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績む・紡ぐ・座繰る~糸の作り方。


芭蕉布のお話の時に「績む」という言葉が出てきました。
「績む」というのは芭蕉や麻など植物から糸を作る時に使う言葉です。
絹糸を作る時には別の言葉があります。
作り方によって織り上がる着物も違ってきます。
そのお話を少々。

画像は 結城紬で帽子真綿(繭を四角く広げて重ねたもの)から
糸を引き出す、紡ぐ、という作業です。


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着物って形はほとんど同じなのに
生地によって 様々に呼び方が変り
慣れないと 着物は着物なのに
どうやって分類されるだろう・・と思われるかもしれません。
いろいろな分類の仕方はあるのですが
まず、織られている糸の種類によっての分類があります。
糸の種類・・・これもいろいろありますが
今回は 糸が糸になる工程のお話です。

まず、糸を糸にする工程には3種類があり
それぞれ 績む(うむ)・紡ぐ(つむぐ)・座繰る(ざぐる)と呼ばれます。
 
績む、とは 麻や芭蕉布などの植物繊維から糸を取ることで 
繊維を細かく、細く、均一に裂いて繋いでいきます。
50cm~1メートルの麻から一反分の糸を績むというのは
同じ細さの糸を継目が判らないように繋ぐ
経験と根気の必要な上、3ヶ月ほども掛かるものです。
麻や芭蕉布の繊維は乾燥に弱く
湿度が必要なため それぞれの気候にあった土地でのみ
績む、という作業が行なわれています。
この糸から上布や芭蕉布が生まれます。

紡ぐ、というのは 
繊維を綿状にして そこから糸を引っ張り出すことです。
絹ならば 真綿にしてから引き出します。 
真綿、というのは 繭をお湯につけて柔らかくして
引き伸ばして平たく伸ばしたものです。
いくつかの繭を一緒にして重ねて綿状にします。
綿なら綿花から種を取った状態です。
そこから引き出す作業を紡ぐ、と言います。
引き出された糸は太かったり細かったり、節があったりします。
本来は 次に説明する 座繰る、という作業に向かない
傷や汚れがあったり、繭から我が出てしまって穴のあいた屑繭から
自家製の糸を取るために行なわれたものです。
紡いだ糸を紡ぎ糸、と呼びます。
本来、紡ぎ糸で織られた着物を紬、と称します。
しかし 現在で紡ぎ糸以外で織られたものでも紬と呼ばれています。

繭から直接、糸を引きだすことを 座繰る、と言います。
繭は お蚕さんが自分の口から糸を吐いて作るわけですが 
最初から終わりまで1本の糸で尽きられています。
普通の家蚕(養殖されている蚕)の繭1つは
1200~1500メートルの糸から出来ています。
この糸は蚕の唾液の成分で絡んでいますので
お湯で煮て柔らかくして 1箇所から糸を引きだすと
ずっと繋がって繰り出されてくるのです。
こうして座繰って引き出された糸は
平らでまっすぐです。
この糸を何本か合わせたものが生糸(きいと)と呼ばれる糸です。
生糸は細く癖がなく艶やかなので
白生地を織って 後染めの小紋などにされます。
 
紬の中には
経糸緯糸共に紡ぎ糸のものの他、
経糸は生糸で緯糸だけ紡ぎ糸だったり その逆のものもあります。 
紡ぐにしろ、座繰るにしろ
機械で行なわれるものと人間の手で行なわれるものとがあり
かつては 屑繭の利用方法だった紡ぐ作業も
今では 紡ぐことのできる人も減り
作家によっては この人の紡いだ糸でないと、などの
こだわりも出てきています。


手触りの感触として おおまかに
生糸で織られたものは ひんやりとしていて
紬糸で織られたものは 空気を含んでほんわりしています。
それぞれの糸の持ち味で
それにあった着物が織られるわけです。


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