マガジンのカバー画像

酒井透

51
(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ…
運営しているクリエイター

2023年9月の記事一覧

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】大分県大分市内の「〝敬礼〟する像」

夜中に右腕がスッと…  大分県大分市内の墓地に色褪せた兵隊の像が立っている。住宅街の一角にある墓地にぽつんと立っているのだが、夜中になると〝敬礼〟をすることがあるという。  地元に言い伝えられている話によると、造られた頃は、右手を挙げて敬礼をしていたという。しかし、その後、少しずつ下がっていったとされている。草やぶをかき分けて像に近づいてみると、袖と服の間に隙間はなかった。本当にそんなことが起こりうるのだろうか? 「かつてあの兵隊の像の右手が挙がっていたという話は、亡く

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】宮城県某所の「キリスト看板を作る男」

ちょっと怖い、あの看板の正体  日本全国いたるところで目に飛び込んでくる〝キリスト看板〟。黒をベースにして、白と黄色の文字で書かれている〝あの看板〟は、宮城県丸森市某所にある『聖書配布協力会』というところで製作されている。  気候も穏やかなある日、現地に着いて〝キリスト看板〟を見せてもらうためにしばらく待機していると、「看板の発案者」であるリチャード・ノーマンさんがやって来た。 「看板に書かれているのは、神の御言葉や救いの御言葉です。ところどころ聖書からとって短くしてま

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】埼玉県秩父市の「ジャランポン祭り」

死者が一気飲みで泥酔する  埼玉県秩父市の下久那地区でとっても痛快な祭りが行われている。その祭りの名前は『ジャランポン(別名:葬式祭り)』。  長年、3月15日前後の日曜に行われているこの祭りは、すべてがテキトーだ。”生きている人”を”死者(生き仏役??)”に見立てて、大僧侶役のおじさんがお経をあげる。ところが、このお経はデタラメ。まったく何を唱えているのか分からない。伴僧役の人たちが叩く鐘や太鼓の調べもイイカゲン。位牌もあるが、戒名は『悪疫退散居士』というフザケタもの~

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】古河市高野の「ろうそく地蔵尊」

300年続く奇祭  茨城県古河市に『奇祭中の奇祭』と呼ばれている祭りがある。8月23~24日にかけて古河市高野の高野八幡宮で行われている「ろうそく地蔵尊」がそれだ。  この祭りがピークを迎えるのは、初日の午後8時頃。硬い石で作られた地蔵は、紅蓮の炎に包まれ、その周りは、ろうそくの炎が発する熱の影響で灼熱地獄になる。ろうそくに火をつけている世話役の人たちの額からは、幾状ものの汗が滴り落ちている。でも、この地蔵は、何を語ろうともしない。ひたすた”耐えて”、”耐えて”いる。世話