りおんさん書

炎上から始まった雑誌「GG」はちょいワルジジのバイブルとなるのか

 先日ネット上で炎上騒ぎになった雑誌「GG」の創刊号が発売されたので購入してみた。中身はいたって普通のファッション誌で、編集長の岸田氏が以前手がけたという男性ファッション誌『LEON』のコンセプトはそのままに、対象年齢を引き上げた感じだろうか。

 ファッションも洋服のみならず和服や小物類、時計やサングラスなど、さらには飲食店や温泉旅館まで紹介されている中にはいくつか気になる記事や表現はあるものの総量に対しての割合は少なく、それらをいちいちあげつらったところで炎上するほどのものでもないと思われる。

 炎上した記事のようなことが書かれている部分はあるが、当初からそうなのか炎上を受けて書き直したのか表現は抑えられている。例えば先日の記事中では美術館で女性の一人客に薀蓄を披露せよとなっていたところは「パートナーの貴殿を見る目も変わろうというものです」となっているし、焼肉店に女性連れで行くのではなく居合わせた女性客と仲良くなってその後近くのラーメン屋に、という内容になっていた。

「ちょいワルジジ」になるには美術館へ行き、牛肉の部位知れ--newポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20170610_561363.html

 本誌中にはサファリパークなどではなく実際にアフリカに行って本当のサファリを楽しもうという記事や私のような貧乏人には手も出ないような高級外車の紹介もあって、こちらは楽しく読ませていただいた。また、鮎の骨取りの作法など参考になる記事もあり、決して決して私が以前書いたようなナンパマニュアルなどではないようだ。株式投資の指南やED治療薬の記事は、対象年齢を考えてのことだろうか。

 年々雑誌が売れなくなり、その理由がインターネットの発達と一般への普及であるとも言われる。今回の炎上が意図した結果であるのかは知りようもないが、雑誌の天敵とも言えるインターネット上で炎上騒ぎでも起こさなければ新雑誌の立ち上げもままならぬというのであれば皮肉な話である。大手コンビニチェーンでは、国内に二万店近くある店舗を改装して雑誌コーナーを縮小しイートインコーナーを拡張するという話も聞こえてきて、雑誌・出版業界にはさらなる逆風となるだろう。それでも新たに雑誌を創刊して新しい需要を掘り起こそうという姿勢、気概は評価されるべきであると思う。

 ともすれば供給過多に陥るほど情報にあふれたインターネットに勝る雑誌の強みとは、取捨選択された記事とその内容の信頼度であろう。インターネット上の記事であれば、なにか間違いがあったりしてもほとんどの場合には訂正や記事自体の削除で済まされ、すぐに人々の記憶から消えていく。しかし一度出版された紙媒体の雑誌は、なにか間違いや問題があっても購入した読者の手元にそのまま残ってしまうのだからそうはいかない。

 雑誌「GG」は、あくまで自身がお洒落な「ちょいワルジジ」なるためのサポートをしてくれるものである。普段から服装や身だしなみに気を使い、立ち振る舞いを意識して格好良く歳を取ることは決して悪いことではないはずだ。ただ、根底に有る下心が透けて見えるようでは「ちょいワルジジ」が女性ばかりではなく男性からも迷惑な、厄介者の代名詞のように思われてしまうこととなる。自分では恰好良くなったつもりでも、様々な理由によって女性に振り向いてもらえぬとは限らないのが男性の悲しいところであるのだが、女性にも選ぶ権利がある以上それは仕方のないことである。「GG」を読んで「ちょいワルジジ」を目指す諸先輩方には、是非とも女性の方から声をかけてもらえるほど、我々年下の同性が憧れるほどに格好良くなっていただきたい。「GG」が「あの炎上した」ではなく「お洒落な高年齢男性の必読書」として人々に知られるために。

炎上した記事だけを読んたときに書いたものがこちら。

本文は以上ですが、有料部分に最初に書いたものを載せてみます。

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