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私、母親には、なられへんわ




小学生4年生の時「五体不満足」を読んだ。

小学校中学校で5冊も読んでない私が、ちゃんと読めた唯一の本。20歳までこの本ぐらいしか読んだ記憶がない。そんな本。


「五体不満足」の本の中で、手足がない子どもを見て、母親が第一声「かわいい」というシーンがある。


衝撃だった。


私に赤ちゃんができた時、その赤ちゃんに手足がなかったら、わたしは「かわいい」と言えるだろうか。と。

いや、言えない。

そのシーンを見た時、「かわいい」と言える母はすごい。「あー、わたしは、母親にはなられへんわ」と思ったことを覚えている。

トラウマだ。

読みたくなかった、とさえ思った。

わたしは、「五体不満足」で読書感想文をかいた。そのシーンのことを書いた。

「かわいい」と言った乙武さんの母親はすごいと思います。私は子どもを産んだことがありませんが、私がもし彼女の立場だったら、五体不満足の自分の赤ちゃんを見たら、正直「かわいい」と言える自信はありません。母親になれば「かわいい」と言えるのでしょうか、言えるようになりたいです。

という旨を書いた。

その読書感想文は、クラス代表として選ばれた。選ばれたことは嬉しかった。でも、自分の感じたことが正しくないみたいで嫌だった。もし、それを人に言ったら相手が困りそうな気がした。

その本を読んで以来、わたしは「障害の子がもし生まれたら、私はちゃんと育てる自信がない、だから私は子どもを産んではいけない」となんとなく思っていた。だから、ちゃんと産める人がとても羨ましかったし、わたし以外の女の人はどんな子が産まれたとしても愛せる自信があるんだろうな、と思っていた。

赤ちゃんが生まれた時、わたしはちゃんと愛せて、ちゃんと育てられるのだろうか

そんな問いを、その「五体不満足」を読んで以来、なんとなく、わたしはずっと持ち続けていた。

結局、いつも産んでみないと分からないな、という結論になることが多かった。

きっと、それがずっとあるってことは、【いつか愛する人との子どもが欲しい】と思っていたんだろう。それに母親にずっとなりたかった。

母親になるのが夢、ってのをずっと持ってたけど、周りのみんなが立派な夢を掲げてる中、私は自分の夢をいう勇気がなかった。それに、言ったら「もっとちゃんと考えなさい」と言われそうで嫌だった。だから、誰にも話さなかったし、誰にも話せなかった。

誰かに打ち明けたときに、夢が否定されそうでこわかった。大事なものを傷つけてほしくなかった。だから私は自分で大切に守っていた気がする。

母親になりたかったからこそ、ずっとその疑問を持ち続けていたんだろう。


ちなみに、手相を見てもらった時。
左手(もともとの素質)右手(変わった部分)


見てくれた人に「左手が専業主婦として満点の手」と言われたことがあり、私は【愛する人の居場所になりたい】とずっと思っていたけれど、そのらゴールに向かって突き進むのはこわかったんだと気づいた。

赤ちゃんと接してみて

最近、赤ちゃんや小さい子と接する機会がある。

「五体不満足」を読んで、実際に赤ちゃんや小さい子と接する機会が私にはなかった。ずっと、得体の知れない何かだと思っていた。

何かわからない存在だから、こわかった。

でも、接してみて、周知の事実かもしれないけれど【存在が癒し】だと思った。【愛をこちらに向けてる物体】なのかも知れないと思った。


もし、私が、妊娠するとして、

自分の大きなお腹を見て、あー彼の子供だなって思って嬉しくなったりするのかなって思ったりする自分がいると思った。

想像するのと、接するのではまるで違うなと思った。

それに、ふと私が赤ちゃんを「育てる」というより、子どもに私が「育てられる」感覚の方が近いかなと感じた。

赤ちゃんは勝手に育つ。親の生き方を見ながら、育つ。

自分が「育てられる」と考えた時、それは楽しいことだなとも思った。

【追記途中】五体不満足を再読してみた

まず、はじめに、私は本を全部読んでたと思っていたけれど、もしかしたら読んでなかったのかもしれない。(記憶では読んだつもり満々だったけど)

というのも、母が「かわいい」というシーンはまえがきにかかれていて、私は小学生の時まえがきとあとがきで読書感想文を書いてた記憶があるからだ。

やっぱり。「かわいい」というシーンを読んで、自分の赤ちゃんが五体不満足だと想像すると第一声が「かわいい」は難しいかもしれない。ただ赤ちゃんに対しての怖さみたいなのはなくなった気がする。



(今読んでる最中)今、この本を読んで感じたことを、追記で書いておこうと思う。






自分が立派な母親になれるかはいささか疑問だけど、そもそも、立派な母親というのは子どもにとってプレッシャーで、私が幸せにいることが、将来の私の子どもが幸せになれる方法なんだろうと思う。

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