「真面目な処女」が大量に…団塊ジュニア女子は「性の負け組」!? 1980年代、わたしたちはどのようにして「女のようなもの」になったのか
団塊ジュニアは、1971年(昭和47年)から1974年(昭和49年)生まれの第二次ベビーブーム世代のことです。中でも女性たちは、特異な恋愛観・結婚観を持っています。実は、性的受難世代とも言い換えることができる世代なのです。
女が「女のようなもの」になる工程とは
はじめまして。女性と社会の問題を考察して発信している団塊ジュニア女子・寸尺かんなと申します。団塊ジュニア女性は、特異な社会背景で育った歪な世代にも拘らず、あまり多く論じられていません。そこで、同じ世代の女性について、忌憚のない自己検証をしてみます。
これは、団塊ジュニア世代のわたしたちが「女」になっていく過程の話です。
①小学生《処女喪失率:教育的・道徳的観点からここでは問題外とします》
容姿類型比率=可愛い子:その他大勢=1:30
小学生の頃は、ほぼ横並び。普通のただの子供達の群れの中に、容姿が可愛い少女が一人か二人紛れています。ほとんどの少女が、ぽっこりお腹の寸胴体形なのに対し、ほっそりとした手足に、髪も瞳も淡い色をした美少女です。
このような、容姿に優れた子供の母親は、自分の子供が美少女であることを熟知しており、可愛い服を着せ、髪もスタイリングして、子供の美貌にさらに磨きをかけます。そして、少女本人も親の溺愛ぶりに、自分が可愛いことを自覚します。
この年代に可愛かった少女達は、その後も綺麗に育つ場合が多いですが、必ずしもモテる女子になるとは限りません。また、この年代では、男子が女子よりも発育が幼く、モテによる女子の序列が出来上がっていません。なので、容姿の良し悪しだけでは女子の間における格差はそれほど大きくありません。
②中学生《処女喪失率:10~20%》
思春期はブス期
中学になると、少女たちは総じてブス期を迎えます。生理が始まり、急激な体調の変化、体重と身長の増加、顔や体中にニキビが爆発し、全身が毛深くなって、可愛らしい子供から、生臭いほ乳類の雌に変貌し始めます。
このように、思春期の女子は思い通りにならない体型と容姿に悩まされながらも、人気の同性アイドルやモデルに憧れを募らせ、彼らのような容姿を目指してダイエットや美容を開始します。ムダ毛の処理もしなければならなくなります。異性からも同性からもモテたいという野望の目覚めでもあります。
一足早く『女』になっている同級生
ほとんどの女子が、子供から大人の女性に変態しようとしている不安定な時期に、一足早く、「女の所作」を身に着ける少女たちがいます。思春期を迎えた途端、それまでは普通に付き合えていた少女と少年が、異性とうまくコミュニケーションがとれなくなります。そんなぎこちない年代に、「女」の匂いをまとった女子が、ちらほら現れ始めるのが中学の2年生頃からです。
彼女たちは、巧みな会話のキャッチボールで、男子の気を引くのがうまく、扱い方も知っています。クラスの大半がおぼこ娘の中で、彼女たちは男子を操れるというアドバンテージで、クラス・ヒエラルキーの上位者になります。早々に初体験を済ませる人もいます。性的な早熟度に、じわじわと個人差が生まれ始める年代です。
ちなみに、異性とのコミュニケーションスキルが高い女子は、生育環境が恵まれなかった人に多い傾向があります。男尊女卑の家庭でネグレクトされる、逆に干渉され過ぎて育つなどで、親からの精神的自立が早まることが理由なのか、結果的に女性としての成長も早く、家族以外の対人関係スキルが磨かれるのだろうと推察できます。逆に、円満で裕福な家庭で可愛がられて育っている人は、いつまでも幼い傾向があります。
③高校生《処女喪失率:30~40%》
女子校における恋愛偏差値の格差
高校生は、共学か女子校、どちらに進学するかでも分かれますが、女子校を例に解説します。女子校では、大きく2種類のグループがあり、早熟か幼いかが明確に分かれます。女子しかいない環境に焦りを感じるからか、校外へ積極的に出会いを求めていき、活発に男女交際する女子たちがいる一方で、アイドル・サブカル・BLマンガなどにハマって、同性同士でつるんでばかりいる女子もいます。前者と後者では、恋愛偏差値に格段の差が生じます。
中には、大学生や社会人の「年上の彼」をつくる女子もでてきます。同年代同士の不器用な性体験と違い、経験値の高い年上男性から、より高度な性愛テクニックを伝授されます。このように、高校生ともなると、処女喪失しているかどうかだけでなく、経験値にも格差が出てきます。
④大学生《処女喪失率:70~80%》
最後の砦の大学時代
中学でも高校でも出遅れた人が、後れを取り戻せるラストチャンスが大学時代です。
「大学デビュー」という言葉があります。これは、大学に入ってから異性にモテ始めることを意味しますが、冷笑が含まれています。遅くとも、15~17歳頃には性体験は済ませておくべきという、当時は暗黙の了解があり、大学からモテ始めた人のことは、ややバカにする傾向にありました。
18や19歳では遅過ぎてダサいが、それでも10代のうちに処女を捨てられたら、なんとかぎりぎりセーフだという思いが、若者の間にはありました。20歳を過ぎても、まだバージンだったとしたら致命的。恥ずかしくて、友達に合わせる顔はありません。
1980年代には子供に人権はなかった
以上が、団塊ジュニア世代のわたしが見てきた、一般的な女子の性的向上の過程です。今の若い女性たちが、どうかはわかりませんが、私たち世代はこのような感じで生き急いでいました。
今は、鬼のような親や学校関係者もおらず、欧米のように、子供たちが自然体で温かく見守られながら成長し、段階的に性的経験値を重ねていけるような社会になっているのかもしれません。少なくとも、私たちが子供だった頃とは違ってきているように感じます。
しかし、1980年代には子供に人権はなく、私たちは厳しい進学指導と偏差値教育でガチガチに管理されて育ちました。1に勉強、2に勉強、3にも勉強という子供時代に、恋愛が奨励されるわけもなく、大人の目を恐れながら育ちました。自由に恋愛していた……というか、放任されていたのは、ヤンキーだけでした。
⑤社会人《処女喪失率? というか、まだヤってないの?》
団塊ジュニアはあきらめの世代
団塊ジュニアは、猛烈な詰め込み教育を科せられたうえに、ピアノ、公文、習字、そろばん、など教養系のお稽古事を掛け持ちさせられ、教育虐待と過干渉で育ちました。これらの努力が実を結んでいたら違ったのでしょうが、結局は何にも結び付かなかったので、この世代は自己肯定感も低く、相対的に多くを望まない、欲のない世代とも言えます。過当な競争の甲斐もなく、その後も就職氷河期にぶち当たることになります。
バブル世代のような、一流企業10社からの内定とか、100万円の初ボーナスとか、豪華な会食とか、海外出張とか、やりがいのあるポストとか、とにかく、ありとあらゆる明るい未来を示唆するようなものにはありつけていません。上の世代の浮かれた様子を横目に、不穏な未来へと漕ぎ出したのです。
バブル世代の処女率0~5%
バブル期以前の男女交際をとりまく状況は、牧歌的なものでした。大半の男女は結婚するまで、さしたるロマンスもないまま、適齢期になると、誰かしらが見つけてきてくれた見合い相手と結婚する社会でした。
ところが突然、若者たちがいたるところで、自由に恋愛とセックスをしまくる乱交社会が訪れました。団塊世代から1960年半ば生まれのバブル世代までの約20年の間に、なぜこれほどの性的価値観の変革が起こったのか。なぜ恋愛が、突然自由化されたのか。深掘りしたいテーマです。
ともかく、いつの間にか始まっていた自由恋愛社会で、学歴、年収、容姿、所在地までも査定し合うバブル世代は、モテ=恋愛経験値をも競い合うようになり、経験人数から、セックスの質やテクニックまで、人よりも抜きんでる必要がでてきたのです。
このように、恋愛にまで競争とヒエラルキーの原理が持ち込まれた1980年代。バブル世代が処女率0%世代だとしたら、その数年後に生まれた団塊ジュニア世代は、性的解放を享受できたのでしょうか?
団塊ジュニア女子の性的足掻き
多くの団塊ジュニア女子たちは、前述のように、密やかに大人の目を盗んで「女」への脱皮を試みていました。バブル時代に発生した自由恋愛のデッドレースに乗り遅れまいと、おっかなびっくり乗っかった世代でもあったのです。遅くとも、大学生のうちに彼氏をつくって初体験は済ませておかないと、と焦っていました。
親や先生の言うことを聞かず自分の意思を持っているだけで、「反抗的」というレッテルを貼られました。彼氏とイチャイチャするような、いわば年相応の当たり前の行動さえも、「非行」だ「不良」だと批判されるような時代です。この当時の若い女性は、女友達と会うと嘘をつき、何重にもアリバイ工作をしてデートしていました。
団塊ジュニアは性的にも取り残された世代:処女率20~30%
しかし、ここに、「不良」にも「非行」にも走らなかった、真面目な女性たちがいました。彼女たちは、大人の戯言を鵜呑みにし、不純異性交遊に見向きもせず、受験勉強に励み、実家から通える大学に進学し、就職しても実家で両親とともに生活しました。親と同居して一人暮らしの出費が浮く分、貯金はどんどん貯まります。
貯まるお金と反比例して、出会いのチャンスは減っていきました。そんな彼女たちも、現在は五十路超え。団塊ジュニア世代は、経済から取り残された世代ですが、実は恋愛市場からこぼれ落ちた人をたくさん生んだ世代でもありました。
多くの人がセックスを貪欲に消費した狂乱の時代のわずか数年後に、性的未経験者をこれほど大量に生む社会がなぜ起こったのでしょうか。人生に何度かあった、ロスト・バージンの機会と引き換えに、彼女たちは何を手に入れ、何を手に入れられなかったのでしょうか。
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