見出し画像

広島イズムを取り入れ、黄金時代復活に歩み始めた中日ドラゴンズ

なぜソフトバンクと広島は黄金時代を築けたのか?

その大きな理由の一つとして「育成成功した高卒野手の数が多い」という答えがあります。

日本代表クラスを多く育成成功するためには当然、相応の素質を持った逸材を指名することがマストになります。

そして近年のドラフト指名を振り返ると中日がドラフトを変革し、将来黄金時代を築く可能性が高いことが判明!?

まずは2013年までの高卒指名選手を振り返り、広島SBの強さの要因と中日オリックスの反省点を見ていきましょう。

素質の高い野手を多く指名し着実に育て上げてきた広島

画像1

高卒1年目の成績である程度の選手の素質を図ることができるというのが僕の持論です。上の図は2005~2013年までの指名選手のウエスタン1年目の成績です。OPS.600以上から日本代表クラスが増えることが分かると思います。僕はOPS.600以上の野手を「逸材野手」.700以上の野手を「天才野手」と呼んでいます。

広島はウエスタン5球団で最多の逸材、天才野手を計4人を指名しました。また、そのうち3人を日本代表クラスに育て上げる育成能力を示しました。丸、會澤、鈴木誠也が広島の3連覇の地盤となったのはいうまでもありません。全国から逸材を発見し獲得するスカウトの眼力が優秀な印象を受けます。

広島の特徴

・逸材や天才を他球団より多く獲得できるスカウト力の高さ

・素質のある選手の力を確率高く開花させることができる育成力

3軍制をうまく利用し、育成力に秀でるソフトバンク

画像2

ソフトバンクの特徴は何と言っても資金力の高さから多く数を指名できる点と、環境のいい3軍制を敷くことで得られた育成力です。

・逸材野手2人とも日本代表に育て上げた着実な育成力の高さ

・OPS.500代の上林、出場機会なしの甲斐もレギュラーにできる環境

素質的にはそこまで高くなさそうな選手でも競争を促して実力をつけさせる環境は素晴らしいですね。育成指名選手が1年目から2軍で好成績を出すにはかなりハードルが高いこともわかります。また、クビになる選手も当然ダントツで多いですが、出場機会なしから日本代表まで育て上げたのはソフトバンクだけです。

ただし、逸材野手の通算は2人天才野手は0人とスカウティング力は高くありません。資金による高い育成力と選手保有数を生かした育成と言えます。

落合政権の中日は高卒の指名数が少なかった

対象となる2005年から2013年の間、中日は落合政権の時代が長かった。落合はGMとしても大学社会人偏重の傾向がありましたが、監督の頃から高卒を嫌悪する傾向がありました。この期間で7人とダントツの少なさです。

中日は実は育成力がかなり高い

全高卒指名数7人のうち、4人が1軍の戦力になっています。広島は12人中6人と広島に匹敵する育成力の高さを持っている可能性があります。逸材以上の野手3人のうち2人がレギュラー、1年目のOPSが.600を超えなかった4人の内、堂上福田を1軍の戦力にしているので育成はかなりいい方だと思います。高卒選手の指名数を増やすことで広島のようになれると判断できます

飛び抜けた選手をスカウトできなかったオリックス

オリックスは逸材野手2人とSBとともに最下位です。逸材が少ない上にソフトバンクのように数でゴリ押しできない環境、レギュラーまでにはなったが日本代表レベルにはならなかったことが低迷につながっていると個人的にデータから思います。

T-岡田は日本代表になってもおかしくない逸材だったとは思いますが定期的に壁に当たって苦しんでいます。若月伊藤をレギュラーにしたのは見事だと思いますが、

・逸材野手の数が少なめのスカウティング

・レギュラーにはできるが日本代表クラスまで突き抜けられない育成

この2点が挙げられると思います。しかし、OPS.500台を2人もレギュラーにしたこと、逸材野手T-岡田を本塁打王獲得までに育成した点から、標準程度の育成能力はあると思います。スカウティング能力を見直せばより強くなると思います。

2014年以降の高卒指名選手から今後を占う

画像3

画像4

灰色は退団選手、クリーム色は現時点で育成契約の選手です。1球団論外なところがありますが、4球団ともコンスタントに高卒野手を指名できている印象です。特に中日とオリックスは改善傾向にあります。

石橋、伊藤に石川、岡林が加わり空気が変わった中日

過去3年で中日の指名が大きく変わりました。逸材野手である石橋、伊藤の指名に成功後、昨年のドラフトで指名した石川、若林は2軍で練習試合含めものすごい成績を叩き出しています。

岡林勇希 
65打席 .295/.323/.426/OPS.749

石川昂弥 
59打席 .305/.349/.475/OPS.824
このまま順調に行くと2人とも天才野手の仲間入りをすると言うことになります。中日の前述による育成力はなかなかのものですから、将来的にかなり強くなりそうです。

天才野手、太田に期待がかかるオリックス

オリックスも近年ドラフトがうまい球団の仲間入りをしています。山本由伸や山岡など素質の高い選手をスカウトすることができるようになりました。263打席でOPS.700超えの太田は確実に日本代表クラスになれる逸材です。また、打席数は少ないながらも高い素質を見せた宗にも期待です。オリックスはOPS.500台の選手が5球団で1番多いです。過去に.500台から若月伊藤を育てた実績があるのでOPS.500台の選手が多いのもプラスに働くのではないでしょうか。

2020年にしてようやくスタートラインに立てた阪神

2014年から2018年までの指名選手で逸材野手以上が0人なのが阪神でした。中堅が育っておらず大卒や社会人の選手を急遽補強しなければならなかった事情があったにせよ、金本政権下で1人も高卒野手を指名しなかったのは悪手です。去年球団がこの異常さに気づき、上位5人高校生を指名しました。井上遠藤は高いポテンシャルを見せており、逸材野手の仲間入りを果たせそうです。しかし、仮に2人がOPS.600以上を記録したとしても逸材の数はそれでも広島SBの半分です。まだまだ高卒野手を指名する必要があります、2014~2018の間に逸材0人と言うツケはとても1年で払いきれるものではありません。むしろここからがスタートです。個人的にはまだ後10年育成下手から脱却するのにかかると覚悟しています。

広島、ソフトバンクの黄金時代は続く予感

天才野手坂倉は現時点では伸び悩んでいますが確実にレギュラー以上にはなると思いますし、一昨年のドラフトで4人一気に逸材を獲得しました。やはり広島のスカウティングは健在です。

ソフトバンクはさらにスカウティング力が向上し、九鬼増田三森野村栗原など素質溢れる野手を獲得できています。衰えるどころかますます力を付ける可能性があります。


仁村監督の育成力の高さにも期待

仁村監督は厳しい指導で選手を鍛え上げます。昔は荒木、井端、森野を2軍で徹底的に鍛え上げました。野球に対する知識と引き出しが豊富な二軍監督うってつけの名伯楽です。石川、石橋、伊藤、若林計4人の逸材の育成に期待がかかります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?