マガジンのカバー画像

酒井透

50
(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ… もっと読む
運営しているクリエイター

2024年5月の記事一覧

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】神奈川県大和市の廃線『米軍厚木基地専用線』

 相模鉄道大塚駅構内(神奈川県大和市)から専用線で在日米軍厚木基地に航空燃料輸送を行なっていた米軍厚木基地専用線(廃線)のレールの撤去作業が進み、廃線マニアや懐古マニアなどから悲鳴が上がっている。  米軍厚木基地専用線は、神奈川県大和市にあることも手伝って「毎日行かれる廃線跡」として人気があった。地元の鉄道マニアも時間があると通って写真を撮っていたところだ。 「米軍厚木基地専用線は、自分が物心ついたときには廃線になっていました。家からさほど遠くないところにあるので、気が向

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】石川県・金沢市『大円寺の骨仏』

 大円寺に伝わる寺伝によると、この骨仏は、往事の住職であり画僧でもある心岩上人(※)が発案したもので、宿場町の入口にあった地蔵尊の脇に集められていた旅人の遺骨が使われているという。  江戸時代末期、宿場町では、病気や怪我などで亡くなった旅人の遺体を荼毘に伏した後、その遺骨を地蔵尊の脇に集めていた。江戸参りをすることが多かった心岩上人は、誰からも拝まれることのない遺骨を各宿場町で拾い上げ、粉末状にしてから膠(ニカワ)に混ぜて樫の木で造った木像に塗り込んだ。このときに膠に混ぜた

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】姿を消した調布駅前公園の『タコのすべり台』

 日本全国の公園で見ることのできる「タコのすべり台」。その第1号だったとされる調布駅前公園(通称・タコ公園/東京都調布市)のすべり台が、2016年9月30日をもってその姿を消してしまった。当日、同公園では、午前9時半から「タコのお別れ会」が行われた。   昭和46年(1971年)に設置され、40年以上の長きに渡って多くの子どもたちから愛されてきた「タコのすべり台」。平成元年(1989年)に赤色からピンク色に塗り替えられ、平成21年(2009年)には、再び赤色に塗り替えられた

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】京都府八幡市の元遊廓旅館『橋本の香』

 令和の時代に入り、昭和の頃に建てられた様々な建築物が次々と姿を消している。遊郭跡も例外ではない。かつての妓楼建築も年月を重ねるごとに取り壊しが進んでいる。  そんな中、妓楼建築を残すために尽力している人がいる。京都府八幡市在住の政倉莉佳さん。驚くなかれ、政倉さんは、橋本遊郭跡に残されていた物件を購入して旅館『橋本の香』を開業したのだ。そこでは、按摩店『漢方エステ 古民家サロン』も営んでいる。  「ここを買ったのは、不動屋さんから勧められたからなんです。元・オーナーは、旦

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】沖縄県那覇市の子供を抱く女性の霊がでる『波の上ビーチ』

 沖縄県那覇市内に地元で暮らしているお年寄りから敬遠されている海水浴場がある。ここは那覇市内唯一の海水浴場であることから、シーズンになると観光客や地元の人で賑わっている。しかし、ここはいわくのあるスポットとされている。『波の上ビーチ』にまつわる話を那覇市に住む男性に聞いた。 「あれは今から50年くらい前のことになります。ある会社の人たちが、みんなで海水浴に行きました。何人かで泳いでいると、小さな女の子を抱いていたお母さんが流されてしまったのです。  お母さんは、子どもに水