4.閉所恐怖症 〜攻略法はドラえもん〜
後日MRIの撮影に訪れた。
そこは国立とは名ばかりの古びた病院だった。院内も陰気くさい感じが漂っていて、こんな病院には入院したくないな、と失礼なことを考えながら待合室で待っていた。
そして5分も待たないうちに名前が呼ばれた。こんな暗い感じだから患者さんも少ないのかな、とまたまた失礼なことを考えながらMRIの部屋へ入って行った。
まず貴金属等がないかチェック。次に具合が悪くなったときのための呼び出し用のブザーを持たされ、音がうるさいからとヘッドフォンをつけ、体をベルトで固定された。
「それでは始めまーす。」
の声と共に一人になった。
すると洞窟のような丸い穴の中へ横になった私は吸い込まれて行った。
奥に入れば入るほど視界が狭まり、その洞窟の壁面しか見えなくなった。
どっくん‼︎ どっくん‼︎
心臓が恐怖で高鳴り始めた。今までに味わったことのない恐怖感。
そうです。
私は〝閉所恐怖症〟だったのです。
この時まで気づかず平々凡々と大きく育ったのです。名前は聞いたことはあったが、何それくらいのレベルで、まさか自分にも・・・恐怖症が潜んでいたとは思いもしなかった。
夫が高所恐怖症で高い所が全くダメだ。観覧車、ジェットコースター、床がスケルトンの展望台など絶対に乗らない。そんな夫に「どこが怖いのよ⁉︎」と言っていた自分を猛反省することになった。
「そうだ、あれあれ」いざという時のブザーを持っていることを思い出した。しかし、我慢しなければ、結局またやらなければならないし…。ブザーを押す手をグッと堪えて我慢した。
そこからはワンマンショーの開幕でーす‼︎
20分間、ドラえもんの歌をひたすら頭の中でリピートさせることになったのです。
5話目へ続く…↓
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