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着物の地域差。寸法や着方、コーディネートの違いについて。

今日はじざいやでお茶会を開催いたしました。
お点前は 武家茶道の石州流。
私の親しんでいた表千家とはだいぶ違って
面白いものだなあと思いました。

着物も 地域によって仕立や着方が微妙に違って
面白いので その辺りのことを書いてみたいと思います。

じざいやのHPを立ち上げたのは 平成12年で
まだ着物業界にはネットが普及していなくて 手探りの日々でした。
1日のカウンターが20にも満たない日ばかりでしたから・・・
ありがたいことに現在、
ブログ村では和装業界3位のポイントを頂いております。
2位とは僅差なので ブログの方もよろしくお願いいたしますー


ネットの普及に伴い 着物の地域差も無くなってきました。
元来着物は人々の生活や慣習と共に発達してきた衣服で
地方の風土、習慣に深く関わっています。
仕立方や コーディネイトも 地域によって違いがありました。
この頃は 日本中どこでも同じような着物のしきたりになってきて
地域による差は少なくなっています。
それでも いくつかの違いがあります。

まず 目に付くのが帯の着装の違いですね
着物を着始めた頃 
どうしても柄の出ない名古屋帯に悩んだりしませんでしたか?
関東巻き、関西巻き、と呼ばれる帯を巻く時の方向の違いで
帯の前柄の出方が違ってくるからです。
体を軸にして時計回りに巻くのを「関東巻き」
反時計回りに巻くのは「関西巻き」と呼ばれます。
お太鼓に手先を入れる方向も逆になりますね
その理由には様々な説がありますが 
主に
関西は公家文化が中心だったため、
お付きの人に巻いてもらうということが多く、
巻く人が右ききで巻きやすいようにそうなったといわれ
関東では武士文化だったため、
刀を差す時に引っかからないようにするためにこの巻き方になった、
とされています。
どちらの着方でも慣れれば両方できますが
何も考えないで着ると私は関東巻きになっています。
(考えても 関西巻きは苦手です)
帯の産地である西陣は京都にありますから
綴れ帯など柄の量で値段が決まるものは 
前の片方にしか柄が無いことがあり
関西巻きでしか柄が出ない帯も多いので確認が必要です。

お襦袢にも「関西衿」と「関東衿」があります。
現在は 女性には関西衿が主流なので 
何も言わなければ関西衿で仕立て上がってくると思います
違いとしては
「関西衿」は、着物のように衽の部分があって別衿がついています。
対する「関東衿」は、「通し衿」と言われる衿が裾まで通じていて、
今では主に男性用の長襦袢に用いられています。
関西衿の方が身幅を広く取れる分、衿がゆったりと合わせられるので
細身の方で関西衿がお好みの方もいらっしゃいます。
 
仕立方、着付け方でも 違いがあり
関東のいわゆる江戸好みの仕立は すっきりと粋(いき)に見えるよう
体にフィットしてお尻が小さく見えて
裾すぼまりになるよう割り出されます。
衽を裾に向かって狭くする仕立てや 抱き幅を詰める仕立てがあり
同じ3サイズなら 後ろ幅は関東の方が1,2分狭めです。 
髪型や足袋、草履に至るまで細身が好まれます。

京都に代表される関西では はんなり、おっとしとした風情が喜ばれ
着姿もゆったりとしています。
自然 採寸や仕立方も関東よりやや大きめの感じになります。
後ろ幅がゆったりと割り出され
前幅も 衽を狭ばめることのない通し仕立てが多く
それは お茶を習っている方が多いせいでもあるかと思います。
お茶のお稽古をされる方は にじった時に乱れないよう
前幅を広めにされます。
ふっくら、おおらか好みは着物の柄にも違いが出て
関東で人気の江戸小紋は
関西では ほとんど売れないと言われます。

関東と関西の違いではありませんが 
反物などを測る祭に使われる 尺の単位が違っていた地域もあります。
反物などの長さを測るには くじら尺が使われますが
これは明治政府が正式に折衷尺を「1尺」と決定した時
布地を計る際に限定して認められた尺です。
布地を測る尺には,他に庶民で使われた「呉服尺(1,2曲尺)」もありまして
皇室で使われていた「鯨尺(1.25曲尺)」と両立していたようですが
江戸時代中頃には,ほぼ「鯨尺」が標準になったようです。
しかし鯨尺は関東までしか伝わらず 
東北地方では近年まで曲尺を使って布地を測っていたこともあるそうです。
また 東北でも寒さが入り込まないよう
身八つ口が狭い寒冷仕様の仕立ても見られます。


ネットの普及、また人間の移動に伴い
地域的な好みや差は少なくなってきていますが
まだまだ保守的な部分の多い着物には
歴史が作った地域差があります。
自分の地域の常識だけを頑なに言い張るのではなく
あぁ こんな着方が こんな風習があるのだ、と
違いを楽しんでいけたら
一層面白い着物ライフになると思います。


自分の知識との違いを あげつらうことなく、
おおらかに受け止めて
いろいろな着方を認めていかないと
着物は 狭っ苦しいつまらないものになってしまします。
礼を尽くすお席でなければ
楽しく着物を遊びましょう。


 

 
 
 


 
 
 

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