風俗嬢に恋をしてしまった話 第16話


第16話「前借りしてるこの命」

今回は初めて100分コースをお願いした。

お店に着いて待つこと5分少々。

持っている番号札の番号が呼ばれた。

約2週間ぶりの再会だ。

この日はとても緊張していた。

心臓の鼓動が早い。

ソファーに座っていると、「ん、地震か?」と思うほどに。

言い過ぎか。

そう、今日は食事に誘うというミッションを自分に課していたからだ。

エレベーターで再会した時に緊張がほぐれた。

あぁ、なんて可愛いんだ。

愛おしい。

可愛いが過ぎる。

「なんで今日来たのー!?てかなんで100分!?」

「明日来ようと思ったけど、1日も我慢出来ず来ちゃいました!!」

「たまにはゆっくりしたいからねー。」

Aちゃんが言う。
「えー、我慢できないとかそういうとこかわいいよね」

私は普段の70分よりも40分多いのでゆっくりできると思っていた。

が、しかし。

油断してお喋りしすぎた。

毎度毎度同じことしてる。

普段通りプレイを終えたわけだが、もうこんな時間!?と。

今回は本当に短く感じた。

ピロートークも普段と同じくらいしかできなかった。

その際に

ここのお店気になってて行きたいんだよねとか休み合えば行こうとか色々話した。

ここからが本題。

「今日、俺ラスト枠ならこの後ご飯食べに行かない?」

「いやー、実は昨日出掛けた時に飲食店にケータイ忘れちゃってさ。今日取りに行かなきゃないんだよねー。」

現代でケータイがないのは致命的だ。

この後食事に行った時もケータイがないのは嫌だろうからさすがに今日行こうと強引には誘えなかった。

Aちゃんは続けて言った

じゃあ、来週にしよっか?

おっと!?これは食事に行ってもいいよということなのかな。

「つまり、来週もお店に来てってことだね!?笑」

Aちゃんは言った

「いや、そういう訳ではないけど…。大丈夫なの?」

なにが大丈夫なんだ。

Aちゃんは私が頻繁に通うもんだからお金の心配をしていた。

「俺は余裕ある時に来てるからお金の心配はいらないよ。そんな毎回何十万って使ってるわけでもないし大丈夫!」

とりあえず来週またくるからその時にご飯行こうかということで落ち着いた。

なので、じゃあLINEだけでも…

と思ったが

Aちゃんはケータイがないのだった…。

じゃあ、メモ紙にでもID書こっか!?

部屋にペンがない…。

全然ダメ(笑)

とりあえず私のIDを口頭で伝えたがまあ忘れるだろう。

なので来週また会いに行く。

その際は一緒に食事に行き、連絡先を聞けるかもしれない。

大きな一歩前進だ。

来週も仕事頑張れる。

生きる活力をくれてありがとう。


次回
「私服の君に緊張してしまった」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?