プリンって何だ?
先月のTBS『ジョブチューン』ジャッジ企画・ミニストップの回で、北海道ミルクプリンという商品が「プリンか否か」で審査員が迷う場面があった。
最初はプロのパティシエ・職人たちのいう「卵を使い、蒸して作る」というプリンの定義を正しいと思い込み、ミニストップ側が拡大解釈しちゃったのかな~と、ある種の先入観をもってワタシは彼らをジャッジしてしまったのである。
調べてみると、それはワタシの考え違いだったらしい。
日本語「プリン」の語源、英語の「pudding」を英英辞典で調べると、そもそもイギリス英語とアメリカ英語で意味が違うじゃねーか、と。
ワタシたち日本人のイメージする冷たいプリンに近いのはアメリカ英語の方で、卵はつかうけど蒸すという工程は必須ではないっぽいのだ。
そして、審査員が番組内で言及したマンゴープリンのように、卵の入っていない「プリン」は市民権を得ている。
つまり、卵も使わず蒸しもしないスイーツに「プリン」と名付けることは何も問題ないのである。
では、ミニストップ側に非がないとして、審査員はなぜ「プリンか否か」で迷ってしまったのだろうか。
愚考するに、国際経験を持つがゆえに、彼らは言葉の「定義」について敏感にならざるを得なかったのではないか。
有名パティシエのプロフィールには、海外での修行経験や国際大会の受賞歴がつきものだ。
修行先には様々な母語のパティシエが集まるのだから、用語ひとつにしても、微妙なニュアンスの違いは避けられない。それが原因でスイーツの味が変わってしまっては、店の信用問題に関わる。言葉の「定義」を厳密に固めることは、すり合わせに有効な手段のひとつと言えるだろう。
国際大会でも突飛すぎる応募作を防ぐため、レギュレーションや暗黙のルール的なものを設けて「プリン」のイメージをシェアできるようにするはずだ。
そういう環境で揉まれたであろう彼らが、それを「狭義のプリン」として理解し、冒頭に記した迷いとして影響を及ぼしたのではと想像する。
プロにとっては言葉も「商売道具」の一つだから、精度にこだわるのは当然だ。一方、ワタシたち一般市民がもっと甘い精度の道具で世の中を回していることも事実だ
この間でバランスをとることは、本当に難しい。
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