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パラノーマル・アクティビティ

柳さんと見た!
どこで誰といつ見たか全く覚えてないんだけど、なぜか見た記憶があった。
なのでオチは知っていたんだけど、その上で見ていてすごく楽しかったし怖かったのですごい映画だよこれは。
実はタイトルを聞いても内容が思い出せないくらいパッとしない映画だと思っていたんだけど、きちんと集中して向き合って見直してみたら全くそんなことはなかった。
なのでパラノーマルアクティビティ稲川淳二バージョンしか見たことがない人はとりあえず副音声とか抜きのオリジナルバージョンを見てみるのをオススメします。1時間30分もないしね。

この映画、ホームビデオをずっと見ていてつまらなかったという感想も、最後まで見られないくらい怖かったという感想もあり、しかも感想が両極端にもかかわらずどちらもかなり共感できる。
なぜなら前半はラップ音や触ってもいないドアの開閉が起こる以上のことは起きない。
でもこのカップル異音がした場所に向かうのに全然家の電気付けないんだよ。それが嫌だった。
家の探索をするときは全ての部屋の明かりをつけろ。全ての部屋のドアを閉じる習慣をつけろ。煌々とした寝室で眠れ。平屋の日本家屋に引っ越せ。クラブで朝まで踊り明かせ。

基本的にはデイトレーダーをしていてプール付きの一軒家に住んでいる彼氏のミカと、大学で勉強をしながら英語教師を目指している彼女のケイティが同棲している場面をビデオカメラで撮影するという形で物語は進んでいく。
最初は和気あいあいとしていた2人だったけど、だんだん夜に起こるラップ音がヒートアップしていくにつれてケイティは不安定になり、それに対比するようにミカはその音の正体の者を挑発するようになった結果、最悪の結末を迎えてしまうというお話。

映画を見終わった直後に感じたことは、全部選択肢を間違えたゲームのバッドエンドみたいだ!というものだった。
ああしなよ!こうしなよ!と思いながら見ていたのでなおさらそう感じたのかもしれない。
数ある選択肢の中から見事にそれじゃないでしょ!という答えを選ぶのがミカという男。
この男、曲者である。

まず幽霊や悪魔の類を信じていない。信じてないからこそ異音が起こったタイミングで高級ビデオカメラを購入して音の正体を確かめよう!となってこの映画は始まる。
そしてカメラを設置した結果、何も映ってないのに寝室の扉が開閉するのを見てこの家には野生動物や第三者の人間以外がいるかもしれない!とわかるんだけど、そしたら次はその見えないものを煽り出す。出てこれるなら出てこいよ!とか言って。
この時点でもうかなり嫌だった。ケイティはずっと悩んでいるのに……

この後も至って真面目な言動の幽霊専門家のことを煽ったり、ウィジャボード(海外式コックリさん)は霊を刺激して怒らせるからNGって専門家に言われていたのにウィジャボードを持ち込んで幽霊と交信しようとしたり、ケイティにやめて!と言われたことを軒並みやってみたり、幽霊を煽り続けてみたり、なぜか幽霊専門家に紹介された悪魔祓い専門家に連絡するのを頑なに拒んだり……あげていったらキリがないな。
おそらくミカにとって悪魔祓い専門家を呼ぶことが自尊心を傷付けるから呼ぶのが嫌なんだろうけど、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!と思っている間に手遅れになってしまった。

この作品のすごいところは人がミカとケイティ以外ほとんど出てこないこと(他には3人しかいない)、家でほとんど話が完結していること。
手ブレだらけのビデオカメラで撮影してるのもすごい。なので撮影費がかなり安くで済んだらしい。
にも関わらずB級なんて言えないくらいめちゃくちゃ怖い。最初から最後までずっと悪魔の姿が明らかにならないのも良い。下手にCGで作ってしまうとそれぞれが想像していた一番怖い悪魔像が壊れてしまうからあえて姿は出さないところに品を感じる。

この作品ってホラーで一番楽しくてヒヤヒヤする(お化けがくるぞ……くるぞ……)の部分で最初から最後まで突っ走っているところが最高。
相手のことが何一つわからなくて、姿も見えないが徹底されていることによって怖いが後を引く感じ。
その悪魔はどうやらケイティに憑いているらしいんだけど、別にケイティが昔何かしたわけでも、家系に問題があるわけでもない。ただある日突然悪魔の影響らしきものが出て、それが正確にやや難がある彼氏と同棲し始めたら手に負えなくなった。

自分が好きなホラー作家である梨さんもなんの因縁もないし過去そこで何かあったわけじゃないけど怖いものに出会ってしまうという作品をいくつも書いているけど、この作品にもまさにその怖さがあった。
わからないって怖いんだよな。

この作品で悪魔は人間じゃない、幽霊でもないという風に言及されていたけど、アメリカの幽霊観と悪魔観の違いって面白いな〜と思った。自分にはない感覚だ。
ケイティに憑いているのはどうやら悪魔らしい。
日本人である自分からしたら悪魔よりも幽霊の方が実体がわからなくて怖いと思うんだけど、ケイティに噛み付いたり乗り移ったりするような被害が出せるのは悪魔ゆえなのかな。
向こうの人って幽霊と悪魔だったらどっちの方が怖いんだろうか?

いやこんなにシンプルな構成なのにここまで怖い映画だとは思わなかった!ホラーとしてかなり品があって面白かった〜!
怖いとはいえ突然ギャーッ!って叫び声が上がったりするくらいで怖いものが突然画面に映るわけではないのでホラー苦手な人にも優しい作品なんじゃないかな。最後ミカは吹っ飛び、死んでしましたが。
想像力が豊かな人は見るのキツイかもしれない……

個人的にはホラー映画見たいんだけど何から見たら良い?って悩んでる人にはかなりオススメの作品かもしれない。

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