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新国立競技場の感想

去る9月28日、2024年J2唯一の「THE国立DAY」に足を運んだ。

横浜FCと清水の首位攻防戦については後日ゆっくり語るとして、
今日はその舞台になった、初めての新国立競技場について徒然と。

ざっくり言うと、「座席以外」は快適な観戦環境だった。

まずアクセスの良さが抜群だ。

東西南北の様々な方向からJRと地下鉄を合わせて5路線が集まる。
徒歩圏に6つの駅があり、広々とした神宮外苑と隣接しているので来場者は適度にバラける。
この日集まった観客はJ2史上最高記録となる55,598人だったが、駅との行き返りでストレスを感じることはなかった。

競技場の周りには神宮外苑に加えて都立明治公園もあり、多少作られた感はあるものの緑が豊富だ。スタジアムに入る前に一息つくのもいいだろう。

都立明治公園のなかにはテレビ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」とのコラボで、
福島から移植された立ち木も並ぶ。出演者たち手造りの樹名板も見られる。

国立競技場の敷地内も広々としている。

明治公園に伸びる大きな歩道橋をわたれば、そのままEゲート前の広場だ。
様々なテントやキッチンカーが並ぶ。いつものIAIスタジアム日本平もこんな雰囲気なのだろうか、とても賑やかだ。

スタジアム建物内の通路は広く、売店やトイレの行列ができても、サポーター有志が決起集会を開いても、すれ違うには十分な空間が残っていた。
その行列も規模が大きいおかげか、長さの割にサクサク進む。

さて、肝心の観客席である。

この試合のアウェイ席は南サイドスタンドの1・2層。
ネット上でその評判を聞いていたので、一番端の通路に面した席を選んだ。

椅子の座り心地は決して悪くなかったが、やはり前の座席との間隔が狭い。
中側の席の方が出入りするのに、座席を畳んで立ち上がらないと通してあげられない。それでもドリンクホルダーに足を引っかける方がいて、ビールを飲み干しておいて助かったと胸をなでおろす場面もあった。

ただ、試合を観戦するうえで支障があるとは感じなかった。
むしろ目の前の試合を見ることに集中できたとすら思えるのである。

ワタシがよく訪れるのは三ツ沢のバックスタンドだ。無料招待やピッチイベント等の関係者に割り当てられるブロックの近くになることも少なくない。
そういう席にはサッカー観戦が初めての方や、家族などに連れられて来ただけでそもそもサッカーに熱中しない方もいる。

もちろん、それを非難するつもりはない。サッカー観戦の入口というのは、そういうものかもしれない。いつか来た道だ。

とはいえ、売店やトイレのために席をたつ人もいる。小さな子が試合に飽きてグズりだせば、親御さんが周りに配慮して通路に連れ出すこともある。

ましてや、いまの国立競技場は東京五輪を視野に入れて建てられたものだ。オリンピックというお祭り目当てのライト層や、空席を埋めるために動員で集められる、普段スポーツ観戦をする習慣のない方々などの来場を、相応の数で想定していたはずだ(コロナ禍で少なくはなっただろうけれど)。

話を戻すと、実際には試合観戦に集中できたという印象を持っている。
白熱した試合に多くの観客が惹きつけられたというのは、確かにあっただろう。

一方で、この観客席で席からの移動が簡単でないことを、試合前に多くの観客が学んでいる。
それが試合中に席を立つことを躊躇させ、結果的に観戦に集中させる仕組みになっていたのではないか、とさえ思えてくるのだ。

そこまで計算しつくされたものだったのであれば、それはそれで凄い。
ただ、通路を空けるときは飲みかけのビールを手にもって立ち上がることをオススメする。

なにはともあれ、白熱した首位攻防戦に満足することはできた。 捉え方は色々あるだろうが、
こと試合を見ることに集中するということに関して言えば、
この国立競技場という舞台は意外に悪くないという印象を持ち帰った。

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