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サラリーマンになったらパワハラでうつ病にされてしまいました(4)

とある5~6月のうつ状態

 そこにあるのは、ただ絶望。

 考えても、考えても、結論など出ない。どうしてこうなってしまったのか。その想いを抱えたまま、延々と考え続ける。ただ、考え続ける。

 ここではとあるうつ病にされたサラリーマンが緩やかに壊れていく様を、時系列に沿ってご紹介します。

Twitterから読み取れる5月のうつ傾向

5/8 本気になれないなー。GW休んでスッキリしたはずなのになー。
5/11 べつにえらいやつとはなしたところでありがたくもなんともないのでかってにしてください
 まきこまないで まきこまないで

――当時のTwitterより抜粋――

 GWはたっぷり休みました。休みましたが、その程度の休養では戻ってこないですね。

 ここでいう“えらいやつ”てのは大黒様(ストレッサーである上司)よりさらに上の、いわゆる役員クラスの人間ですね。大黒様は外っ面がいい。このイベント、異様に張り切ります。

5/11 ああ のうが ざらざら する

――当時のTwitterより抜粋――

 その結果が、これです。ついに来てしまいました。脳がザラザラする。普通に生きていたらこういう表現、出てこないです。全く分かりません。

 見返した今、改めて思う。助けを求めていますね。自分すら気付かないくらい薄く。

5/12 やりたいことがおおすぎてなにをしたらいいのかわからない
5/13 何もする気がおきないので一日寝転がってた。

――当時のTwitterより抜粋――

 普通に読んでいたら意味が分かりません。やりたいことが多すぎるくらいあるのに、何もせず一日寝ています。このように矛盾した行動が多々発生してきます。

 本当に何もしていません。テレビくらいは点けていたのかもしれません。ひたすらボーっとして、ひたすら寝ていたように記憶しています。

Twitterから読み取れる6月のうつ傾向

6/4 誤解を生まずに人と話すのって、なんて難しいんだろう。
 難しいなー。理解してもらうの。難しいなー。自分の考えを感情込みで理解してもらうの。難しいなー。
 人の数だけ考え方があるから。難しいなー。

――当時のTwitterより抜粋――

 他人に理解してもらうということ自体、普通に生きている上でも難しいし、特に気にせず生きている範疇のことなんですが、こういうことを改めて考えてしまうのです。

6/7 なにもうみだしたくない
6/9 どうしていいのかわからないなー

――当時のTwitterより抜粋――

 ついに混乱しはじめました。

 混乱してどうしていいのか分からない状態のことを、絶望といいます。正にこの状態のことです。

6/22 ここ最近整ってたのに。今日も調子良かったのに。何がいけなかったのだろう。どうしていいのかわからない。わからない。
6/23 なんだろう。どうしていいのかわからない。どうしたらいいんだろう。

――当時のTwitterより抜粋――

 文章から漂う、もう取り返しのつかない感じが、読み返していてただ辛い。

うつの症状は分かり辛い──最も難しいのは本人がまだまともだと思っているところ

 少しずつおかしなことを書き始めました。この時点でも十分おかしなことを書いているように見えますが、まだこの辺りは序の口です。この時期は、“趣味はできるけど気持ちが上がらない”の段階。気持ちが上がってこないから、いつまで経っても発散できない。

 みんなストレス発散について結構簡単に考えていますけど、ちょっとやそっとの休養くらいでは、戻って来ません。必要なのは完全にリセットするくらいの環境変化。だからこそ、メンタルヘルスのセオリーとして月単位の休養を勧められるわけです。

 まあ、無理ですね。特にこの時期は本人ですら、まだまともだと思っているくらいです。そんな理解のある企業なら、問題元であるストレッサーの方をとっくに潰しているはずです。

 何気に一番難しいハードルは、本人がまだまともだと思っているところ。本人が決断しない限り、状況は何も変わらない。決断したころには、もうまともな判断ができない状態になってしまっているのです。

 結論としては、まともな判断が出来るうちに逃げてしまうのが、本当はいいのかも知れない。今はそう思っています。

うつ期にありがちな行動矛盾──色々やりたいのに何もする気がおきない

 この時期、行動矛盾が見られるようになってきました。色々やりたいのに、何もする気がおきない。その相関性は至ってシンプルです。

 まず考えがまとまりません。これは常態的について回る症状です。色々やりたいことはあるが、何をするべきかの考えがまとまらない。考えがまとまらないから延々考えている。延々考えたところで考えがまとまらない。そしてまた考え続ける。次第に脳が疲れてきます。

 そこに来て“何もする気が起きない”が発動します。普通に生きている人たちから一番理解され難い部分でもあります。サボりとか、もっと頑張れよとか言われてしまうところですね。何度も言いますが頑張らないのではなく、頑張れないのです。どうにもならない。

 そのどうにもならない感情。何もする気が起きない。そこに延々考え続けて疲れている脳みそが着地します。まず寝ます。起きてリセットされた脳で考えます。でも考えがまとまりません。これの繰り返しです。

 色々やりたい。何もする気が起きない。これらは一見相反するように見えますが、実に相性の良い組み合わせと言えるでしょう。もちろん危険な意味でです。

うつ期のループ思考──延々と躓き続ける沼

 考えがまとまらないというのは真っ先に発現して、ずっとつきまとう症状です。そして徐々に自信がなくなってきますので、少しずつ好ましくない状況に追い込まれていきます。

 好ましくない状況とはどんな状況か。普通なら躓かないところで延々と躓き続けます。躓くことでさらに自信がなくなる。どうにかしたいので考える。考えがまとまらない。グルグル回り続けてしまいます。

 Twitterの記録から読み取る限りではこの時期、こんな状態にされてもまだ理解してもらおうとしていたようです。物語の登場人物としては大変いじらしい。ですが現実の自分には、残念ながらこの状況をどうにか出来るだけの強さはありません。まず間違いなく沼にはまっていきます。

 思い返せばこの時期はまだ普通に会話はできていたので、まともな時期としてカテゴライズされてしまうのが、全容を知った今思い返すととても恐ろしい。

うつ期のループ思考──絶望感に比例する平仮名の割合

 ここに来て“考えがまとまらない状態”が本格化していきます。特徴として、漢字の割合が減っていきます(個人の感想です)。もう思考を漢字変換するのすら、想い至らない状態だったのでしょう。そう思っています。

 そこにあるのは、ただ絶望。どうしたらいいだろう。どうしたらいいだろうと繰り返す。演技とかキャラ設定とかではなく、ナチュラルにそういう状態を抱えて生活しています。周りの人も相当困っていたでしょう。

 これまでも散々“考えがまとまらない”と言ってきましたが、今までと何が違うのか。強いて言えば、もう引き返せないという絶望感でしょうか。これまでは心のどこかで、まだ何とかなると思っています。

 そして暇ができるとずっと考えています。どうしたらいいだろう、と。 原因が分からないから解決できない。どうにかしたいけど、どうしたらいいのか分からない。延々繰り返し繰り返し考え続け、疲弊していく。

 混乱してどうしていいのか分からない状態のことを、絶望といいます。

 そこにあるのは、ただ、絶望。もう引き返せないのだという、純粋な、絶望。

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