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お召いろいろ。縮緬との違いなど。

仕立上がりのお召のお着物をお預かりしました。
お召しは 柔らかものと紬の中間のような着物で
戦後の一時期 大流行したものです。

縮緬とも似ていて全体にシボがあります。
このシボの正体ですが
縮緬も御召も縮みも 強撚糸という
強い撚りを掛けた糸を使って織られてます。
糸に撚りを強くかけると
チリチリにちぢれてしまって 織ることが出来ません。
それを濡らして引き伸ばし、糊で固めて緯糸とします。
織り上がったものを 湯のしにかけ
糊を落とすと 強撚糸の性質が蘇って縮み、
生地に皺を創るのですが、その皺がシボの正体です。

どちらも強撚糸を使った織物ですが
では、御召と縮緬の違いは?

一言で簡単に言えば 先染め か 後染か、ということです。
御召は 紬のように先に糸を染めてから織りるので
色無地や縞、格子、または絣模様、地紋などの織模様です。
対する縮緬は 染めずに織るので 織り上がりは白生地です。
後から手描きや型染、その他の技法で 柄や色を付けていきます。
また、通常、白生地などの縮緬は縦糸に撚りをかけず、
緯糸に右撚りと左撚りを交互に用いることで独特のしぼを出しますが、
御召は縦糸につよい撚りをかけた八丁撚りという糸を用い、
緯糸にも一般の縮緬よりも撚りのつよい御召緯という糸を使います。
それにより、縮緬独自のシボがより大きくはっきりとし、
風合いも柔らかものよりシャキっとしています。


縮緬の種類には
 @一越縮緬
  しぼが小さく薄手ですが、しっかりした地風で
  表面が比較的なめらかなのが特徴です。
 @二越縮緬(古代縮緬)
  右撚り糸と左撚り糸2本づつのよこ糸を交互に織る二越縮緬。
  しぼが大きくどっしりとした感じが特徴です。
 @縫取り縮緬
  縮緬地に金糸、銀糸、ラメ糸などを使用して模様を表わします。
  中振り袖、打掛け、訪問着、などに用いられます
 @パレス縮緬
  撚りを強くした細い糸を用います。
  しぼが小さく、優美に織り出される高級な縮緬です。
  摩擦に強く、収縮度が小さいので、長じゅばん、八卦に使用されます。

お召の種類は
白鷹お召や本塩沢(塩沢お召)、など紬に近いものや
無地・縞・矢絣などのほか、織り方で

@風通御召し
 縦糸、横糸が二重の袋状にになっていて軽く、皺にもなりにくく、
 柄が裏表で色違いになるのが特徴で単衣に向きます。
 紋お召(全体に地紋のように織柄がある)や縞などがあります。

@縫取り御召
 縫い取り御召は生地を織る段階で地の糸とは別の金糸や銀糸、
 色糸を織り込んで模様を出した御召で
 刺繍をしたように裏に糸が渡り、華麗で豪華なお召です。

@上代御召
 縫糸に御召経と紬糸の二種を用いた交織で、
 紬風の素朴な風合いがあります。
 

変わったところでは、
@マジョリカ御召
 新潟県十日町で昭和34年から約4年間だけ生産されていました。
 ラメ糸が織り込まれてキラキラとし、モダンな柄で一世を風靡しました。
 今でもおばーちゃんからのもらい物、や古着やさんで発掘?され
 ファンの多いお召です。
 地中海のスペイン領マジョリカ島特産の、
 マジョリカ陶器をイメージして織られたといいます。


 

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