見出し画像

投資に関する不都合な真実・・・もっとリスクを!

日本人はもっとリスク資産投資にカネをまわすべき。
リスクとリターンは概ね比例する

本日のまとめ

橋本政権の「金融ビッグバン」を受け継いだ第一次小泉内閣が「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げたのは2001年の「骨太の方針」だったそうですが、欧米と比べると、日本人の投資ギライはなかなか治りませんねー。1980年代のバブル経済とその崩壊がもたらした傷痕はなかなか癒えないってことなんでしょうか。バブルでヤケドした人が身近にいたらやっぱりなかなか「投資」には手を出しづらいのかなぁ。

下のグラフは日米欧の家計の金融資産構成(日本銀行調査統計局、2021年8月)です。グラフで明らかな通り、日本の家計のリスク資産(=株式+投資信託+債務証券)保有比率は欧米の半分以下ですからねー。

日米欧の家計の金融資産構成(日本銀行調査統計局、2021年8月)

一方で、保険の加入率は海外と比べてとっても高いんですよねー、世帯ベースの生命保険加入率は、米国で70パーセント、英国では25パーセントに対して、わが国では90パーセント(正確には89.8%、2021年生命保険文化センター調べ)とほとんどの世帯が必要以上(個人の感想です)の保険に加入しています。これはあれですかね、過剰なまでにリスクを避けたい、そういう気質が日本人にはあるのでしょうか?保険についてはまた違う記事で触れるつもりですので本日はリスク資産のお話。

貯蓄→投資シフトが進まない原因の究明はどなたかにお任せするとして、事実として日本の家計は必要なリスクをとっていないというのは間違いありません。

さて、ここでいう「リスク」とは、一般的な日本語における使い方とはやや異なります。フツーの日本語では、「リスク」には何かネガティブなことがおこる可能性、確率という意味を含んでおり、避けるべきものという意味あいがあるかと思います。一方で、投資論、金融論における「リスク」というのは不確実性を数値化したもので、特にリターンの振れ幅を統計的にあらわす指標となります。数学が苦手な人には耳慣れないかもしれませんが、リスクは一般的にリターンの「標準偏差」であらわします。標準偏差とは、沢山あるデータが、平均からどれくらい離れているかのばらつきを示す指標です。
例えば予想リターンがともに10%である金融資産がA、B2つあるとして、Aのリターンは良いときは+50%だが、悪いときはマイナス30%だとしましょう。一方、資産Bの予想リターンも10%ですが、良いときは+15%、悪いときでも+5%だとします。このときAもBも予想リターンは等しく+10%ですが、資産Aのリターンの振れ幅は±40%なのに対してBの振れ幅は±5%となります。ざっくりいうと、このケースにおけるリターンの振れ幅である40%、5%がそれぞれ資産A,Bの「リスク」です。

リターンのブレがリスク

(正確には振れ幅ではなく、標準偏差=ばらつき度合いが「リスク」、ですが、話が広がりすぎるので「標準偏差」の詳細な説明は割愛します。)

投資論、金融論においてもっとも重要な概念は「ハイリスク-ハイリターン」、すなわち「リスクとリターンは概ね比例する」というものかもしれません。リターンを縦軸に、リスクを横軸にとった下の概念図が示しているように、高いリターンを得るためには、高いリスクの資産に投資する必要があり、預貯金のような低リスク資産に投資しても低いリターンしか得ることができない、というのが、あらためて確認するのもはばかられる運用の大原則です。したがって、ローリスクハイリターンとか、ノーリスクハイリターン、などを謳う商品・サービスは全てエネルギー保存の法則に反する永久機関のような詐欺または詐欺的商売だと思ってまず間違いありません。

リスクとリターンは比例する

先ほどは「日本の家計は必要なリスクをとっていない」などとエラそうに述べましたが、ワタクシがこの記事で言いたいことはつまり、もっとどしどし投資をした方がアナタの未来は明るくなりますよってこと。前の記事の繰り返しになりますが、正しくリスクをコントロールした「投資」は、決してギャンブルではありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?