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ここが変だよ民泊新法その10 民泊運営で発生する問題(ゲスト編)

起こりうる問題から、理想の民泊新法を考える

第一回から民泊新法について考察してきましたが、今回からは、これまでの話を踏まえて、民泊新法の理想の形ってなんだろう。というのを考えていきます。

ルールを作る際はそれによるデメリットも同時に考えるべきで、規制には安全性を高める効果がある一方で、規制を守るためだけに発生するコスト・規制を運用する為のコストがかかるという点も考慮する必要があります。また、行政が介入すべき問題と、民間で対応すべき問題も分けて考えたい。

「問題解決に効果的で、コスト(初期コスト・運営コスト)が最小化される最大限シンプルなルール」というものが望ましいでしょう。現状の民泊新法は、問題解決にはある程度効果的ですが、コストがバカ高く超煩雑なルール。となっています。英語でいうとシット!ですね。

以前の記事で、民泊運営で近隣住民に対して発生する問題は、「騒音」「ゴミ出し」「迷子」「運営者が不明」の4点と、潜在的に安全性の確保という点があげられるとお伝えしました。

民泊で発生する問題「ゲスト編」

今回は、「ゲスト」に対して発生する問題を考えていきましょう。近隣住民に対しての問題と重複する点もありますが、結論から言うとゲストに発生する問題は、

「チェックイン時迷子」「設備問題」「清潔さ」「ホストと連絡つかない」の4点と、潜在的には安全性とセキュリティリスクの問題ですね。

①チェックイン時の迷子

案内のレベルが低いと、ゲストは必ず迷子になります。そして、この迷子ってのは必ず繰り返す。1回でも迷ったって言われたら、案内を改善するべきなんですが、レベルが低いホストだと、改善しないんですよね。毎回問い合わせ来て、毎回対応して、超非生産的な作業。

■解決策は?

みなさん完璧な道案内を作りましょう!と言いたいところですが、全ホストに言ってそれができるわけではないので、やはりAirbnb側で主導して、ツール開発やサンプルの提供が必要でしょう。そしてAirbnbにはチェックインがスムーズかどうかのレビュー項目もあるので、それが低いリスティングに対してはシステムから警告を出すとかしたらいいでしょう。行政は介入不要!

②設備問題

代表されるのが、「冷暖房問題」と「お湯でない問題」そしてこの問題の9割が、使い方が間違っているケースです。あとは、「Wifiつながらない」問題ですね。これは容量制限(月に7GBとか)のあるwifiを置いてあるケースと、これも使い方分からないケースに分けられます。

設備問題は、しっかり運営しててもある程度発生してしまいますね。電気製品は故障することもあるし、結構あるのが、前のゲストのせいでそうなってしまっているケース。海外の人は、使い方分からなくて壊してしまったりすることがあります。

■解決策は?

家電の使い方はマニュアルの整備が必須ですね。これも個人ホストでは言語の問題もあって難易度が高い。私がAirbnbジャパンの社長だったら、マニュアルチームを作って、日本の電化製品全てのリモコンを網羅するぐらいまで多言語のマニュアル作らせます。Wifiは無制限のものが必須です。行政介入不要!(もしくはマニュアルの提供をAirbnbに義務付けるぐらいはやっていいかもしれません)

③清潔さ

シーツが変えられていなかったり、そもそもちゃんと掃除されていない。

あとよくあるのが、「清掃漏れ」の問題も含まれます。運営体制がしっかりしていないと、直前に入った予約を清掃業者に伝え漏れたりして、起こってしまうんです。

私も初期の頃何度かやったことがあります。ゲストには申し訳なかった。ちなみに現在運営している物件は、その地域の主婦の方等をチームにして清掃してもらっていますが、ゲストからの清潔さの評価はほとんど星5つです。清潔さには超力入れています。

■解決策は?

そもそもホストが清潔さに対する意識が低いケースは、どうしようもないですね。やはりAirbnbが主導して、清潔さのレビュー項目が低いリスティングに警告を出す、改善できなければ非掲載にする。という対応が必要でしょう。清潔にしたいけど清掃業者のレベルが・・・というホストの為に、清掃レベルの上げ方は、今後どこかで記事にします。結局汚い部屋は自然淘汰されるのですが、行政としても、清潔さに関してある程度の指針を出してもいいかなと思います。管理業者に委託が必須、なんてのは完全に過剰規制。

④ホストと連絡つかない

これもそのまま、迷子になったときや、家に問題があった時にホストと連絡がつかない。夜中に到着してチェックインする時にこれが起こると最悪です。特に冬は地獄。冬の夜に異国の地で、道路に立ちつくし、夜空を見上げてため息をつくと、白い息が星空を包み・・・いい歌詞になりそうです。

■解決策は?

基本的にやるべき事は、緊急連絡がこないようにクリティカルな問題を事前につぶすことなんですが、これもホスト個人だけの問題では解決難しいでしょう。兼業ホストも多いでしょうし、そもそも夜中に電話きても寝てるし。これはかなりコストがかかってしまいますが、Airbnb側で緊急窓口を用意して、最悪チェックインできない時に他の宿をすぐに斡旋できる体制が望ましいし、行政としても、ホストではなくAirbnb側にそれを設ける事を義務付ける方が効率的でしょう。個人でそれをやらせようとするから無理が出てくる。1人1人が緊急対応窓口を作るコストと、プラットフォームがそれをやるコストだと全然違う。行政介入要!だけどAirbnb側にやってもらおう。

⑤安全性とセキュリティリスク

これはあまり顕在化していないですが、安全面(消防設備)の問題と、これほとんど発生していないのがやっぱり日本すごいいい国だなと思うですが、セキュリティ(盗難)の問題ですね。消防設備に関しては、以前の記事で言及したので省きますが、結構潜在的に大きいと思っているのが、セキュリティリスクです。実際Airbnbの運用のほとんどがキーボックスに鍵を入れて暗証番号をゲストに伝えて・・・という形だと思うんですが、キーボックスの番号そんなに頻繁に変えないですよね。以前入ったゲストが簡単に侵入できるんです。

■解決策は?

キーボックスの番号を毎回変えるのを法律で義務付ける!というのは最低の解決策ですね。運用の手間が格段に増えるし、むしろ間違った番号を伝えてゲスト入れない問題が頻発するでしょう。現在はテクノロジーの発達により、スマートキーなるものも出ていますが、民泊で運営されてる家って意外とそういうのつけれない玄関であるケース多いです。

ここは行政がしっかりとルールをつくる部分だと思っていて、「スマートキーの導入または、玄関前に防犯カメラの設置を義務付ける、または室内にセキュリティボックスを設置する」ですね。「そんなんじゃ泥棒完全に防げないだろ!」という意見もあると思いますが、そもそも泥棒完全に防ぐなんて警備員を常駐させるぐらいやらないと不可能です。最小限のコストで最大限の効果を発揮しましょう。

長くなったのでまた次回。今度は「ホストに起こる問題とその解決策」にアプローチしたいと思います!



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