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芭蕉布は上布じゃないの?

日本各地の上布は南から、
宮古上布、八重山上布、能登上布、越後上布。
(苧麻の産地の福島昭和村産の会津上布、からむし、は
 今回徐外しました。からむしについては後日・・・)
これらは全て苧麻から績まれた糸で織られています。
もう1つ、着物好きの憧れの夏着物。芭蕉布、というものがあります。
かつて沖縄の野良着のようなものでしたが
現在は 上布と並ぶ高額品として扱われています。
その芭蕉布についてのメールマガジンから・・・

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麻や上布の話が続きましたら
芭蕉布は 上布じゃないの??との質問を頂きました。
確かに 値段的には上布ですよねー
苧麻製ではないので 上布ではないのですが
上布と並ぶ 夏の憧れ自然布、ということで
残暑厳しいこの季節に 芭蕉布のお話を・・・

芭蕉には赤い花を付ける花芭蕉、バナナの実で知られる実芭蕉、
繊維の取れる糸芭蕉の3つがあります。
この糸芭蕉から作られる糸で織ったものが芭蕉布です。
芭蕉は古くから沖縄にあり、苧麻と同じように
地元に自生していたという説や13世紀頃に南方から移植された説などがあり、はっきりとはしません。

それでも兎に角、かつての沖縄全域で自家用として織られ、
沖縄の気候風土の中では欠くことのできない重要な存在でした。
昔男女階級問わず、普段着としてあらゆる立場の人が
当たり前のように着ていたそうです。
一家に一台機織があり、
女性は子育てをしながら日常的に芭蕉布を織っていました。
しかし、戦後の生活様式の変化により使用量が減り
現在では、大宜味村喜如嘉でしか生産されなくなってしまいました。
伝統織物が他県より比較的多く残る沖縄でも
糸から地元で収穫して織りにしているのは、喜如嘉のみです。

戦前は、煮綛(ニィガシィ)の技法で美しい首里の芭蕉布や
素朴な味わいの今帰仁(なきじん)の芭蕉布など、
それぞれ個性ある芭蕉布が全島各地で織られていましたが
戦争と共に途絶えてしまいました。
最近になって一部の島で 自生の糸芭蕉を使い
芭蕉布を織っている方もいらっしゃいます。

野生の芭蕉は繊維が硬く粗いので 
美しい芭蕉布を織るためには下葉を落とすなどの手入れをしながら
2~3年大切に育てます。
根元と先端を同じ太さに育てることで
ムラのない柔らかい繊維をとることが出来るのです。
幹は25~27枚の輪層をなしているので
1枚1枚はがして上皮、中皮、芯に分けます。
上皮は帯などのザックリしたものに、芯は上質の芭蕉布着尺となります。
それぞれを灰汁で煮詰めて不純物を煮溶かし、
水洗いして竹バサミでしごいて繊維を取り出します。

柄となる絣は「手結い」と呼ばれる古来の技法で頭の中で
柄を描きながら、長年の勘と経験を頼りに印も付けずにくくるもので
誰でもがすぐに出来るというような容易なものではありません。
喜如嘉の芭蕉の質が高いと言われるのは
喜如嘉が 芭蕉の自生の最北端であり
南方のものより上質の締まった糸が採れるからです。
しかし 近年の温暖化により 喜如嘉の芭蕉も
南方のものの質に近くなってきているそうです。

3年もかけて育てた芭蕉が40本で1反の芭蕉布になります。
芭蕉布は反幅も狭めで長さもギリギリです。
沖縄では 琉装、と呼ばれるおはしょりのない着方でした。
年月をかけて大切に作った芭蕉の糸は失敗を許すものではありません。
古くからの安全な技法以外の新しい試みをしたくないのも
無理からぬことなのでしょう。
この頑固さが質の高さを守り続けてきた理由でもあります。

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植物繊維独特の 張りと通気性の良さの涼しさが芭蕉布の身上です。
ただし、乾燥を嫌い ごわついた風合いで
扱いには少々 慣れが必要です。
着用時は水を入れたアトマイザーを持ち歩くといい、とか
アイロンは絶対NGとか 判らないとこがありましたら
ご相談ください。

じざいや
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