花輪陽子さんの「世界標準の資産運用」を拝聴しました。
2024年7月18日、TFS国際国際税理士法人が主催するTFSアカデミーで花輪陽子さんの「世界標準の資産運用」という講話を拝聴しました。
以下に聴講記録をまとめます。
1.花輪陽子さんについて
花輪陽子さんは、外資系投資銀行でキャリアをスタートさせ、リーマンショックの際に職を失ったことをきっかけにファイナンシャルプランナー(FP)として独立しました。花輪さんは、2015年にシンガポールへ移住し、現地在住の富裕層を対象とした総合コンサルティングを提供しています。あわせて、日本国内で培った金融知識と実務経験を活かし、海外からのシンガポールへの移住希望者やシンガポール現地在住の日本人に対する包括的な資産管理サービスも提供しています。
花輪さんの提供サービスは専門家との連携しアレンジをするなど多岐にわたっています。「アジアのセル型の金融サービスからの脱却」をコンセプトに掲げています。以下が一例です。
①教育に関わる支援
インターナショナルスクールの選定にあたっての情報提供や手続きに関する助言。進学先の選定や留学先の紹介。教育カウンセリングを通じた教育に関する全般的な助言。
②移住手続きに関わる支援
シンガポールでの各種ビザの取得手続きのサポート。シンガポールの永住権取得のためのアドバイスと手続きの支援。賃貸物件や購入物件の紹介、契約手続きのサポート。不動産購入時の市場分析から不動産購入に関する手続き面でのサポート。購入後の物件管理や不動産賃貸のサポート。
③総合的な資産管理
富裕層の家族の資産を長期的に管理し、次世代に継承するための包括的な戦略の立案の一貫としてのファミリーオフィスの設立支援。現地の税務や法律を踏まえた相談や専門家の紹介、保険の見直し相続対策。
2.ジム・ロジャース氏から学んだ投資哲学
花輪さんは、2009年頃から執筆をしており、編集者とのつながりからジム・ロジャース氏の本の翻訳などに関わる切っ掛けがあり、交流を深めております。
ジム・ロジャース氏の投資に関する哲学なども学び取っており、その考え方や貴重な情報等も参考にしていることが花輪さんのサービスを特長づけるものでもあり強みともいえそうです。
ジム・ロジャース氏はジョージ・ソロス氏と共にクォンタムファンドを設立し、10年間で4200%のリターンを出した実績があります。37歳で引退し、その後は世界を冒険しながら投資を続けている方です。
ジム・ロジャースの投資哲学の一例として「割安」と「変化」に基づいた投資をしています。詳細は割愛します。以下をご参照ください。
また歴史は繰り返すという見立てでの、類似点や差異を分析した投資判断、確信を得るまでにはじっくりと検証をしつつ、いざ確信が得られるとなったら投資対象に対して集中投資をするスタイルなども紹介いただきました。
3.海外での資産運用のメリットやデメリット
次に、シンガポールやマレーシアの経済情勢や金融環境、住環境、物価、教育事情などをデータを用いた二国間比較、日本も加えた三か国間比較などで詳説いただき、その流れで、海外での資産運用のメリット・デメリットを解説いただきました。
4.海外富裕層の日本への移住や不動産購入の実情
シンガポールの富裕層の不動産購入の動きは、数億円から数十億円規模と規模は各人のニーズにより異なりますが、とはいえ、高級不動産に対する需要が高く、立地と広さを重視しているそうです。東京の中心部や高級住宅地での物件購入は人気です。
日本に向けた投資を行う際には、日本の税制や法的を踏まえたストラクチャーを慎重に考慮する必要があり、そこで花輪さんのアドバイスが活きているようです。例えば、購入主体を個人とするか法人とするか、居住用なのか投資用なのか、個別の要素を総合的に判断することが求められてきます。
花輪さんのクライアントの中には、シンガポールでの金融資産を利用して、日本の不動産を購入するケースがあるそうです。例えば、シンガポールの金融機関からポートフォリオローンを利用し、その資金を日本の不動産購入に充てる方法があります。このように、シンガポールでの金融商品を柔軟に活用しながら、効率的に運用資産を積み上げるということもあるのだそうです。
また、あるクライアントは、シンガポールでの資産運用とマレーシアでの生活コストの低さを両立させるために、シンガポールで金融資産を管理しながら、マレーシアに居住するという方法をとっている方もいるそうです。これにより税制優遇と生活コストの削減の両面を実現しているのだそうです。
こういった事例では、ファミリーオフィスを利用している事例も多くあり、設立支援などもされております。
ファミリーオフィスは、超富裕層の家族の資産を管理・運用するための拠点をいいます。シンガポールでは、多くの富裕層がこの仕組みを利用しており、特に中国からの移住者が増加しているそうです。
5.最後に
この場での詳細は控えましたが、講演の体系立てた内容となっており、また、受講者全員からの質問や感想にも一つひとつ丁寧にご回答をされていたことが印象に残ります。翌朝にはお礼のメールが届きました。おそらくすべての聴講者に送っているのでしょう。こういうマメさも大事だと感じました。
花輪さんのこれまでの経験とジム・ロジャース氏の教えを通じて、シンガポールやマレーシアでの資産運用のメリットとリスクの一端を知る機会を得ました。これらの国々での投資は、総合的な視点で行うことが重要であり、専門家の助けを借りて適切な戦略を立てることが求められている点で、花輪さんのワンストップサービスが受け入れられているのだということも実感しました。
また、富裕層を顧客としていく中では、ご自身や家族の資産運用に加え、教育、移住、不動産などの様々な相談を発生する中で花輪さんに相談してみようという気持ちにさせるお人柄の良さも印象に残りました。
シンガポールからの出張の合間にご講演いただいた花輪さん、並びに講演のお手配をされたTFS国際税理士法人の皆様の行き届いたご配慮に改めて感謝申し上げます。
〈8月7日に勉強会があるようです〉
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?