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じいちゃんの思い出

俺は小さい頃からじいちゃんが好きだった。
いつもお盆のころになるとじいちゃんの家に行って、スイカやらきゅうりやら食べるのが夏休みのお決まり。
昔ながらの遊びをしたり、カブトムシを採りに行ったり、地元のお祭りに行ったり……。
いたずらして大目玉食らった日には、死ぬほど怒られた。
幸い暴力までは振るわれなかったけど、あれから余計なことはしないようになった。
今思えばいい思い出。
じいちゃんとの思い出は、数えだしたらきりがない。

でもそんな日々はそんなに長く続かなかった。

小学校5年生のころに親が離婚したからだ。
俺は母親に引き取られて、父方のじいちゃんには会えなくなった。
親の勝手な都合で、俺は大好きな人を失った。
生きているのに会えないなんて辛すぎるだろう。
でもいつのまにか、じいちゃんは俺の心の中から消えていた。

あれから数年経って、俺はじいちゃんに会えるようになった。
じいちゃんは久しぶりに会っても昔の話ばっかり俺にしてくる。
もう耳にタコだからやめてほしいんだけどな……。
まあ、そんなこと言ってもじいちゃんが好きだから、俺は全然苦じゃない。
それにこの話を聞けるのは、毎年お盆のときだけ。

もうそろそろ今年のお盆も終わる。
俺はもうすぐ帰らないといけない。
寂しいけど、また会えるさ。

じいちゃん、元気で長生きしなよ。
また来年のお盆に来るから、スイカ、頼むよ。

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この話はフィクションです。

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