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藤布のできるまで


藤布を織る小石原さんの工房へ伺ったときの話です。

工程の一部を見せていただきました。 

藤布は 春、山に自生する藤の蔓を刈り取ることから始まります。
このところ 熊が出るので
なかなか山に入れないのだそうです。
春は蔓が水気を多く含んで柔らかく 皮が剥がしやすいそうです。
蔓を木槌で叩き、皮を剥いでいきます。
乾燥させた藤蔓の皮がこちら。

藤布1

 経緯 100%藤糸を使った諸藤布の帯だと
 蔓が(1本150cmほどの長さ)で100本ほど必要だとか。

 この皮を 木の灰から作る灰汁で 4時間ほど煮ます。
 灰汁炊きに使う鍋?釜??

藤布2

炊き上がったら 川で良く洗い 灰汁や不純物を洗い流します。
それを 米ぬかを溶いたお湯に漬けます。
そうすることで 繊維が柔らかくなりるので そのまま干します。
干しあがったら よくさばいて、
繊維についている 米ぬかや毛羽を落とします。

 
寒い土間で繊維をほぐしているところ。
後ろに写ってる束が さばき終わった繊維。

藤布3

これを さらに細く裂いて 績んで行きます。
今では 績む人もほとんどいなくなりました。
績んだ糸は 糸車で撚りを掛けます。
(績む、という糸の作り方については
 notoのこちらをご覧ください)

自動の撚り機を使ったこともあるそうですが
繊維が均一でなく 機械に絡んだり 糸がぐちゃぐちゃになったりで
結局 人の手でやるのが一番効率が良くて良い糸になることが分かって
機械化は却下されたそうです。

撚りをかけて枠に巻き取られ 織られるのを待つ藤の糸。

藤布「5「

そして 高機で織られます。
野趣に富み 使うごとにしなやかに艶の出る藤布。
単から夏の季節の憧れですが
シナ布や藤布、植物から採られる繊維の布は
昔は一年中使われていたので(というかコレしか選択肢がなかった)
夏だけのもの、ではないのですけども。

植物繊維は水を好み、乾燥を嫌います。
東北の湿った冬ならまだしも、関東の空っ風の冬には
難しいかもしれません。
冬でなくともお召の前に霧吹きで霧を吹いておくと
扱いやすくなります。


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