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3年目に突入

2018年1月にスピリッツ免許を取得した。

申請書を出してから約4か月。来るのが楽しみで楽しみで待ち遠しくてうずうずしていた2017年の冬。ようやく免許が取れた!!これでやりたいことができるそうワクワクしてからもう2年もたつなんて。

あれから2年半。クラフトジンのおかげで、たくさんのバーテンダーさんと出会った。


素敵なBARにも出会った。

今までは出会うことが無かった、少なかった洋酒をメインで飲むお客様とも出会うことができた。

私にとって、とても大きな出来事だ。

いろんなバーのイベントやバーテンダーさんのイベントにも読んでもらえるようになっておいしいカクテルも知った。

海外進出するきっかけにもなった。

ジンを造るようになって本当に本当に良かったと思う。

昨年末ぐらいから今年4月で発売から3年目突入という事で新商品とイベントを考えてた。バーやSNSも使ってのイベントを。

商品も企画・試作していた時にダイアモンドプリンセス号のニュースが出てきた。

【これはもしかしてイベントとかしている場合じゃなくなるんじゃないか?嫌な予感当たらんならいいけど】って。

母とも『もしもの場合はスピリッツ免許あるからよかったね』て会話をした。

だって焼酎免許だけでは45%未満しか造れないから。

3月後半になると、母の福祉施設でも消毒液が手に入らなくなってきた。

「毎日いろいろ消毒しなきゃいけないからそろそろ足りなくなる」

『うちの分だけでももう作ろうか?おもちゃや手すり消毒するのにいるやろ?』そんな会話を家でし始めたころ、

東京や大阪に住むお客様でありお友達からも高田は高濃度アルコール造らないの?って言われるようになった。

一度は断った。

だって大手みたいに大規模では作れないから価格も高くなる。正直米もこだわるうちの焼酎は安くはない。。。だからどうしても高くなる。自社で使う分ぐらいであればいいが販売までは無理だと思ったから。

いくら儲けなしで価格抑えても到底大手の金額には並べれないから買う人いないだろって。

でも、【母のところの分ぐらいは】と申請書の準備ははじめた。

母の園に通う、110人の小さなかわいい子供たちと、毎日その子たちを笑顔で見守っててくれる保育士の先生たちを守りたかったから。

母の園は、高田酒造とは別法人であれど、私にとっては、高田ファミリーだと思ってる。母方の祖父母が残し母が運営している私も通った大好きな保育園。そこを支える保育士は大事な大事な高田の仲間だ。その仲間と家族ぐらいは守れるようにありたいと。


準備している最中、大きな出来事が起きた。

酒造メーカーが造るアルコールを厚労省が認めたのだ。

そしてもう一つ。

地元医療機関の医師がコロナに感染した。。。。


陸の孤島人吉球磨には大きな事件。一気に事態は急変し私たちの気持ちも固まった。

『今私たちにできることは、少しでもみんなの安心安全のためにアルコールを造ろう。自分たちだけの分だけではなく必要な人にも届くように』

消防・県の保健関連の部署、税務署各方面とやり取りしつつ、ビンの手配、ラベルの準備。試作しては福祉施設の知り合い数園に香りとか使用感を見てもらう。

自分たちの持つ、設備と知識と技能とアイデアをそれぞれが出し合い出来る限りの事をした。

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自分たちだけでは(社長含めて蔵に5人なので)到底無理だから酒販店さんに協力のおねがいして超ソーシャルディスタンス取って青空会議。

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たくさんの方の協力のおかげで、高濃度アルコールを造ることができ、4月20日地元の福祉施設約80園に少しずつではあるが寄贈することができた。

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バーテンダーさんで元記者の方が「そぎゃんよかこっばすんならば(こんないいことするのであれば)」と地元紙やTV局に声かけてくれ、取材もあった。本当にいつもありがたい。結局電話ラッシュで1つしか見れなかったけど。

それから2週間。毎日残業。スタッフにはさすがに日曜は休んでっていうけど、日曜も家族で瓶詰ラベル張り。全自動の機械なんてなく、すべてが手作業。時間もかかる。


販売に行けず暇になると思ったGWが全く別物になった。

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どこにも行けず遊べないお手伝いのGWだったが子どもたちもお手紙を折ったり仕切りを組み立てたりと出来ることを手伝ってくれた。

この2週間で3キロやせたぐらい、本当は大変だったのかもしれないけれど、たくさんの人からのありがとうが私たちの心の支えで活力だったおかげでとてもとても充実していた。本当はこんな非常事態で充実しているとか言ってはいけないのだろうけど。

地元の人をはじめ遠くは北海道の歯科医院さんからも。

『助かりました。ありがとう』

この一言を聞いて、今自分たちにできることを、自分たちの園だけで終わらせなくてよかったと本当に思った。

最前線で戦う医療介護福祉の方のお役に立てたのならばやってよかったと。

まだまだ、今までの日常には到底戻っていない。もう前と同じ日常は来ないかもしれない。

しかし、少しでも早く、この高濃度アルコールが必要なくなる世界が訪れることを切に願う。次なる、いま私たちにできることを模索しながら。




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