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「パパが嫌い、汚い」(母親との関係について)


父に足の裏や足をモギュッとされるのが好きだった。

私は父との距離が割りかし近い方で、小4まで一緒にお風呂に入っていた。でも、友達の話を聞いてやめた。父と一緒にお風呂に入ることがおかしいことだと思ったから。

友だちが「お父さん嫌い」ってことを聞くたびに、かなしい気持ちになり、友達が「パパ嫌い」というのは、ママが言ってるからだとなんとなく気づいてた。

「パパ嫌い」って言葉を聞くとなんだか私の心が傷ついてるような気がした。自分のパパが悪く言われてるわけじゃないのに、すごく胸が締め付けられた。好きなものを攻撃して欲しくなかったんだと思う、私が好きなものを嫌いになってほしくなかったんだと思う。

中学生まで、わたしは、両親がお風呂に一緒に入ることは当たり前だと思っていた。そして、母は父が大好きで「なんで、とうさんばっかエコ贔屓すんねん」と母に対して怒っていた。エコ贔屓する母が嫌いだったし、「父のことがすきなんだろうな」と子供の私が分かってしまうような乙女顔の母が嫌いだった。父の前だけぶりっ子の母親が嫌いだった。嫌いというかむず痒かった。いや、嫌いだった。

母は、娘の私には厳しいのに、父には甘い。そんな母にすごくムカついていた。

私はお父さんって呼ぶのに、母が父を名前で呼ぶのが羨ましかった。母にお父さんをとられそうで、母が嫌いだった。両親どちらも好きだけど、母のことは嫌いだった。(多分、エレクトラコンプレックス)

私は父にも母にも愛されたはずだけど、私は父に愛されたから、母の愛を受け取るのを遠慮した。父にはたくさんスキンシップしてもらった記憶があるのに、母には「もっとハグして欲しかった」と思う自分がいて、仕事を頑張ってる母に、機嫌が悪いことが多めの母に、甘えるのは負担だと思っていた。母にはどうしても甘えられなかった。地雷がどこにあるか分からない母がこわかった。ずっと母との距離が分からなかった。母と仲良くなりたいけど仲良くなれなかった。親子関係は対人関係に現れるんだろう、だから私は、女の子がずっとこわかった。親友は女の子だけど、新しく女の人と仲良くなることができなかった。女の子に近づきたいけど、女の子という生き物がこわかった。


ずっと嫌いだった母のこと

ここ数年、母親に会うたびに「あれ、この人こんなに可愛くて、愛おしい生き物だっけ?」と思う度合いが大きくなっている。その度合いが大きくなるにつれて、自分のことが「好きとか嫌いとか」そういう感覚もなくなっている。自分を愛せるようになってきてるんだと思う。

前は「母と仲良くなりたい」と思ってたけど、今はそれが消えてる。(仲良くないから仲良くなりたいと思う)

私は母の何が嫌いだったんだろう


私はずっと、母親のようにはなりたくない。母親の生き方はしたくない。と思っていた。そして仕事で忙しくて疲れてる母が嫌いだったと思っていた。仕事の愚痴を言ってる母が嫌いだった。でも、嫌いだったのは、大事な母をいじめる仕事だった。嫌いだったのは、【私と母との大事な時間】を奪う仕事だった。嫌いなのは、母じゃなくて母の働き方だったのかもしれない。

大人になった今なら、母は疲れていただけだと分かるけど、小さい時は、20〜21時に帰ってくる母の空気からピリピリしたものを感じていた。それは怒っているようでこわかった。私が同じことをしても機嫌がいい時は何もないのに不機嫌なときは怒るような気がした。だから空気がピリついたら距離を保つようにした。母は普段は私の話を聞かないくせに、怒ってる時だけは何度もしつこく「何言ったんや!いま」と聞いてきた。すごく嫌いだった。いつもは私のことに関心持ってへんくせに黙れよって思ってた。

中学生になって兄が引きこもった。私が中学で始めたバレー部で副キャプテンになって「シネ」と書かれた。小学校からバレーをしてる子もいるわけで、私が副キャプテンに選ばれたのが気に食わなかったんだと思う。チームメイトみんなから「シネ」と言われてるような気がした。すごく苦しくて、外では兄のことを言えなくて、家では自分の苦しみを言えなくて、一人で頑張るしかないような気がした。自分の手を切ってこれじゃ死ねないなと死ねないことに絶望した時、リストカットじゃ死ぬ確率は低いと知った時、母は兄でいっぱいいっぱいのように私からは見えた。私が苦しんでるのに気づいてくれない母が嫌いだった。

母に、もっと構って欲しかった。でも構ってくれなかった。だから嫌いになってたのかもしれない。

私を見て欲しかった。気づいて欲しかった。

なんで、母が嫌いだったかも、今じゃなんだかうろ覚えで。全てを母のせいにして生きてたことを辞めたら、母のことを嫌いじゃなくなったのかもしれない。

母のことを愛おしく思い始めた私だけど、母はずっと母で、母はずっとそこに存在してて、ただ私の母への捉え方が変わった。私が変わったから母が変わった。

父の前で乙女顔になる母も。可愛い下着を見つけた時に「買ってあげよか?☺️」という母も。私が母の頭皮マッサージ中に母が「疲れたら辞めていいんやで」と言った5秒後にはスースー寝音をたてて寝てる母も。「料理苦手やねん」って言いつつ、クックパッド見ながら、いろんな美味しい料理を作ってくれる母も。すぐ調子に乗る母も。運転中喋ってた「あ、通り過ぎてもうたわ」っていう母も。「なんやかんや仕事のこと好きやねん」という母も。愛おしいなぁ〜と思う




母はずっとずっと、私を愛してくれていた


そう、愛してくれてた

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