見出し画像

社長、人依存型はダメですよ

おい、どうするつもりだ!社長の大きな声が社内に響き渡っています。

中小企業の支援を行っていて、必ずぶつかる問題と解決策についてお話しします。


それって人依存型ですよね

中小企業を支援している中で、コロナ禍の時に実際にあったことなんです。

今までやっていた人が辞めてしまい、別の人が担当したら品質がガタ落ちになり、客先からクレームが来て、対応に四苦八苦した。

そんな話を聞きました。

一様、対策は行ったようなんですが、あまり効果は見られないようなんです。

なぜなら、手順自体が曖昧なことにつけて、作業手順書自体も満足なものが無いようなんです。

と言うことは、代わりの作業者がいくら一生懸命に作業しても、その作業自体が正しいのか確認ができないのです。

じゃあ今まではどうだったのか?

何と、今まで作業をしていた人は、何十年もずっと同じ仕事をやっていたので、頭と体で覚えており手順書など無くとも、目的のものができてしまうんです。

だから、手順書も必要は無く最初に作成した手順書は有るのですが、今までの問題点や作業ポイントは記述されていないものなんです。

いわゆる、作業者依存型の作業ですので、当然ながらその作業者が居なくなれば、同じ製品はできないんですよ。

当たり前ですよね、人依存だったのだから。


誰でもできることが標準

それでは、どうすれば同じ問題が発生しなくなるのでしょうか。

それはとても簡単な事です。

そう、ちゃんとした手順書を作る事ですね。このちゃんとしたと言うのは、この手順書通りに作業を進めれば、誰が作っても同じ品質のモノができる手順書のことですね。

これは、作業するべき内容と手順が明確に記載されており、少なくともこの手順通りに作業をしていけば、だれでも同じ物ができると言うものです。

なおかつ、作業する際の押さえるべきポイント、例えばネジの締め付けトルクとか、部品を押し込む時の押し込み圧などが、定量的数値で記述されており、かつ使用する治工具が明確に指定されている事がポイントですね。

このような手順書があれば、初めて作業する人でも時間は掛かるかも知れませんが、ちゃんとした品質のモノが確実にできるようになるのです。

つまり、手順書があればこの問題は解決するのです。



手順書を作るメリット

では手順書を作るメリットって何なんでしょう?

次のようなことが上げられます。

①モノを造る手順が明確になる。
②作業注意点が明確になる
③作業に必要な規格、基準が明確になる
④作業に必要な治工具が明確になる
⑤作業に必要な工数(時間)が明確になる
⑥発注オーダーに対する必要人員が明確になる
⑦生産計画が立てやすくなる

どうですか、たかが手順書ですが、整備することでこんなにもメリットが有るんですよ。

しかし、この手順書すら十分に配備できていないのが中小企業の実態なんですよね。

この手順書さえ有れば、熟練作業者に頼ることも無く、社内の作業者を縦横無尽に使用することができるようになるのです。

こんなメリットの有る手順書を整備しないてはないですよね。



できるところから直ぐやろう


こんなに良い事ばかりの手順書ですが、中小企業の場合にはなかなか整備できない実態があることも理解しております。

こういうことを実施しようとした場合、最初に立ちはだかる大きな壁は、手順書を作る人がいないと言う事だと思います。

これって中小企業の口癖ですよね。何かしようとすると、直ぐに出る言葉は「人がいない」という事。

この人がいないと言う一言で、全てのことが片付けられているのも実態ではないでしょうか。

そうは言っても、やらなければ人依存型の作業は解消されず、人が辞めるたびに問題が発生し、経営は悪化するばかりなんです。

手順書をつくる人なんて誰でも良いんです。

職人さんにヒアリングをして、まずは手順書の骨子を作成し、できたものを職人さんに見て貰いチェックすれば良いんです。

何度もチェックして良しと思った時点で、全然作業を知らない事務員さんに手順書を見ながら作業をしてもらい、時間が掛かってもちゃんとしたモノができれば、その手順書は正しいのです。

まずできるところから直ぐに始める。このクイックなアクションが重要な事なんです。


自分は中小企業で、こう言う話をしながらできた手順書をチェックする作業をつい最近までしておりました。

やはり、最初にできたときは作業を知っている人が作ったために、内容が理解出来ないような書き方が非常に多かったです。

しかし、その都度質問をして内容を確認し、納得した上で全て修正をして頂きました。

その後、手順書の書き方を自分たちでまとめて貰い、新機種が出た際にはそのまとめたモノを基準に新たな手順書を作って貰うような体制にしました。


何でも無い小さな手順書がちゃんとできていないだけで、会社としては大きな損害を発生させるのです。

社長、まずは作業の棚卸しをして人依存型になっている工程は、全て手順書を作成して人依存型を脱出しなければダメですよ。

その指示が出せるのは、そう、社長さんだけです。



自分はずっとものづくりに関わる生産技術畑で生きてきました。この記事を読んで、気になる社長さんや管理職の方がおられましたら、是非お声がけください。

惜しみなく協力をいたします。日本の未来を支えているのは中小企業のものづくりなんですから、未来に向かって一緒にやりましょう。




「何かを感じることができましたら、下記よりサポートお願いします。あなたのサポートが活動の支えになります」


じぇいかわさきです。生産技術者として35年、今まで培った経験とスキルを元に、ものづくりに関わる世の出来事に対して思ったことをホンネで書いてます。ノウハウやアイデアもありますよ。 また写真も全力で撮っています、気に入った写真があればサポートや感想をぜひお寄せください。