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逆襲が始まった産業用ロボット業界

2014年ころからでしょうか、人材不足解消としてロボット導入が推奨されて、経産省の旗振りの元に一気に導入が加速するかと思ったロボット業界でした。

この時の主軸は、人ラインに導入可能な協調型ロボットであり、採用が難しくなった労働力の補完が完全な目標でした。

しかし、実際にはロボット自体の精度やスピードの問題もあり、思ったほど導入は進まずに今に至っております。

その一方、従来から一定の地位を築いてきた産業用ロボットですが、こちらも操作の問題や価格の問題、占有するフロアスペースの問題と劇的な博大はしておりません。


産業用ロボットが普及しない理由のあれこれ

実は正直なところ、産業用ロボットってちゃんとプログラミングできれば、動作精度と動作速度の優位性が有るので、かなり人作業の代替ができるんです。

しかし、こちらもいろいろと問題がない事はないんですね。一言に産業用ロボットと言っても、人のように間接をたくさん持った多関節ロボットと、X,Y軸を主として高速搭載機能に特化したようなスカラー型ロボットの2種類があります。

当然、このどちらも得手不得手が有るので一概にどちらが良いとは言えずに、むしろ実行させる作業の要素動作によって分ける方が賢い使い方だと思います。

そうなると、各々の動作を理解して動作プログラムの作成を覚えなければいけないという問題が発生します。多関節で三次元的に動く多関節ロボットと二次元的なスカラーロボットでは、動作制約が全く異なるからですね。

更には、ロボットメーカー毎に操作用プログラミング言語が設定されていますから、1つのメーカーを選択したら基本そのメーカーを使い続けないと、似て非なるプログラムをまた習得しなければいけなくなります。

こういう問題は、意外と根が深く導入に対しての足枷になるんですね。


産業用ロボット業界もついに逆襲に転じる

先に述べた理由などにより、思ったほど普及していない産業用ロボット。製造メーカーも何とか普及させたいという思いから、ロボットメーカー6社がついに手を取り合うことになったんです。

6社とは川崎重工、デンソー、ファナック、不二越、三菱電機、安川電機です。

各々特徴を持つロボットメーカーが、普及への危機感から産業用ロボットの基礎技術研究を行うROBOCIPを設立したのです。

ROBOCIPとは「技術研究組合 産業用ロボット次世代基盤技術研究機構」の事で、産業用ロボットは、多くの工場で導入が進んでいる一方で、基礎技術研究分野では解明されていない領域も多く、研究人材の育成と、裾野の拡大と研究の深化が求められている。この研究用リソースを各社単独でするのではなく、共同で行おうというのが趣旨のようだ。

多くの工場で導入が進んでいると言われているのは、自動車工場やそれに伴う自動車部品工場が主で、電気産業や食品産業に対してはまだまだではないかと思われる。


ROBOCIPが進める研究対象

ROBOCIPが主に研究対象として進めていくのは以下の内容だ。

1.「モノのハンドリングおよび汎用動作計画に関する研究」

2.「遠隔制御技術に関する研究」

3.「ロボット新素材とセンサー応用技術に関する研究」

そして、各研究項目で多品種少量生産現場をはじめとするロボット未活用領域においても対応可能な産業用ロボットを実現するため要素技術を確立することを目標とする、そう目標を掲げているが実際にロボット導入に関わってきて思うことは、産業用ロボットも協調用ロボットも変わらない部分にある。

それは、プログラミングの汎用化と設計プロセスの標準化、簡易化につきる。

プログラミング言語が異なる為に、他機種への移植が難しく、求める性能を出すためにはかなりの独自チューニングが必要となる。

個々の会社で実行している間は分からないことだが、研究機構となったことで是非標準化をしてもらいたいものだ。


まとめ

今回のROBOCIPの設立により、ロボットメーカー関係なく標準化が進み、移植が簡単になってくると導入後の普及展開も非常に楽になってくる。

現状の最大課題は、最適と思われるロボットが有ったとしても、従来導入したロボットメーカーと異なる場合には、立ち上げやメンテナンスの事を含めて二の足を踏んでしまう。

それが無くなるということは、普及に対して大きな前進となる。

是非とも早々に実現していただきたい内容だが、すでに制定している通信規格のORiNのようにならないでほしいと心から思う。

ORiN (Open Resource interface for the Network)とは,工場内の各種装置に対して, メーカ,機種の違いを超え,統一的なアクセス手段と表現方法を提供する通信インターフェースであるが、実際には書くロボットメーカーが独自規格を採用しているため、統合的なアクセスが出来ないのだ。

こうならないようにしてほしいですね。

また、産業用ロボットがこのような事を考え出したのであれば、当然ながら協調型ロボットもせめて国内メーカー内では、このROBOCIPに準じてほしいですね。

実際の向上に導入する場合、適材適所で産業用ロボットと協調型ロボットの両方を導入するケースが多い。そうした場合、送付がROBOCIPの考えに準じていれば、異種混合をあまり考える必要がなくなるからだ。

これは現場サイドの生産技術者から見た目線では最高に素晴らしいことになる。自分個人としては、こういう部分に期待している。


じぇいかわさきです。生産技術者として35年、今まで培った経験とスキルを元に、ものづくりに関わる世の出来事に対して思ったことをホンネで書いてます。ノウハウやアイデアもありますよ。 また写真も全力で撮っています、気に入った写真があればサポートや感想をぜひお寄せください。