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東京から福岡に引っ越した心境と手触り

10年住んだ東京から福岡へ引っ越しました。決めて以後、なぜ引っ越す(した)のかとよく尋ねられます。引っ越してから2週間が経ちnoteを書くほどの落ち着きを得たので、つらつらとキーボードをなぞります。

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新居ですこんにちは~

埼玉とか千葉へ引っ越すのと感覚的に一緒

唯一コロナに感謝していること、それはリモートワークがめっちゃやりやすくなったこと。業界と職種、会社に恵まれてリモートワーク前提で働けています。借りていた物件の契約更新が迫っていたので、どこに住んでもいいなら良い話ばっか聞く福岡にするか〜という感じでした。仙台が最高と言われたらそうしたかもしれないし、埼玉isベストと言われたらそうしたかもしれません。不動産も恋人もいないので僕は身軽でした。

福岡がなぜ良さそうか

友達や元同僚が福岡に住んでいて、裏があるんじゃないかってくらい良いことばかり聞いていました。項目と実際どうか、を並べてみます。

  • リモートワークで働ける

    • 全然問題ありません。もともとフルリモートワークなので、仕事上でつらいな~ってことは引っ越してから一度も無いです。

  • ご飯が美味しい

    • 東京ってお店は多くてその分ハズレも多いじゃないですか。だからめっちゃ調べたりお金を積んだりしていたのですが、福岡はどこでも美味しいし、めちゃくちゃ安いです。1人飲みで4,000円かかっていたのが3,000円くらいになる感じです。

  • 家賃が安い

    • 東京の相場からは3~5万円くらいは安いです。大きいお金でいうと一番インパクトがあります。

  • 街がコンパクトで整ってる

    • 車も免許もないので電車やバス、自転車で主要な場所にアクセスできる都市を求めていました。僕の住んでいるところからは自転車で繁華街も海も新幹線の駅も行けます。もちろん映画館や感じの良いコーヒー屋さんも。

  • 空港が近い

    • たまに東京のオフィスにいきたいな~ってときも空港が近くて本数が多いので助かります。大阪から電車で東京行くより福岡から飛行機で行くほうが速いんですよね。

  • 友達がいる

    • 一番はこれかも。まったくの孤独で飛び込むには僕の勇気が足りないので、友達が何人もいるのは幸運で幸福だなぁと思います。

友達が連れていってくれたお店の鳥刺し

選択しないという選択、はありえない

ここから内面的な話になります。
胸を張るほどのことではないのですが、僕は人生においていつも精一杯考えて選択をしてきました。長くやったサッカーを辞めて楽器をはじめたり、友人のほとんどが地元に就職するなか東京のIT企業に入ったり。あとはコロコロコミックではなくコミックボンボンを読んだり(男児を経た人間しか伝わらない)。もちろん別の選択肢がダメというわけではないですよ。社会では普通だけど、僕にとっては"自分に誠実にいる"ために少しの勇気が必要なことがいくつもありました。また、僕はいつもそういう自分を創る勇気を歓迎し、大切に育ててきたのです。

そんな人生で、いざ物件の更新が来た時に無思慮に東京に住み続けるという選択はありえませんでした。別に考えた結果そうなるならいいのですが、色んな条件が整ったのにじっくりと考えることをしない、というのはナシでした。今までの自分への誠実さと一貫性を裏切ることはできません。そして最後には「福岡住むしかないでしょ」と確信に至るほど考え抜き、引っ越しを決断しました。

引っ越し初日に遭遇した落とし物

東京から離れたもの、福岡で触れたもの

東京は何でもありました。人も文化もたくさんありました。それでいて人間たちは機械的でした。福岡に来て友人とした会話でハッとしたことがあります。僕が「福岡の人って歩道では左側通行とかせず無軌道だよね?」と話すと、友人は「え?東京って歩行者も左側通行って決まってるんですか?福岡はそういうのないです」と。僕は「別に決まってるわけではないけど…」と返しながら、極度に効率化された呪いのような文化コードの中で生きていたんだなぁと思いました。東京に慣れた人と田舎者の見分け方として"人混みを歩くのが上手いかどうか"が語られるのを聞いたことがあります。それを言う地方出身の東京者は自慢気でした。際限ない効率性の中で人間性がどんどんと陰になる、それが東京の一側面だったと思います。
僕はそのような便利さを求めてもいました。ただ、あらためて生活する場所を考えたときに、今メインで生活しなくてもいいか、となりました。たまに同僚や友達に会いに行く、好きなお店に顔を出す、くらいの"距離感"でいいやと思ったのです。仕事の理由つければ交通費も出るし
福岡に来てから、たとえばクリーニング屋さんとのやり取りだけでも人間味を感じることが多くあります。東京よりは育った大阪に近い感じで懐かしい。クリーニング屋さんのお姉さんは軽率に値引きしてくれるので僕のこと好きなのかと思いました。たぶんみんなにそうなのです。(罪!)

天神に落ちていたキャベツ

また生活をはじめよう

コロナが流行ってから、身体を壊したり、友人と疎遠になったり、当たり前につづいていた生活が破壊されました。地震や火事のような一撃ではなく、本当に病としてじんわりと僕の生活を蝕んでいきました。気がつけば無職になっていました。
今はなんとか回復して元気に働いています。しかし僕が半地下の部屋にあるベッドから這い出てもなお、世界は残酷に暗く、人間は慎ましくいじらしいままでした。僕は明確に生活を再開しようと、人生の章を変えようとしているのだと思います。自信を持って「生活を選択した」と言いたいのだと思います。また生活をはじめて、少しずつお気に入りの人と場所を知っていきたい。これまでの世界も、これからの世界もどうぞよろしくお願いします。たまに優しくしてくれると嬉しいです。

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