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グリーンインフェルノ

柳さんと見た!

前からかなり気になってはいて、さらにBRUTUSの怖いもの見たさでも取り上げられていたので、配信が終わる前に見られてよかった〜!
それはさておき、おい……おい………となる映画ではあった。
少なくとも見て元気が出るタイプではない。
この世界に嫌気がさしてもうスプラッタ見るしかないな〜!って時に見たらちょっと元気が出るのかもしれない。
見終わった今は心が温まる作品を見たい気分です。

作中に出てきたヤハ族があまりにもリアルというか、おそらくいる人たちを使っているよね?どういうキャスティングをしたんだろう?と思いながら少し調べたら、カラナヤク族という実在する“映画”という概念を知らない少数民族に、監督が『食人族』の映画を見せて、こういうものを撮影したいとお願いして出演してもらったらしい。
凄まじいことをする。
実際食人族とは別にカラナヤク族の文化が少し垣間見えるような場面もあって、それを作中に出てくるヤク族と同一視されてしまうような演出はいいのか……?本当に……?と思ってしまうな……

環境活動家に対する皮肉がたっぷり込められていた。主人公のジャスティンは大学生で、環境問題に関心を持つグループに入って少数民族を救うためにその土地を開発する団体に抗議をしに行くために熱帯雨林に向かうんだけど、そのグループがもうすでに香ばしい。
ジャスティンは正義感が強いと思うんだけど、その強い正義感のせいでまさかこんなことになるとは思わなかっただろうな。

なぜか現地のコーディネーターが12人分いる旅費を全額出してくれたり、相手は銃を持っているにも関わらずとにかくスマホ!スマホで世界に発信すれば伝わるはず!と言っていたり。
実際にその土地に向かって工事現場で抗議活動をした際、国連で弁護士をしている父親を持つジャスティンがリーダーのアレハンドロの策略で意図せず囮になって命の危機に瀕したりする。
しかも後から実はこの抗議活動に意味はなく、工事はたった数日遅れただけであって無くなったわけではないこと、実はこの活動はグループのPRも兼ねているためコーディネーターとグルであることも知らされる。地獄。

あらすじとして小型飛行機が墜落して食人族のいる場所に来てしまうというのは知っていたけど、抗議活動の後だとは思っていなかったので前半の香ばしい大学生の活動のターンではかなり面食らった。
しかも結構長いんだこれが。

墜落してからはもうあっという間。すごい勢いでポンポン人が死んでいく。まず飛行機の墜落で5人くらい亡くなる。そして食人族に捕まって5人亡くなる。食人族に捕まってからは嫌さのオンパレードで、墜落死した方が良かったのでは?と思わされる描写の連続だった。

人ってそんなに美味しいかな?とか、過食部位そこまで多くなさそうだよな〜とは思うけど、食人をする文化があるヤハ族はおそらく人を食材として楽しむんじゃなくて、外部から来た人間を食べるという一連の行為が儀式として重要なんだろうな。
食べ方にバリエーションはあったけど。
それはそれとして人間の活け造りはお腹壊しそうだと思いながら見ていた。食べられる方もサクッと殺されるわけではなくて、まず目を取り出されて舌を切られてその次腕を……みたいな過程を踏むのでなかなか死ねない。
凄まじい痛みの中ジワジワ死んでいくのは見ていて苦しそうでなかなかつらい。

ジャスティンと一緒に来て同じく捕えられたベジタリアンの女性が、自分たちがヤハ族に与えられた食事が逃げ出したと思っていた仲間の女性の肉だったと知って自決するシーンがあるんだけど、ここカチカチ山の「ばばあくったじじい、流の下の骨を見ろ。」の場面を思い出した。
その後檻の中の人たちでその自決した女性の遺体の口にもらった大麻を詰め込んで、棒で喉の奥に押し込んでその部族がラリるように手を加えたあたりで環境に適応しているな〜!と思った。
人って実際極限状況になるとその場に適応しようとするんだろうな……

そして始終アレハンドロが全方向からヘイトを買っていた。すごかった。ヘイト発生マシーンと化していた。
とにかく仲間を裏切りまくる上に倫理観みたいなものがなく、今?って場面でオナニーしてたりする。すごいぞ。もうめちゃくちゃだぞ。
なるべく酷い形で死んで欲しい感じでヘイトを集めていたけど、最後の衛星写真では生き残っていてあの村に適応しているっぽかった。すごいですね〜
いかにも図太い男なので可能性はある。どうかそこから一歩も出ずに幸せに暮らしてほしい。

ジャスティンがまさか生き残るとは思わなかった。だって彼女かなり死にそうだったから……
ジャスティンだけ部族に歓迎されていたの、なぜ?と思っていたんだけどジャスティンが処女だったからなんだね。
墜落した時点でかなり絶望的な状況で、ヤハ族に捕まってしまってさらに絶望的になり、一回脱出を試みて檻から出られたはいいもののまた捕まり、女子割礼されそうになったところで延期になっていた環境破壊の工事が再開されたことがきっかけで本当に逃げ出すことができたの、皮肉すぎる〜
そして逃げ出した結果銃撃戦をしていたところに飛び出して行ってスマホを持って言葉が通じない相手に私はインターネットでこれを配信して工事を中断させた女!わかる!?って単語で伝えたら理解してもらえたのもなかなか痛烈。自分を利用した計画を最終的には利用し返して1人だけ生き残るという。

本格的に逃げ出すことができたのはコミュニケーションをとっていたヤハ族の子どもが逃げるのを手伝ってくれたからなんだけど、あの子はこの先破壊されていく環境の中で生き残ることができたんだろうかと考えてしまう。
きっとヤハ族の中でも働き手である多くの大人が工事現場の人と戦うために銃で撃たれて死んでいったはずなので。

最後戻ってこられたジャスティンが何を訊かれてもヤバ族を庇うような言動を始終貫いていたの、助けてくれた子どもを守るためか?それにしては人が死にすぎているけど……と思っていたら柳さんの「自分の愚か行為を正当化するためだと思う……」という正解がきたのでは〜そりゃそうだわ!となった。
もうどうしようもないよ。解散解散。

明らかに続編を匂わせるような終わり方をしたけど、これ続編作るのかなり難しいんじゃないかな……特に人権的なところで……


いや色々凄まじい映画だったな……
これを見たという経験ができてよかったです。

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