![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83180734/rectangle_large_type_2_e8f9197419e4649df847f4bd3ee2408e.jpeg?width=800)
最近の制作について
遅ればせながら今年もよろしくお願いいたします。
最近の制作ですが、実はタイポグラフィという制約を少しずつ解除して昨年からは小さな立体(彫刻)も作っているので、そこに至るまでの流れを整理してみようと思います。※2019〜2021年にかけてはコラージュもかなりやっていましたが、ここでは省きます。
タイポは2019年ぐらいから少ない文字数の「めでたいことば」を中心に扱い、よりシンボリックでカラフルにしていました。文字(主に漢字)が内包する呪術的な力も意識していました。実はそれまで扱ってきた「聖者賢者のことば」や「立憲主義」「民主主義」といった政治的な概念を表すことばもある意味一人ひとりが幸せに向かうための「めでたい」ことばですから、それらに形を与えて共有できるシンボルにしたかったのですが、この時期はよりわかりやすい祝言葉に取り組んでいました。
![鶴+亀_集合3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73437641/picture_pc_fc49da2c8edeb3aa1c86758119f86648.jpg?width=800)
![観音楽_集合_1500](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73435859/picture_pc_cc53e6ba789abc4c0ec14aad48401b22.jpg?width=800)
![福_製作中](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73438568/picture_pc_5b72b0b6311a977ba2ce88ebaee10a9c.jpg?width=800)
とはいえ、愛知トリエンナーレ(2019年)の「表現の不自由展」問題に向けてはさすがにひとこと物申したくて、旭日旗に染まってしまった「表現」という批評的な文字作品も作りました。旭日旗が感じさせる一点透視的な権力構造を解体して多視点・多様性を示す構造に再構築しています。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73437972/picture_pc_6b52e8c809ab780a484e00ec7cdcb7fd.jpg?width=800)
そんな中で一昨年(2020)からコロナ禍に突入したのですが、もろもろ発表の機会が中止になる中、夏に開催されたon sundaysでのTシャツ展ではアマビエをモチーフにしてみました。
![Tシャツ/アマビエpink-_trim](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73439016/picture_pc_96693a667ae8d7b39c23e5132ff5d521.jpg?width=800)
アマビエは文字ではないですが、多くの標識やエンブレム以上にこれが示す意味は今大半の日本人に共有されている・・、と考えるとこれは文字と考えてもいいだろう、という解釈に至ったわけです。
さらにこの年9月の「ぜんぶわすれる」という喫茶イベントでは、ストイックな禅語タイポ作品に加えて言葉にできない部分を抽象的なミニマル作品として展示しました。グラフィックやファッションで使い尽くされた感のあるドットやストライプにまだ可能性を感じての仕事でした。
![枯山水B_trim](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73288077/picture_pc_cd62611a886b599c3c21223e689c09bb.jpg?width=800)
などコロナ禍を経て、10年ちょっと続けてきたタイポのみによる表現を見直すことになったのですが、その後仏像のたなびく衣が顔になったら?という妄想から様々な図像ができてきました。先程のアマビエでも使ったドットのグラデーションは抽象性の中に「光」を感じさせる技法として継続して使っています。※instagramにもろもろアップしています。
![ひだマン_02a_trim](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73287910/picture_pc_595dfcaf065dcf44b31b08be5ede9755.jpg?width=800)
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73289725/picture_pc_1beea7b32acb36eb2aca1b8d6ece9a13.jpg?width=800)
![ひだ構造体1c#](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73289824/picture_pc_6975143151ed38d5897375cce42508ce.jpg?width=800)
2009年ぐらいから、偶像禁止のイスラム教で発達した装飾的なカリグラフィの影響でタイポグラフィのみの表現を始めてから「文字によるご本尊のようなもの」と作ってきた言えます。
表意文字である漢字の場合、なんらかの絵が単純化・整理されて文字になりました。自分の仕事はその流れを逆行して再び絵に戻していく、しかし元の絵とは違う地点に着地させる。という作業が多かったと思います。
タイポ以外のモチーフ(上の写真)も始めたのは大きな変化ではありますが、上記のように今までも絵(図像)と文字の狭間を漂っていたわけで全く逆というわけでもありません。何より自分で作ったしばりを解除したことでかなり気が楽になりました。
そして「偶像解禁ならいっそ彫刻も!」ということで昨年(2021)の年始からは塑像の再トレーニングも始めたのですが、きっかけになったのは下の写真です。先程紹介した2020年の「ぜんぶわすれる」という喫茶イベントで自分のミニマル作品の前に茶人でもあるギャラリー・オーナーが茶入をおいて下さったのですが、平面作品と立体物のインスタレーションにピンとくるものがありました。茶入と平面作品の関係性が、仏像と光背のようにも見えます。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73298914/picture_pc_e5452e5923935497b76489dfd82e6ac0.jpg?width=800)
もともと美大の彫刻学科出身ですが、彫刻は数十年ぶりの再開になります。石塑粘土で始めたところ手応えを感じたため昨年春には陶土に移行し練習がてら仏像の顔の模刻など進めましたが、眠っていた脳のどこかが稼働し始めたような感覚がありました。今までの制作との整合性を探りつつ、年始の企画展には石塑粘土の彫刻を出品してみました。
彫刻のモチーフは仏像・神像などの拡大解釈や様々な民族が信仰対象にしている動物などを考えていますが、まずはいろいろとご縁のある熊をモチーフにしてみました。以下は製作中の写真ですがアイヌにとって神様である熊に座禅をさせたものです。親しみやすさの中にタイポ作品でたびたびテーマにしてきた仏教の要素を入れています。
![座禅熊+台座1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73362202/picture_pc_33845901d88aba65ed33b9214097401d.jpg?width=800)
![座禅熊+台座2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73362212/picture_pc_ba341c7a0f3d77ffbfb93291ddc2278f.jpg?width=800)
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73362449/picture_pc_812b5519aa811aaa42844567a547fd96.jpg?width=800)
↑着色の下塗り中。実際は金と銀になりました。展示風景は追って投稿します。
引き続き制作状況をお伝えするつもりですので、今後ともよろしくおねがいします!
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