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ショック・ドゥ・フューチャー

1978年のフランスパリが舞台の映画。
電気グルーヴのエレクトロミュージックが好きで、その石野卓球氏がコメントしてたので見た。

男性優位の作曲社会の中で奮闘する若い女性作曲家の、とある1日のお話。
ストーリーは波瀾万丈というよりはかなり淡々としているし、主人公であるアナは常に女性であるというだけで色眼鏡で見られていて息苦しさを感じている。
この映画内ではせっかく作った曲を有名プロデューサーにフランスでは売れないと断言されてしまって意気消沈するアナの作曲家生活がうまくいくかはわからないんだけど、最後レコーディング風景を見学できたバンドの女性ボーカルに励ましてもらって、いてもたってもいられずにそのスタジオを飛び出して自分の家に帰り作曲を始める、というところで映画が終わっているのが良い。アナの未来は明るく見える。

作中に出てくる重要なリズムマシン(?)が日本製だったり、レコードマニアのおじいちゃまがレコードは東京がすごいと言っていたり、70年代のフランスの音楽マニアの間で名前が出る日本、意外だった。
自分はフランスの音楽についての知識がないのはもちろん、日本の音楽についてもほとんど何も知らないかもしれない。

作品は9割アナの部屋でストーリーが展開されていくんだけど、ずっと見てても飽きない。何から何までセンスがいい。
アナがサラッと履くズボンもボタンがなくチャックを一番上まで閉めるタイプで、スキニーすぎないけどアナのスマートな脚がより魅力的に見える形になっているのが素敵だな〜と思っていた。
作曲中にかけるメガネもアラレちゃんのような大きく縁が太くレンズが分厚いものなんだけど、他が洗練されているから全く野暮ったく見えない。
部屋のインテリアも素敵。こういう部屋に住みたい。
女性も男性もばかすか煙草を吸っていて、アナは男性優位の社会の中で不利な状況になっても決して男性に媚びることはなくてかっこよかった。

今まで女性である自分を見下すような男性とばかり接して苦い思いをしていたアナが歌手であるウララと出会い、自分の作った曲にメロディーと歌詞をつけてくれて綻ぶような笑顔をするシーンが好き。

そして曲。流れている曲が全部いい。
テレビの音響が少し良いものなんだけど、その音響で見て大正解だった。左右から音が聞こえて嬉しくなった。
ストーリーの中でも曲を聴く人たちが体を動かしていたけど、こういう音楽は思わず体を動かしたくなる気持ちがよくわかる。
エレクトロミュージックには人を踊らせる力があるんだと思う。

感想が難しい映画なので、短いけどここまで。
音楽も相まってサラッとした雰囲気なので何度も見たくなるような映画だった。

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