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鈴木ユーリ

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(すずき・ゆーり) ライター。『実話ナックルズ』にて連載『ゲトーの国からこんにちは』など X@yuri_suzuKii
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【インタビュー】フッドリッチトーキョーRAKO「安藤組“餓狼の血”を継ぐ男」の半生(前編)

祖父は「安藤昇の言うことを聞かなかった唯一の男」  まだ残暑がただよう秋の日のことだった。 「来たか」  渋谷の鰻屋の門をくぐると、その人はすでに待っていた。伝説の元ヤクザであり、異色の映画スター。歳は召していたが、目をまともに見れないほどのオーラがあった。 「楽にしていいぞ。で、今は何をやってるんだ」 「パクられて出てきて、今は抗争を繰り返しています。××組と揉めてます。○○組とはもっと揉めてます。自分は、今流行ってる振り込め詐欺とか許せなくて、薬をイジってる不良も

【ラッパー・T-STONE】「1型糖尿病」発症から15年──新EPは「めちゃくちゃロック」【3/3】

難病発症と父の死1型糖尿病の発病は小学5年生、10歳の時だったという。

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【ラッパー・T-STONE】フリースタイル・ダンジョン出場で気付いた「本当にやりたかったこと」【2/3】

「お前は王道」と言われ続けてその存在をまわりから認められるようになるまで時間はかからなかった。18歳の時、MCバトル「UMB徳島大会」のタイトルを奪った。 「そこから3年連続で全国行かせてもらったんやけど、その頃の僕はバトルに向いてたのかもしれない。強面のラッパーの先輩らもようけいらっしゃった時代やったけど、でも対峙したら戦わなきゃいけないじゃないですか。見た目でビビっちゃったら話にならないじゃないけど、バトルってそこでビビっちゃうヤツ多いんですよ。でも僕は言い返せた。特別

難病を抱えるラッパー・T-STONE アンダーグラウンドからメジャーへ── 【1/3】

「ヒップホップじゃないって言われてもいい」昨年末、六本木のイベントで初めて観たライブは圧巻だった。レジェンドや現役第一線級のラッパーがそろう中、彼ひとりパンクロッカーのような存在感を放っていた。 T-STONE。ヒップホップシーンではすでに知られた存在である。2019年、TiKTokで楽曲「Let's Get Eat」がブレイクし、日本1位を獲得。YouTubeでも500万回再生を記録し、ネットには「極楽浄土、神様どうも」と曲にのせた若者たちのダンス動画が溢れている。 「

ビジネスで勝つ! 組織を強くするための「どんでん(阪神タイガース監督・岡田彰布)」の深イイ名言

その1●「審判室どこや! 今のボークやないやろ!」 【部下を守るために戦う】オリックス時代、マウンドに送った比嘉幹貴がけん制でボークを宣告され猛抗議。試合後も「比嘉はけん制で金が取れる投手」と庇った。比嘉は今日本シリーズの第4戦では阪神を無失点に抑え、恩師の言葉に報いたのだった。

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AVのスカウトは暴力や薬物で強要されるものなのかーー関東連合元最高幹部・柴田大輔が語った“AVスカウト戦争”の真実

90年代後半、関東連合が渋谷や六本木で成り上がった背景にはAV業界への進出があった。瞬く間に路上の顔役となり、芸能界やIT長者とつながる「金脈」をつくっていったがーー暴力とカネ、その知られざる真相を、関東連合元最高幹部・柴田大輔が明かした

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【地震が起きたら要注意】『リフォーム詐欺』でボロ儲け・・・ 「自然災害は僕らにとってはバブルですね」

流行り廃りがあるのは裏ビジネスの世界も同じ。いま、テレビやネットのニュースで度々大きく話題にのぼる事件を起こしている本人たちが、その手口と裏側を告白した── 《よく狙うのは、お年寄りが住んでそうな古い家。とくに瓦屋根の古い日本建築の家は鉄板。瓦直すだけで30万円、屋根全体なら100万円は取れる。でもそれはきっかけにすぎない。詐欺はそこからはじまります。》

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これが激増する「海外出稼ぎ売春」の実態 ルポ 令和6年のからゆきさん(ライター・鈴木ユーリ)

アメリカでは 「若い日本人女は売春婦」 ビル風が吹きつける中、大久保公園裏で客を待つ立ちんぼ少女たちはスマホをいじっていた。 ホストクラブのツケ払いである「売掛」を背負わされた女たちの売春が、社会問題になっている。2023年末には〝令和の売春の聖地〟大久保公園で一斉摘発が行われた。 「ムダだと思いますけどね。頭使える女の子は、もうあんなとこにいないから」 そう語るのは自身もホストクラブ通いをする風花(仮名・21歳)だ。大学進学のために上京した10代でイケメンホストにハ

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【ルポ 3・11フクシマ】「除染のおかげで地元に戻ってこられた」……除染作業員が見た被災地・楢葉

人生を変えた「3・14」 「ここらへんで、道がいきなり失くなってたんですよ」 福島県・浜通りエリアを縦断する国道6号線を走っていた。道は今も人気がない。楢葉町に入ると町の復興拠点としてオープンした『笑みふるタウン』があらわれ、右側には郭公山が裾野を広げている。 遠田雄大(仮名・3×歳)はこの街で兄弟3人、女手ひとつで育てられた。幼い頃に離婚した父親の記憶はないが、楢葉町出身だったという。母親の生家の祖父の家で育ち、高校時代は町内の団地で過ごした。「しょうもない悪さばっか

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【3・11フクシマ】「復興って、ドラッグの値段でわかるんですよ」……麻薬密売人が見た被災地・郡山

密売、強盗、賠償金詐欺 福島県中央部、西を猪苗代湖、東を阿武隈山地にかこまれた盆地に郡山市はある。新幹線も発着する駅ターミナルにはこぎれいなスーツや制服が行きかい、そこにはかつて「東北のシカゴ」と呼ばれていた面影はない。 郡山市は戦後、大陸からの引き揚げ組をふくめた急激な人口増加で治安が悪化した。暴力団事務所が乱立し、発砲事件などが日常的に発生。行政は「暴力追放都市宣言」を推進し、音楽都市「東北のウィーン」としてイメージを刷新してきた。周囲の16市町村をふくめた「郡山都市

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【3・11フクシマ】「復興バブルはあったけど、もうここにも居場所はないのかな」……デリヘル嬢が見た被災地・小名浜

震災後に「ラブホ超満員」 周囲には健康センターの灯りだけが赤く浮かぶ、国道沿いの駐車場で待ち合わせていた。小名浜港からは車で15分ほど、スマホの地図を見ると「小浜」という地名を指している。「いわき市 小浜」と検索にかけると、予測候補に「ホテル」と表示された。振りかえれば駐車場の裏手にネオンが見えた。 「『G(ラブホテルの名前)』が一番好き。『G』に呼ばれる時はけっこうラッキー」 アジアンリゾート風のラブホテルの前を歩きながら、優月は舌足らずな声を出した。6軒ほどのモーテ

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【3・11フクシマ アンダーグラウンドからみた復興】彫り師・HOTEI13といわき

観光名所になった〝被災地〟 駐車場はファミリーカーで埋めつくされていた。刺青を隠しているとはいえ、布袋十三(HOTEI13)の屈強な体は、連休中のショッピングモールには不釣り合いだった。 「自分は映画見る時ぐらいしか来ないっスから。でも昨日も人すごかったんですよ」 広場では大道芸人がこどもたちに囲まれていた。「イオンモールいわき小名浜」は、福島県最大、東北でも有数の巨大モールだ。 映画『フラガール』の舞台になった「スパリゾート・ハワイアンズ」以外、名所の少なかった街は

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『新宿スワン』よりエグい……これが日本最大のスカウトグループ『ナチュラル』の全貌だ【ライター・鈴木ユーリ】

「独自アプリ」と「掟」 東洋一の歓楽街で今、異様な事件が頻発している。 〈歌舞伎町のマンションに男性を監禁し暴行を加えるなどしたとして、国内最大規模の風俗向けスカウトグループ「ナチュラル」幹部ら、メンバーの男14人を逮捕〉(時事通信 11月1日より抜粋) 暴行に及んだ理由は「グループの規約を破った制裁」で、監禁は9日間に及んだという。 「『ナチュラル』は国内最大と目されているスカウトグループ。歌舞伎町を拠点としていますが、傘下のスカウトマンは北海道から九州まで及ぶと言

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続・資本主義の豚たちのためのイルミネーションランキング 極私的東京イルミ考【鈴木ユーリ「ニュートーキョー百景」】#11

10年ほど前からクリスマス期間の表参道を歩くのを年中行事にしている。 りそな前からスタートし、ラフォーレ前交差点を渡り、明治神宮前の交差点で折りかえす。復路は逆サイドの歩道を帰って、表参道ヒルズをすぎまた表参道交差点までたどりつけばゴール。12月17日を皮切りに、25日まで都合9回くりかえす。 苦行かと問われれば、ぜんぜんそんなことない。むしろ幸せしかないお遍路。ふりそそぐ光の中、イヤフォンの音量いっぱいにクリスマスソングを鳴らして歩く。ご当地ソングは聞ききれないほどある