サラリーマンになったらパワハラでうつ病にされてしまいました(10)
そんな1月のうつ状態(1)
まともに働こうとしていた。まともに働きたかった。判断基準と行動に異様さが見られるが、本人はそれに気付いていない。周囲はただ、困惑した表情を浮かべる。
形だけのメンタルヘルス検定。有資格者の意見が尊重される以上、マイノリティ側の存在は、意見は、ただ浮いてしまうだけ。
いつもと変わらないこと。いつもと変わらないもの。ただ、それだけが救い。
ここではそんなうつ病にされたサラリーマンが緩やかに自分を取り戻していく様を、時系列に沿ってご紹介します。
遺した日記から読み取れる1月頭のうつ傾向
1/3 正月休み 家にいる間は比較的まともになりつつある
1/5 出勤 些細なことで落ちる 頭が痛い
――当時の記録(日記)より抜粋――
会社から離れている間は、比較的まともです。
よく物議を醸す新型うつと近しい状態です。
理解はされにくい状態です。
1/6 出かけるつもりだったがやめておく 無理やりカラオケにはいく
――当時の記録(日記)より抜粋――
出かけるつもりだったのを止めたのに、カラオケには行きます。
別に矛盾があるわけではなく、せめて近所のカラオケにくらいは行こうという、比較的前向きなアクションです。
1/7 夜中2回起きる 眠い
1/8 眠い
1/9 眠い 首の後ろから蓋が開いて小さい人がぞろぞろ出てくる感じ
――当時の記録(日記)より抜粋――
悪夢は続きます。眠い。とにかく眠い。
変なことを書くようになっていますが、クリエイティブっ気を出しているわけではありません。多少のフェイクは散りばめているものの、基本的には当時書いてた日記をそのまま転記しています。
一見回復していくだろうと見せかけて、まだまだヤバい状態への入口が潜んでいた、ということです。
1/10 よく寝れたが昼間は眠い 考えがまとまらない もやもやする
頭の中がぐるぐるとかき回されてる感じ
――当時の記録(日記)より抜粋――
割と冷静に変なことを書いているのがこの時期の特徴ですかね。今見返すと、Twitterに書いてた頃は結構感情的だったと思います。
メンタルヘルス検定は意味がない──不調者を出さない、救うために活用されない
別に新型うつではありませんでしたけど、近しい症状だったので言及しておきましょう。
新型うつは甘え、みたいな風潮。偏見です。
ただでさえ「うつは甘え」という認識の方が多いのに、新型うつなんてまず理解されないと思った方がいい。
いくら企業がメンタルヘルス検定の受験を推奨したところで、従業員は自身の評価として合格したいだけ。管理者は自職場における合格者数の多さを自身の評価として欲しいだけ。肝心の内容には全く興味も理解もありません。
つまり、こういう状態になってしまうと、組織はメンタルヘルスに理解がないため、浮いた存在になります。その疎外感を常に背負った状態で、日々を過ごさなければならない。
単に理屈だけで考えても、大黒様(ストレッサーである上司)から離れ、職場から離れ。でも同一の組織内にストレッサーの存在がある限り、心穏やかになんて居られません。家にいた方がまともな状態になるってもんです。
周囲からの正しい理解はまず得られません。自衛するしかないです。
何とかなるのではないか。
そう期待し続けて、結構な時間を浪費してしまった立場から言うと、さっさと逃げちゃった方が賢いと思います。
いつもと変わらないこと──うつ期には得意分野での成功体験を
全力で休み、全力で解放する。大事なことですが、ある程度の余裕がなければ案外割り切れない。
この時期の主な発散の方法が、カラオケ、映画、バンド。なんだ、いつもと変わらないじゃないか。
だが、このいつもと変わらない、というのがいい。
ありとあらゆることに自信を無くしている時期でもあります。得意な分野でより多くの成功体験を重ねることが快方へとつながる早道。なにも気張って遠くへ旅行したりなど、しなくとも大丈夫です。
しかし全然知らない街へ行って、その街に存在しないはずの自分、という無責任な解放感を楽しむのも、また一興。
いずれにしても、楽しみ方は人それぞれ。無理が効くなら、ある程度無理してでも発散してください。それも駄目なら、とりあえず寝ちゃった方がいいです。
自然療養に潜むリスク──うつからの回復に自然療養は期待できるのか
眠い。この時期はとにかく、眠かった。
仕事中でも考えごとしてると寝ます。
会社には同じようにパワハラで病んだ先輩がいました。その人と話した時も、眠気に関する話題で盛り上がったことがあるので、多分共通のステータスです。あるあるというやつです。
眠い状態が常態なので、常に頭がボーっとしています。疲れているから変なことを考えるのか。何度も書いているように常に自責の念が渦巻いているせいなのか。
前項でおかしなことを書き出していますが、ずっとHDDに読み込みがかかっているような状態なので、そりゃおかしくもなります。
ストレス環境から解放されたからといって、簡単に快方していくわけではありません。解放されたからこそ、余計にゆっくり考える時間が出てくる。
なぜこうなってしまったのか。
特にこれだけは延々と考え続けます。今でも考えます。
ゆっくり寝る、休むのが一番なのですが、悪夢で起きるので十分な睡眠が摂れない。日中は延々と自責の念。時間に余裕があったところで、日々これの繰り返し。ついには幻覚のような症状まで出てくる始末。悪循環です。
眠れなければどうにもならない。
この時期の経験から、個人的に自然療養は期待できないと、思っています。
うつ期特有の眠気を覚ますためにやっていたこと
眠い。とにかく、眠いです。
仕事自体は負荷がかからないよう気を使われているので、締切のない業務を与えられたりしていました。というか、そもそ必要のない仕事を無理やり作られている感じでしょうか。
締切がない。必要もない。そんな仕事。眠いです。
眠気覚ましに何をやっていたかっていうと、お菓子食べてました。
うつろな目をしたオッサンが、眠そうな目をこすりながら、お菓子を食っている。そんなオフィス。異様です。
職場長ですら、細かい話は聞かされず受入れさせられていました。同じオフィスで働いているスタッフ、特にバリバリ働いていた頃を知っている人から見たら、異常事態です。
あの人に何があったのか。あの人がどうしてこうなってしまったのか。そんなこと、当然知らされていません。
現地の人間からしたらバリバリの状態で帰ってくるもんだと期待していたのに、ボーっとしてお菓子食ってる。もうどう接していいか分からないですよね。
当時一緒に仕事していた人達。大変だったろうなあ。今更ながら思います。
本人は「頭の中がぐるぐるとかき回されてる感じ」なんて書いたりしている通り、ボーっとした見た目の裏側で常に葛藤しています。問題はそれが自発的なものではなく、オートで思考が回り続けているという点ですかね。
頭は疲れている。眠い。夜は悪夢でキッチリ寝られない。眠い。
その繰り返しです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?