『春めく私小説/クジラ夜の街』を聴いて
クジラ夜の街の、メジャーデビューアルバム!
ライブで演奏しながらより強くなった楽曲を、一つの作品として、とてもタイトに仕上げた一枚に感じた。
クジラの曲を、ライブで完全に一音も漏らさず聴こうとするのは難しい。だから、このアルバムに収録されている曲は全て今までライブで聴いたことのある曲なのだけれど、細部に渡ってとても多くの発見がある。
それらを頭に叩き込んで、レコ発に臨むことが出来る。まずはこのことがとても嬉しい。
このバンドは曲ごとの物語性をとても大切にしていると思う。だから、これまでのアルバムを聴いたときには短編集を読んでいるときのような感覚で聴いていた。
翻って今回のアルバムは、聴けば聴くほどに、それぞれの曲を章としたひとつの話であるかのように感じられる。今までのアルバムも私の理解が至らなかっただけで、そうだったのかもしれない。この感覚が、まだ上手く言語化出来ないのももどかしい。
全編を通して、歌と演奏の音量のバランスがとても良い。聴いていて疲れない。
ベースとバスドラがしっかり分離して聴こえて曲のリズムが取りやすい。ピックじゃないと思うんだけど、ベースの弦の音がめちゃくちゃよく聴こえる。また、ドラムが強打するときのニュアンスがもの凄くよく伝わってくる。「ここ!」を強く訴えかけられるから、とても楽しい。
キーボードとリードギターの聴き分けもしやすい。それぞれが奏でる音、曲への彩りを認識しやすい。
・時間旅行(Prelude)〜時間旅行少女
私の大好きな、音が洪水を起こしてるような音数の多い曲。でも、潰し合わずにアンサンブルとしてバッチバチに仕上がっている。すごい。
時間旅行の最後から時間旅行少女への流れがとても好きだ。リフをこれでもかと分からせに来る感じ。またこのリフが素晴らしいんですよ。
アルバムを全編通して言えることではあるんだけど、私は特に、この曲のドラムのアレンジが好きです。上手く言えないけど、凄い!
・BOOGIE MAN RADIO
ずっとギターソロ弾いてる。
大暴れするドラムも楽しく、ベースとボーカルが曲の輪郭を形作っているような面白い聴こえ方をする。
ライブで聴いていたときよりも、ギュッと引き締まった印象だった。でも、覚えるのがとても大変だ。そして、それが楽しい。
もっともっと、もっと聴き込んで、この曲への理解度を最強にしたい。
・浮遊(Interlude)〜ハナガサクラゲ
浮遊という曲が間奏とされていて、それがとても良い役割を果たしていると感じる。どうやって製作したんだろう?ハナガサクラゲに繋ぐ曲だったんだろうけど、BOOGIE MAN RADIOを受けてここまでしっくり来るのって、とても凄い。どんな曲の後に入ってもすんなり繋げられる曲だと思う。ハナガサクラゲと合わせて、ライブで重要な曲になっていくんだろうなと思った。
ハナガサクラゲは、ライブで聴くよりも音楽の方が、空間的な拡がりを感じた。歌詞がはっきり聴こえるのも大きい。ハナガサクラゲと、花が咲くまでの、どちらが先行して書かれた歌詞なのかが気になる。曲の浮遊感と相まって、聴き心地がとても良い。
・踊ろう命ある限り
前のツアーで初めて演奏された曲だよな?、という想いを抱かせてくるような、めちゃくちゃ風格を感じる曲。
跳ねるリズムとは対照的に、安心感すら感じさせる演奏。間奏の、キーボードとギターの掛け合いが最高!
歌われている内容も笑顔にさせてくれるものだし、歌いやすいシンガロングと相まって、バンドの代表曲としてどうなっていくのか楽しみで仕方がない曲。
あと数日、時間の許す限りしっかりと聴き込んで、ツアーファイナルを万全の状態で迎えたい。
どこまでも先が楽しみなバンドの、現在の最高傑作です。
ぜひ聴いてくれ!
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