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日本のエネルギー政策とその課題:COP28での「化石賞」受賞をめぐって

 12月4日付、『日本に「化石賞」 “気候変動対策に消極的” 国際NGOが発表』とのNHKの報道があります。

 世界各国の環境NGOが作るグループ「気候行動ネットワーク」が、国連気候変動枠組み条約の第28回締約国会議(COP28)で、環境対策に取り組みが不十分な国に授与される「化石賞」に日本を選んだと発表しました。日本の石炭火力発電への依存が主な理由です。岸田文雄首相はCOP28での演説で新規の石炭火力発電所の建設終了を宣言しましたが、既存施設の廃止計画には言及していないようです。アンモニア混焼技術などの環境対策を紹介したものの、これは「グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)」と批判されました。

 日本のエネルギー政策は、特に火力発電への依存度が高い点で国際社会からの批判を受けています。COP28での「化石賞」受賞は、日本がいまだに石炭火力発電に頼っていることを示しており、環境への悪影響が懸念されています。ここでいう「石炭火力発電」とは、石炭を燃料として利用する発電方法で、大量の二酸化炭素(CO2)を排出するため、地球温暖化の大きな原因の一つとされています。

 岸田政権は、2050年までに脱炭素を100%、2030年までには46%達成するという目標を掲げています。しかし、2023年時点で日本の原子力発電の比率は約10%まで低下しており、福島第一原子力発電所事故の影響がまだ残っています。原子力発電は、原子核の分裂によって生じる熱を利用して電気を生産する方法で、二酸化炭素をほとんど排出しないため、環境に優しいとされていますが、福島の事故以降、原子力発電への依存度を下げ、安全性の高いエネルギー源への移行が多くの国民の声となっています。

 そこで、再生可能エネルギー、特に太陽光発電や風力発電にも力を入れてきましたが、これらのエネルギー源は天候に左右されやすいものです。また、安定した供給が難しいという課題があります。例えば、太陽光発電は夜間や天候が悪い時には発電できません。こうした変動をカバーするために蓄電池を用いる方法が増えてきていますが、まだ十分な解決策にはなっていないのではないでしょうか。

 岸田首相は、COP28での演説で、新しい石炭火力発電所の建設を停止する方針を示しましたが、既存の石炭火力発電所に関する具体的な廃止計画には触れなかったようです。また、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアを石炭と混ぜて燃やす技術を紹介しましたが、かえって、表面的な環境対策として「グリーンウォッシュ」(見せかけの環境配慮)という批判を受けることになってしまいました。

 私が今調べている「トリウム溶融塩炉」のような新型原子炉の開発は、現状の日本のエネルギー政策に対するネガティブな評価を覆すことができるのではなかろうかと、調べるにつれて期待が膨らんでいるところです。これらの原子炉は出力変動が容易で、再生可能エネルギーの不安定な供給の状況を補うことができます。安全性も確保されています。結果として、再生可能エネルギーと原子力の並存によって環境問題を解決していけば、国際社会からの批判を乗り越えて世界の温室効果ガス排出量の半分を占めるアジアでの脱炭素化をリードしていく姿勢の「アピール」は現実となっていくのではないかと思っています。
 これらから、私たちの生活におけるエネルギーに対する感謝の日々の思いも定着していくことになると考えています。


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