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オットは攻めで、私は受け

日常生活のダメな部分もそのままツイートしているので、Twitterで私をフォローしている方は「この人、全然家事をしてないな」とか「寝てばっかだな」とか「それに引き換えオットの人はよく働くな」と勘づいていることだろう。うん、ハイ、まあ、その通りである。うちのオットは炊事・洗濯・掃除・片付けなど、ほとんどの家事を率先してやり、出来栄えも素晴らしい。おかげで私はアイロン台の場所さえ分からない、定年後のおじさんのようになっている。

かろうじて料理は私がする。スキルはあるし、気力さえあれば美味しいものが作れる。だがその「気力」が問題だ。いつも夕方になるとするすると気力が失われ「作りたくない病」が劇症化し、毎日がイヤイヤ期だ。やればできるのに、やらないからできない。スーパーで買い物してるときは「わっしょい!わっしょい!あれも作ろう!これも食べたい!」と、心の中の北島三郎が「祭りだ〜祭りだ〜」と踊りまくるのに、帰宅すると三郎はどこかへいってしまう。なので大量に買った食材を前に、また私はイヤイヤ期を発動するのである。

以前「女は黙ってパスタを食う」に書いたように、オットはもともとお笑い料理サイトをやっていたくらいだから、料理の腕もある。妻のイヤイヤ期には「こんな料理はどう?」と良い提案をしてくれるし、自分が料理するのも全然苦ではないらしく、実際によく作っている。今この時もリンゴを刻んでバターと小麦粉を何かしてるので、1時間後には午後のおやつが出来上がることだろう。

(書いてる間に完成した、リンゴとゴルゴンゾーラのはちみつぱい)

りんごパイ

特に私が病に伏せっているときは、この「料理スキル」は非常にありがたい。最初の夫などひどいもんだった。インフルエンザの高熱で立てない妻に向かって「俺の晩飯はどうするつもりなの」と詰問するような男だ。目玉焼きの黄身が固かっただけで、妻を役立たず呼ばわりするような男だ。何も料理できないくせに、突然蕎麦を打つような典型的なアレだ。なのでサクサクと気軽に料理をする男と結婚したことは、またとない僥倖だと思っている。

思ってはいるが、たまに、少しだけ、うん、これは、ちょっと、違うかな?と思うこともある。主に私が風邪で伏せっていて、私という病人にオットがご飯を作ってくれるときだ。なぜなら病に対する食のスタンスが、私とオットとではまるで違うからである。

お粥

私の病人食とは「静かに受け流すもの」である。お粥やスープなどをほんの少しお腹に入れる程度で、あとはひたすら横になる。消化にかかるエネルギーを減らし、治癒へ使ってくれることを期待している。

一方、彼にとって病人食とは「攻めて、挑むもの」である。調子が悪いときこそいつも以上にコッテリと、ガツガツと、糖と脂肪を摂取せねばならぬと信じている。肉やニンニクや唐辛子を盛り盛りにするべきだと信じている。

だから一緒に暮らし始めて最初の「私が体調を崩した夜」は、ものすごくびっくりしたのである。オットが作ったのは、アルメニア風ラムシチューと、トルコ風ビーフストロガノフと、豚肉とソーセージの黒ビール煮込みという、煮込み3種類モリモリ盛り合わせだ。どれも肉がどっさりで、味つけはコッテリで、脂もニンニクもたっぷり。お粥を想像していた目にはこの世ならざる風景だった。こんな世界もあるのだと思い知った。

トルコ料理

ではここでオット作アルメニア風ラムシチューの作り方を紹介しよう。レシピは20年前のオットのサイトからパクってきた。細かい数字は場面に合わせて変えるそうだが、基本的な作りは同じだ。ちなみに画像はJ-stock(じろまるフォトストック)から引っ張ってきたイメージ画像なので、鵜呑みにしてはいけない。実際は汁気のごく少ない煮込みである。

【アルメニア風ラムシチュー】

煮込み

・ラム肉の塊(牛肉でも)
・ジャガイモ
・トマト
・ニンニク、オリーブオイル、唐辛子、塩

1・材料をまず揃える。それからテンションを高める為、おもむろにヒンズースクワット100回くらいやって鋭気を養う(原文ママ)

2・次に材料をめったぎりに切る!思う存分切りまくれ。にんにくは包丁の腹で潰しましょう

3・火にかけた鍋にオリーブオイルをたくさんいれる。にんにくをいれる(じろまる注・ここでニンニクがこんがりするまで中弱火で火入れ)

4・肉、ジャガイモもぶち込む。トマトは手で握り潰す!なんか快感。そこへ唐辛子、塩など適当に振り、炒める。

5・あとは蓋をして弱火で1時間煮込む。蓋は絶対にあけない。たまに鍋を振って焦げないようにする。1時間後、蓋を開けるとああ、旨そうな匂い!後は趣味でパセリとかコリアンダーとか振って出来上がり。


レシピ冒頭のヒンズースクワットは、特に心をこめて実施して欲しい。実は日本にヒンズースクワットを伝えた人と、じろまる元義兄は親しく、インドで一緒に遊んだりしてたので、このレシピはなんとも親しみがある。皆さんもやってみればわかる。たぶんね。


◆ ◆ ◆


わたくしごとで恐縮だが、実は昨日も体調を崩していた。もちろん朝昼晩と、料理を作るのはオットである。オットには「好きなものを作っていいよ」とは伝えてあった。あと「さらっと食べられそうなものもお願い」と言ってあった。そしてできたのがこちらである。

ポークピカタ!

(薄切りの豚肉の間にパルミジャーノとニンニク少々をはさみ、強力粉をまぶし、卵をくぐらせてオリーブオイルで焼くらしい。コッテリ)

ポークぴかた


ネギトロ丼!

ネギトロ丼


たらこスパゲティ!

(彼の考えた「妻がさらっと食べられるもの」だと思う)

たらこすぱ


攻めと受けでは、食べるものがまったく違う。皆さんはどちらだろうか。風邪ひいて熱がある時に、スペアリブをモリモリ食べられるなら、オット側の人間だ。はてさてふふん。

スペアリブ


めちゃくちゃくだらないことに使いたいと思います。よろしくお願いします。