なので興奮して寝付けない。ようやく寝られたら叫びながら、泣きながら起きる。こんな夜が繰り返し訪れます。

 全く疲れが取れませんでした。

うつ期のまともに回転していない頭では説明できない──企業からのまるで口封じのような贈り物──

 仕事ぶりはまじめな方だったと思います。

 おかげさまで現場レベルでの信頼関係、パイプだけは根強く張り巡らされていました。そして未だに有効でした。情報源に近い場所へと配置変更されたことによって、客観的な情報が速度を上げて耳に入ってくるようになったのです。

 曰く、自らギブアップして異動を希望した、ということでした。

 なるほど。そう来たか。

 説明しようにも頭が回らない。説明したところで大黒様(ストレッサーである上司)は外面の良さだけが社内で浸透している。周囲がどちらを信用するのかは、一目瞭然です。

 懸命に説明をしたと思います。しかし、いくら末端の従業員に話をしたところで、各組織のトップ同士で結託されているため、状況は何も変わりません。

 ここに来てようやく、もう取り返しのつかないエリアへと追い込まれていることに気付いたのです。

 持ち合わせているのは、もうまともに働かない頭。もうどうしようもありませんでした。

 ただただ、どうにもならない状況を、どうにもならないという絶望感だけを抱え、眺め、過ごしていました。

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