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「東京一きれいな現場を目指す」小河原建設の環境整備見学会に参加しました

1.はじめに

 6月14日、東京都中野区で建設業を営む株式会社小河原建設の環境整備見学会に参加しました。ここでの環境整備とは、3S(整理、整頓、清掃)を指し、取り組み状況を外部の方にもオープンにする会です。参加者は私を含めて23名で、建設業の方が大半を占めている様でした。多くの会社が代表者と各部門の責任者など、複数名で参加していました。

 小河原建設の環境改善の指導をされている小早祥一郎さんとは20年来の知り合いで、小早さんが株式会社そうじの力を立ち上げる前後に個人で活動されていた時期に勉強会でご一緒しました。拠点を高崎に移された後はしばらくご無沙汰していましたが、今回の見学会の案内が目に留まり、勉強させていただきたく参加しました。約17年ぶりに小早さんと再会しました。


2.小河原建設について

 今年で創業68年、株式会社としては55年を迎えます。現在、木造注文住宅やリフォームを担当する住宅事業部、そしてビル建設を手がける特建事業部を運営しており、社員は35名です。


3.見学会のプログラムが始まりました

 冒頭に小早先生から本会の開催にあたっての趣旨説明がありました。企業の環境整備は日常業務を円滑に進めるために重要な事項ですが、その地味な作業の繰り返しの中で社員がやっていることの意義を見失ってしまうこともあります。そこで、支援している企業には以下の二つの意義を伝え、外部向けの研修会や発表会の開催を提案されているそうです。

➤見られることによる刺激
 企業内外の視線が環境整備の活動に向けられることで、社員にとって大きな刺激となります。普段の業務では気づかない改善点や工夫の重要性を再認識する機会となり、改善へのモチベーションが向上します。

➤実地体験の重要性
 参加者が実際に現場を訪れることで、文字や映像だけでは伝わりにくい現実感を体感できます。現場の環境を感じることで理解が深まり、具体的な改善策や新たなアイデアを得ることができます。

 次に小河原建設の小河原敬彦社長から、環境整備活動に取り組んだ動機や経緯を交えたご挨拶がありました。詳細はインタビューの内容をご覧いただいた方が伝わるので、ここではリンク先の紹介に留めます。

4.現場見学

 さて、現場の見学です。本社と建設現場の様子を紹介しますが、細かい説明は不要です。細部に配慮が行き届いております。会社の重点経営方針に据え、日々改善に勤しむ社員の創意工夫の証が見受けられます。


キャビネットは開き戸を外して全てオープンにしています



引き出し内の文具は必要最低限として、置き場も決めています。
資材倉庫の掃除用具、箒の柄の色と番号で置き場が決まっています。
資材も在庫状況が見える化されています。無駄なく使い切ります。コスト意識も高いです。
建設現場です。床に資材を置きません。きれいな現場です。
混廃に比べ仕分けされた廃棄物は処理費用が安くなります。仕分けを徹底しています。

5.小河原建設の環境改善プレゼンテーション 
 
現場見学を終えた後、小河原建設の環境改善リーダーである小河原悠司さんから具体的な取り組みを紹介いただきました。以下のようなプログラムを実践しています。

  1. 環境整備研修

    • 毎月第2木曜日の16時に実施。

    • 環境整備のチェックと振り返り、実習を行います。

    • 前月の環境整備チェックの振り返りは個人評価に反映されます。

  2. 環境整備チェック

    • 毎月1回、金曜日の9時から実施。

    • 一人あたり1〜3か所の担当場所が割り当てられ、チェックが行われます。

    • 写真付きのチェックシートを使用し、清掃状況を確認します。

  3. 毎朝の環境整備

    • 全出勤日の朝礼後に20分間の掃除を実施。

    • マニュアルを整備し、清掃の統一化と質の向上を図っています。

  4. 「そうじの力」研修

    • 年間3回(当初は毎月)、小早先生から環境整備の意義について学びます。

    • 講義とディスカッションを通じて知識を深めます。

  5. 現場きれい活動

    • 毎月第4金曜日の朝に全社員で現場の一斉清掃を実施。

    • 「東京一きれいな現場」を目指し、近隣の方々への感謝の気持ちを込めて行います。

  6. 心正塾

    • 年4回、朝7時から街頭清掃を実施。

    • 中野通りから新中野駅周辺を班ごとに分かれて清掃し、地域貢献を続けています。

6.小早先生からの学び

 小早先生からの総括としてのお話は、現場見学の移動時間が想定時間を超えてしまったため、大幅に短縮されました。しかしながら、環境整備のポイントを簡潔にお話しいただきました。

  1. 徹底すること
     環境整備は「徹底する」ことが何より大事です。ほぼすべての人がその重要性を認識していますが、「そこそこ」では意識改革に至りません。「ここまでやる」「こんなにやる」という基準を設けて初めて意識が変わります。周りの環境を変えることで意識が変わります。中途半端では意識改革は達成できません。

  2. 不要なものを捨てる
     日本人は「もったいない」という意識が強く、物を捨てるのが苦手です。しかし、使っていない物を捨てることが環境整備の基本です。ものが積もっていると意識が停滞し、なれ合いの社風が形成されがちです。捨てることで環境が変わり、意識も変わります。

  3. 楽しむこと
     環境整備には厳しいチェックも必要ですが、楽しくなければ続きません。活動を楽しむことが大切です。楽しみながら取り組むことで継続する意欲が湧き、結果としてより良い環境整備が実現できます。

7.最後に

 小河原社長からは、「私たちが環境整備を20年間も続けられたのは、経営計画書と環境整備を経営の基盤にしているからです。私の目の黒いうちは環境整備を止めません」という強い意志が表明されました。小河原社長は大きな怪我をされ、治療とリハビリで1年半の間、会社に来られない状態だったそうです。中小企業で社長が現場から離れる状況は危機にあたります。それでも、この環境整備で根付いた社員の自主性や結束力で乗り越えたとのことです。

これからも終わりなき環境整備に努め、企業としての成長と地域への貢献を目指していくという小河原社長の言葉の通り、社員の皆様からは明朗さ、すがすがしさ、仕事に対する誇りを感じました。素晴らしい取り組みに私も刺激をいただきました。


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