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宮城会の教師を目指します

今年は仕事のnoteばかり更新していたため、こちらのnoteを1年以上放置していました。久々の更新です。

経歴紹介で説明した通り、私は2021年に大分にUターンした後、宮城会の先生のお稽古を受けていました。宮城会にはお免状(教師・大師範など)があり、教師以上になると弟子をとって教えることが許されるのですが、私は箏や三絃で生計を立てる予定はないので、お免状を目標にしていませんでした。あくまで自分の好きな曲を中心にお稽古していたといえます。

ところが、最近心境の変化があり、2025年3月の宮城会の教師試験を受けることにしました。今はお免状が全く無いので、初伝からのスタートです。

大分の邦楽の実力を上げたい

宮城会の教師を目指すことにした理由は、私が住む大分の実力を上げるためには腕の立つ先生が必要であり、自分がそれになれば良いと考えたからです。

今年12月に母校のサークル・叡風会の定期演奏会を聞きに行きました。関西圏の方はご存じの通り、叡風会は上手な学生が多いサークルであり(これはOBとしての手前味噌でもあります)、私が在籍した10年前と変わらず嬉しくなりました。これは凝り性、研究肌な京大生の気質もありますが、お稽古を付けていただいている吉田興三郎先生(元宮城会で、今は興祥会という流派を運営)が非常に上手な方であり、学生は先生の演奏をリスペクトして練習に励んでいることも一因です。

もちろん、プレイヤーとして演奏する力とコーチとして教える力は別物であり、前者が後者を兼ねるとは限らないのですが、芸事においては先生のプレイヤーとしての実力が弟子に大きな影響を与えることは事実でしょう。弟子は先生の演奏を見て学ぶので、先生が下手だと、弟子は「これぐらい弾ければ十分か」と向上心を持たなくなるからです。

一方、我が大分を顧みると、弟子が震え上がるような、皆が目指したいと思う達人の先生は、正直に言ってほぼいないと思います。これは関西圏に比べて九州の人口が少ない問題もありますが、同じ九州内で比べても、福岡に比べて大分は実力で負ける部分が多いです。これは演奏会の曲目を比較すれば一目瞭然であり、大分で演奏されるのは「六段」「春の曲」「比良」などの基礎的な古典、宮城曲が多く、「新青柳」「御山獅子」などの演奏会映えする難曲、大曲はほぼ演奏されません。

この状況を変えるためには、私自身が達人の先生になって弟子の実力を上げれば良いと考えました。私は箏を6年、三絃を3年やっており、ある程度の実力はあると自負していますが、まだお稽古していない曲もたくさんあります。私自身も邦楽界でいえば若手に属するので(1991年生まれの32歳)、まずは先生になるための登竜門として、宮城会の教師になろうと考えたわけです。

※そもそも邦楽に興味を持つ人が減っているという根本的な問題もあるのですが、これについては別の角度のアプローチが必要と考えています(例えば有名曲を和楽器に編曲する、YouTubeで演奏する、楽器体験会をやるとか)。それは色々な方が既にやっているので、私は当面、既に邦楽に取り組んでいる方々の実力向上に貢献したいと思います。

今後の予定ですが、宮城会の教師試験でよく出題される曲を重点的にお稽古する予定です。「末の契り」「夕顔」「比良」「都踊」「千代の寿」など、今年は基本的な古典・宮城曲を色々お稽古したのですが、その延長で他の曲にも取り組む予定です。あと、教師試験を受けるためには初伝〜助教師までのお免状が必要なのですが、どういうスケジュールで取得するかは先生と相談する予定です。

曲や演奏の情報を発信する

このnoteですが、元々は以下のような問題意識を持って始めたものでした。この考えは今も変わっていません。

私の好きな地唄・箏曲は元々、盲人たちが口伝で伝承してきた音楽ですから、「先生から弟子へのお稽古で学ぶ」という習慣が根強く、WebサイトやSNSでの情報発信はおろか、楽譜教育すらも好まれない傾向があります。

私はそういう伝統にも一定の理解を示しますが、

・そもそも和楽器業界が縮小傾向にある。地唄・箏曲はそれが顕著。
・この状況で口伝を続けていると 「若者の新規参入は増えない」「高齢のベテランはいつかは引退か死去」となり、口伝の後継者がいないまま業界が衰退する。

という理由から、地唄・箏曲はもっと情報発信をすべきと考えています。

箏・三絃(地唄・箏曲)について語るnoteを始めます

もちろん対面のお稽古は大事ですが、先生が弟子1人に何時間もつきっきりでお稽古できず、せいぜい1人30分〜1時間でしょう。この短時間だと弾き方や技法、音楽性について詳しく教えるのは無理なので、邦楽界にありがちな「先生の技を盗め」「自分で考えろ」になりますが、基礎ができていない人が盗んだり考えるのは無理であり、まずは守破離の「守」を固めるためのマニュアル作りやノウハウ継承をすべきです。

このnoteでは「守」を固めるための弾き方や、「破」に到達するための音楽の解釈などを書いてゆきたいと思います。目的は大分の邦楽人口増加ですが、内容としては他県の人の参考にもなると思います。

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