「『臭い』『寄るな』は挨拶代わり。人間扱いしてくれなかった」…なぜ熟女は風俗で働くのか(中編)【中村淳彦『熟年売春 アラフォー女子の貧困の現実』より】
頭脳明晰、質素で堅実な金銭感覚、アラフォーに近づいても衰えない美貌。36歳女性が川崎堀之内のソープランドで働き続ける背景には、家庭への反発と辛い過去あった…。
中村淳彦著『熟年売春 アラフォー女子の貧困の現実』より一部抜粋して公開します。(前編はこちら)
男子にイジメられて、男に興味がなくなった
──イジメられっ子だったのですね。
三浦 私、小学校の頃からずっとイジメに遭っていたので。主にやってきたのは男の子だったんです。たぶん男性に興味がないのは、その経験が理由です。心のなかで許せてないのかもしれないですね
──どんなイジメをされたのですか?
三浦 いろいろ。その男の子は本当に私のことが憎くて、憎くて仕方がなかったみたいで、「死ね」とか「息をするな」とか「学校に来るな」とか、そういうことを言われ続けた。
──キツいですね。
三浦 小学校3年の頃からその男の子にはずっと恨まれてきた。それが中3まで続いて、年々本当ひどくなった。教室に入った瞬間に「今すぐ、ここで死ね!」って怒鳴られたり。
──それは遊び半分だったのでは?
三浦 いや、本当に憎しみです。すごい目ですよ。子供なのにあんなに人を憎めるってすごいなって思う。私、小さいころ絵が上手だったんです。私の描いた絵が学級文集の表紙に採用された。そのことで先生が「私の絵が表紙になりました。皆さん拍手してください」みたいなこと言ったとき、その男の子が「そんなこと自慢するな!」って叫んだんですよ。いきなり。その日からイジメが始まりました。
──子供の些細な嫉妬から、深刻な事態に。
三浦 私、おとなしいんですよ。絵が好きってことからわかると思うけど、1人で黙々と作業をするのが好きな子供だった。活発な方じゃない。人から攻撃されたとき、即座にやり返すとか言い返すとかそういうことは絶対にできない。とにかく言われると悲しい顔をしていたと思う、それが楽しくて仕方なかったのかな。どんどんエスカレートした。
──そのイジメが一番ひどかったのは、いつごろだったですか。
三浦 ひどかったのは、またもう一人の男のイジメっ子がいて、小学校5、6年のとき。でまた別の男の子で隣の席に座っていた。体が大きい男の子だけど、私の胸とかアソコを触るんですよ。ふざけながらだけど、歌を歌いながらこうやって触ってくる。歌に合わせてガーってその行為に対しても、私は嫌と言えない。早くやめてくれないかなーって心の中で思いながら我慢した。中学になってからは男の子だけじゃなくて、イジメグループに女の子も入ってきた。けっこうキツい女の子たちで、もう人間扱いをしてくれない。
──人間扱いされないって、どういうこと?
三浦 とにかく「臭い」「寄るな」って言われるのは挨拶代わり。給食のときは「おまえ、エサ食ってるの」とか。トイレにいると「フンしている」って言われるんですよ。
──その状態だと、なかなか友達はできないですね。
三浦 友達は2人いた。1人は私と同じようなおとなしい子、でも目立つところもないし美人だったのでイジメのターゲットにはならなかった。早くこの不幸が終わらないかなって、ずっと思っていましたね。中1のときは精神的に限界がきて、本当に死のうかなって思っていました。死のうと思って手首を切ったり、首を吊ったりしたけど、うまく死ねなかった。
──死のうかなってまで、追い詰められたのですか。
三浦 中学1年のとき、同じクラスに本当にキツい女の子がいて、その子のおかげです。ブス、ブタ、死ね、臭い、汚い、息するな、学校来るな、あと足が短い、ブサイク、色々ですね。頭悪いとか、本当にいろいろ言われた。
──全否定されて、自分で自分のことはどう思っていました?
三浦 私、当時すごく太ってたんですよ。で、まあブタって言われるのはしょうがないなと思ったかな。普通の子だったら、そこで言われないように自分を綺麗にしようとか思うだろうけど、私なぜかそこで髪をスポーツ刈りにしたんですよ。いきなり。イジメに遭っている最中にスポーツ刈りにして、あと文集には確か自分のことをブタって呼んで下さいって書いた。あなたたちの言う通り、私はブスで豚ですって認めたってことですよ。
──救いの道がなかったの。
三浦 ない。母親にも結構相談したけど、近くの別の学校に転校させてって言ったら、母親が「お金ないからダメ」って。「うちお金ないんだから、そんなことできるわけない。新しい制服なんて買えない」って言われた。母親はとにかくお金、お金でした。(後編につづく)
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