見出し画像

性犯罪男の呆れた一言「めくったんじゃない!持ち上げたんだ」【ヤスデ丸の裁判傍聴ファイル】

《公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反》

 一般的に条例とは、現行の法律では裁けないトラブルを解決するためなどに公布され、この「公衆に著しく(中略)条例違反」は、客引きや押し売りなどに適用されることもあります。
 ちなみに、怖いお兄ちゃんたちでたむろって街中をウロウロすることも、場合によってはこの条例違反に該当することになるそうなので、他人に圧をかけたり脅したりしがちかも、という集団に属している方は要注意。

 また、実際に見るまで何をしたかわからないのが条例違反の裁判でもあるのですが……。

 今回の被告人は、電車から降りた後、同じ電車に同乗していた女性のスカートをホームでめくったことで起訴された。被告人いわく、

「通行人にまぎれながらそういうことをすると、なんか、興奮するんですね、はい」

とのこと。まあ正直ではあるが、しょうもないですね。しかも、

「スカートをめくりあげたんじゃなくて、持ち上げたんです」

 と謎の訂正を入れる始末。弁護人さん~、事前にもうちょいまともなアドバイスできなかったんすか~、と心の中で突っ込まざるを得ません。しかし、被害者からしたらたまったもんじゃないのはもちろん、あながち笑えないのがこういったプチ性犯罪。

性犯罪者の理屈は千差万別(イラスト=ヤスデ丸)

 太眉・薄毛の被告人男性(42)は前科2犯、いずれも性的欲求を抑えられず、スカートに射精をするなどの犯行に及んだそう(これキツイよね)。
 以前の服役中には、性犯罪専門の再犯防止プログラムを受けて訓練に励んだものの、こうして見事に再犯に至り、検察側から2年の実刑を求刑されました。

 プログラムでは「自分の彼女ができて、その彼女が同じことをされたらどう思うか」と考えるようにしていたそうですが、いもしない彼女を想像すること自体がそもそもハードなのよね。彼女がいたって、やっちゃう人はやっちゃうわけだし。
 どんな犯罪者もそうかもしれないが、特に性犯罪者となると、元々の自分の性質が引き金となったり、過去のトラウマや出来事がきっかけで歪んだ趣味を持ってしまったり、衝動を抑えるための脳内のストッパーがバグっちゃったりした結果、実行に移してしまうことが多いわけで……。

 有効と言われる治療を受けるも、それも虚しく「電車に乗らない」「子供のいる場所に行かない」「歩くときは下を向く」など、自分の生活にできる限りの制限をかけて、一生懸命再犯を避けている元“ピンク”受刑者も少なくない。

 よく女性たちから「性犯罪者はチンコを切り落とせ!」なんて声も上がりますが、去勢をしたとて、彼らは性犯罪をやめることはありません。意志の力でやめられるものではないですし、仮にホルモンの分泌に影響を与えたとしても、彼らだってチンコやキンタマに脳みそが詰まってるわけではないからです。

 この被告人は、出所後も同じ会社で働き続けていましたが、保護司から勧められていた矯正のための病院へ通うことはなかったそうです。おそらく、服役中のプログラムも同様の罪を犯した囚人たちと一緒に、集団で行われたもので、被告個人に特化したものではなかったのかもしれません。

 しかし、当然褒められたもんじゃありませんが、「めくったんじゃない、持ち上げたんだ」と表現の細部に対して異議申し立てる被告には、猛烈なこだわりと犯行に対する妙なパッションを感じられました。

更生応援ポイント

「そのこだわり、他で活かして」

スカートを「めくった」と思われるのが心外で、持ち上げる動作を細かに説明するほどの物事へのこだわり方は、きっと何か違うところで活かせるのでは……。人に迷惑をかけずに性的な道楽を追い求めるのは、これまでそれができなかった人にとっては、正直、骨の折れる作業かもしれません。自分流の性的娯楽の楽しみ方、再犯を防ぐ対処法を見つけられるといいですね。できれば今度こそ、無事更生プログラムが功を奏することを祈っています。

【著者プロフィール】
ヤスデ丸(やすでまる)
▶『実話ナックルズ』の女性編集部員。いよいよアラサー。乗っているバイクはYZF-R3。オススメのプロテインは「ウマテイン ミルクティー味」「ウルトラ 黒ゴマきなこ風味」。